↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリームライド〜異世界創造、夢の旅〜  作者: 神谷 夢


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/34

第24話 二つの世界

第24話 二つの世界


「カイー!」


遠くから。


声が聞こえる。


「起きなさい!」


カイが。


ゆっくり目を開けた。


白い天井。


カーテンの隙間から。


朝の光が差し込んでいる。


自分の部屋。


「……戻った」


身体を起こす。


ほんの少し前まで。


火ノ島にいた。


火晶毒。


月白草。


ラグニルの祭壇。


ラグナリス。


黒炉。


ヴォルグ。


そして。


最後に見つけた。


《闇の種 Lv.2》。


どれも。


まだ鮮明に残っている。


それなのに。


窓の外には。


いつもの街が広がっていた。


車が走り。


人が歩き。


遠くから。


子どもの声が聞こえる。


何も。


変わっていない。


「……平和だな」


カイが。


小さく呟いた。


昨日。


一歩間違えば。


誰かが死んでいたかもしれない。


自分だって。


崖から落ちた。


それに比べれば。


この朝は。


驚くほど静かだった。


その静けさに。


カイは。


少しだけ。


安心した。


⸻


朝食。


母親が。


皿を置く。


「明日でしょ?」


「何が?」


「大会」


「あ」


カイが。


パンを口へ入れる。


「そうだった」


母親が。


呆れた顔をする。


「自分の大会でしょ」


「忘れてたわけじゃないって」


父親が。


向かいから笑う。


「緊張してないのか?」


「今は全然」


「明日になったら分からんぞ」


「多分大丈夫」


カイは。


そう答えながら。


少し考えた。


大会。


少し前までなら。


もっと大きなことに感じていた。


もちろん。


今だって楽しみだ。


勝ちたい。


でも。


火ノ島から戻った直後だからなのか。


どこか。


遠い出来事のようにも感じる。


「カイ」


「ん?」


「ぼーっとしてると遅れるよ」


「あ」


時計を見る。


「やば」


カイは。


残っていたパンを。


急いで口へ入れた。


⸻


学校。


教室。


いつもの席。


いつもの声。


悠斗が。


後ろからカイの肩を叩く。


「おはよ」


「おはよ」


「明日だな」


「うん」


「勝つぞ」


「もちろん」


悠斗が。


カイを見る。


「余裕そうだな」


「そう?」


「前より全然」


カイは。


少し笑った。


その時。


「おはよう」


美緒。


カイが見る。


「おはよ」


美緒は。


カイの顔を少し見たあと。


「大丈夫だった?」


と聞いた。


悠斗が。


二人を見る。


「何が?」


「何でもない」


美緒が。


すぐに返す。


「またそれ?」


悠斗が眉を寄せる。


「最近俺だけ知らない話多くない?」


「気のせい」


「絶対違う」


カイが笑う。


「あとで話すよ」


「俺にも?」


「いや」


「おい!」


チャイムが。


鳴った。


三人が。


それぞれ席へ戻る。


⸻


授業。


黒板。


教師の声。


ノートへ。


文字を書いていく。


いつもと。


何も変わらない。


カイは。


窓の外を見た。


青い空。


その瞬間。


昨日の景色が。


頭に浮かんだ。


ラグニル山。


祭壇。


ラグナリス。


ガルド。


そして。


ヴォルグ。


《闇の種 Lv.2》。


「……」


再び。


黒板を見る。


教師が。


問題を解説している。


カイも。


ノートへ書く。


少しして。


また。


頭に浮かぶ。


ガルドとの約束。


剣。


ラグナリスを。


ちゃんと扱えるようになりたい。


《闇の種》が。


何なのかも知りたい。


次に。


あの世界へ行けば。


何が起きるのか。


「……あ」


カイの手が。


止まった。


自分で。


気づいた。


戻りたい。


そう思っている。


ドリームワールドへ。


「……俺」


小さな声。


危ない。


何度も。


怖い思いもした。


モンスターに襲われ。


死にかけたことだってある。


それでも。


行きたいと思っている。


現実が。


嫌なわけじゃない。


家族もいる。


悠斗も。


美緒もいる。


サッカーも。


好きだ。


今のこの平和な時間は。


間違いなく。


安心する。


なのに。


何か。


物足りない。


あの世界では。


昨日まで知らなかったものが。


次の日には。


目の前に現れる。


海。


新しい大地。


龍人族。


知らない魔物。


知らない力。


「……何でだろ」


危険なのに。


その先を。


見たくなる。


カイは。


自分のノートを見る。


しばらくして。


小さく首を振った。


今は。


授業。


再び。


黒板へ目を向けた。


⸻


昼休み。


いつものように。


三人で机を寄せる。


悠斗が。


弁当を食べながら言った。


「明日、初戦何時だっけ」


「十時」


カイが答える。


「集合八時半だろ」


「うん」


美緒が。


二人を見る。


「見に行くから」


カイが。


箸を止める。


「来るの?」


「行くって言ったじゃん」


「あれ、本当に来るんだ」


美緒の目が。


少し細くなる。


「行かない方がいい?」


「いや!」


思ったより。


強い声が出た。


カイが。


自分で少し驚く。


「来てよ」


美緒が。


少し笑った。


「じゃあ行く」


向かい。


悠斗が。


二人を見ている。


「何?」


カイが聞く。


「いや」


悠斗が。


弁当へ視線を戻す。


「別に」


「何だよ」


「何でもないって」


美緒も。


少しだけ笑っていた。


食事を続ける。


しばらくして。


悠斗が。


別の友達に呼ばれた。


「ちょっと行ってくる」


席を離れる。


美緒が。


すぐにカイを見る。


「それで?」


「何?」


「昨日」


「ああ」


カイは。


少し考えた。


「原因、分かったよ」


美緒の表情が。


変わる。


「本当?」


「うん」


「毒だった」


「毒?」


「川の水に」


カイが説明する。


「変な毒が混ざってた」


「それをずっと飲んでたみたい」


美緒が。


少し眉を寄せる。


「じゃあ……子どもたちは?」


「薬も見つかった」


「ほんと?」


「うん」


カイが。


少し笑う。


「リュカも」


「他の子たちも」


「かなり良くなってる」


美緒が。


小さく息を吐いた。


「……よかった」


「うん」


「本当によかったね」


カイも。


頷く。


少しの間。


二人とも。


何も言わなかった。


美緒が。


カイを見る。


「でも」


「何?」


「何かまだある顔してる」


カイが。


少し驚く。


「分かる?」


「何となく」


「……変なもの見つけた」


「変なもの?」


「うん」


カイは。


どう説明するか迷う。


「闇の種っていうの」


美緒の眉が。


寄る。


「闇の……種?」


「俺も分かんない」


「何なの?」


「それが分からないんだよ」


カイが。


少し苦笑する。


「鑑定しても」


「詳しく見えなかった」


「人にあったの?」


「うん」


美緒が。


少し心配そうな顔をする。


カイは。


すぐに続けた。


「でも今は、大長老って人が見てくれてる」


「カイが何とかしなきゃいけないの?」


「分かんない」


一度。


考える。


「でも」


カイは。


小さく笑った。


「何なのかは知りたい」


美緒は。


カイを見る。


それから。


少しだけ。


呆れたように笑った。


「カイらしいね」


「そう?」


「うん」


「危ないことはしないでよ」


「分かってる」


美緒が。


じっと見る。


「本当に?」


「……なるべく」


「なるべくじゃ駄目」


「はい」


カイが笑った。


⸻


放課後。


グラウンド。


明日の大会前。


最後の練習。


黒田が。


全員を集める。


「今日は長くやらない!」


「明日に疲れを残すな!」


「はい!」


声が。


重なる。


ウォーミングアップ。


基礎練習。


そして。


短いゲーム形式。


笛。


ボールが動く。


カイは。


ゆっくり。


息を吐いた。


授業中。


感じていた。


あの。


物足りなさ。


でも。


ボールが。


自分へ向かってきた瞬間。


消えた。


「カイ!」


右。


パス。


足元へ。


収める。


正面。


一人。


《観察》。


重心。


右。


視線。


カイの左足。


《予測》。


赤い線。


相手が。


踏み込む。


その前。


カイが。


ボールを外へ。


一気に。


加速。


「っ!」


相手が。


ついてこられない。


二人目。


中央から。


寄ってくる。


カイは。


速度を落とさない。


相手の足。


腰。


肩。


全部。


見える。


右へ。


身体を向ける。


相手も。


右へ。


次の瞬間。


左。


切り返す。


「うわっ!」


完全に。


置き去り。


三人目。


カバー。


カイは。


顔を上げた。


中央。


陸。


右。


悠斗。


相手の視線。


悠斗へ向く。


一本。


赤い線。


中央。


カイが。


縦へ。


ボールを通す。


「陸!」


陸が。


ワンタッチ。


カイは。


もう走っている。


返ってくる。


受ける。


キーパー。


右へ。


赤。


左。


シュート。


バシンッ――!


ネットが。


大きく揺れた。


「……」


相手側が。


一瞬。


静かになる。


悠斗が。


カイを見る。


「お前さ」


「何?」


「今日もそれ?」


「何が?」


「止められないやつ」


カイが。


少し笑う。


「知らないよ」


「こっちは困るんだよ!」


再開。


今度は。


相手ボール。


中央。


カイは。


ボールだけを見ない。


相手。


味方。


スペース。


視界へ。


情報が入ってくる。


パスを出す。


その前。


肩が開く。


《観察》。


《予測》。


赤い線。


「そこ」


カイが。


走る。


相手が。


蹴った。


その先。


もう。


カイがいる。


「は!?」


奪う。


そのまま。


前へ。


一人。


身体を当ててくる。


肩。


ぶつかる。


だが。


カイは。


ほとんど流れない。


逆に。


相手の身体が。


半歩外へ。


「っ……!」


カイ自身も。


少し驚いた。


まだ。


余裕がある。


走る。


速い。


身体も。


軽い。


息も。


乱れない。


「二人行け!」


相手側から。


声。


左右。


二人。


同時。


カイの視界。


赤い線。


右。


左。


二人の動きが。


僅かに重なる。


その瞬間。


中央。


「ここ!」


ボールを。


一つ前へ。


二人の間。


自分も。


抜ける。


「嘘だろ!」


後ろから。


声が聞こえる。


でも。


カイは。


もう次を見ている。


悠斗。


右。


陸。


左。


キーパー。


前。


どこでも。


出せる。


「悠斗!」


パス。


悠斗が。


受ける。


そのまま。


シュート。


ゴール。


「ナイス!」


悠斗が。


拳を上げる。


戻りながら。


カイへ言う。


「なあ」


「何?」


「明日の相手」


少し笑う。


「どうすんだろうな」


「何が?」


「お前」


「俺?」


「ああ」


悠斗が。


首を横に振る。


「今日のお前止めろって言われても」


「俺なら嫌だわ」


カイが。


笑った。


「諦めるの早くない?」


「二人で囲んでも抜かれたんだぞ!」


「じゃあ三人」


「他が空くだろ!」


「確かに」


「お前が言うな!」


二人が。


笑う。


再開。


それでも。


カイの勢いは。


落ちなかった。


守備。


攻撃。


走る。


奪う。


抜く。


出す。


決める。


何をしても。


身体が。


自分の思った通りに動く。


いや。


思ったよりも。


速く。


強く。


動く。


ドリームワールドでは。


自分より強い者が。


いくらでもいる。


ナタリー。


レオン。


ガルド。


ロウガ。


モンスターだって。


自分より高いLEVELばかり。


だから。


まだ。


強くなったという感覚は。


そこまでなかった。


でも。


ここでは。


違う。


「……すご」


カイ自身が。


小さく呟く。


今の自分。


どこまで。


やれるんだろう。


もっと。


試したい。


もっと。


本気で。


走りたい。


その時。


笛。


ピーッ――!


「神谷!」


黒田の声。


「はい!」


「上がれ」


「え?」


カイが。


黒田を見る。


「まだ時間ありますよね?」


「ある」


「じゃあ――」


「お前は終わり」


「何でですか?」


黒田が。


カイを見る。


少しの間。


黙る。


「明日に残せ」


「でも俺」


カイが。


自分の身体を見る。


「全然疲れてないです」


黒田の眉が。


僅かに上がる。


その横。


相手チームの選手たちが。


膝へ手をついて。


息を整えている。


黒田が。


そちらを指した。


「お前がいけても」


少し間を置く。


「周りがもたん」


「……」


一瞬。


静かになる。


悠斗が。


吹き出した。


「確かに!」


「笑うなよ!」


周囲も。


笑い始める。


黒田も。


少しだけ。


口元を緩めた。


「明日」


カイを見る。


「全部出せ」


カイの表情が。


変わる。


「はい」


大会。


明日。


本気の試合。


今日とは違う。


勝つために。


相手も。


全力で来る。


カイは。


自然と。


笑っていた。


「楽しみだな……」


今の自分を。


どこまで。


出せるのか。


試せる。


ドリームワールドとは。


違う。


でも。


ここにも。


自分が。


全力になれる場所がある。


⸻


帰り道。


悠斗が。


横を歩く。


「明日寝坊すんなよ」


「しないって」


「今日みたいに動けよ」


「もっと動けるかも」


悠斗が。


カイを見る。


「それ以上やるの?」


「試合だし」


「相手かわいそうだな」


「まだ勝ってないって」


「まあな」


二人が。


笑う。


分かれ道。


悠斗が。


手を上げる。


「じゃあ明日」


「うん」


「絶対勝つぞ」


「ああ」


カイも。


手を上げた。


「勝とう」


⸻


夜。


夕食。


風呂。


自分の部屋。


カイは。


ベッドへ横になっていた。


今日は。


何も危険なことはなかった。


学校へ行き。


友達と話し。


サッカーをした。


平和な。


一日。


安心する。


でも。


朝。


感じた気持ちも。


消えてはいない。


ドリームワールドへ。


行きたい。


「……変だよな」


あんなに。


危ないのに。


それでも。


次が気になる。


カイは。


天井を見る。


そして。


少し笑った。


でも。


今日。


サッカーをしていて。


分かった。


現実にだって。


自分が夢中になれるものがある。


明日は。


大会。


全力で。


戦える。


そして。


眠れば。


あの世界へ戻る。


どちらか。


一つじゃない。


どちらも。


自分がいる場所。


「……まずは」


目を閉じる。


「剣かな」


ガルドとの約束。


思い浮かべながら。


カイは。


眠りへ落ちていった。


⸻


鳥の声。


カイが。


目を開ける。


見慣れない天井。


火ノ島。


龍人族の集落。


「戻った」


身体を起こす。


窓の外。


朝。


現実では。


夜だった。


でも。


こちらでは。


新しい一日が始まっている。


外へ出る。


少し離れた場所。


ガルドが。


すでに立っていた。


その横。


ロウガ。


そして。


レオン。


カイが。


少し笑う。


「本当に来たんだ」


レオンが。


眠そうな顔で見る。


「見るだけだからな」


ロウガが。


横から答える。


「なら、よく見ておけ」


「分かってるよ」


ガルドが。


カイを見る。


「準備はいいか」


「うん」


カイは。


腰のラグナリスへ手を置いた。


ガルドも。


剣を抜く。


「まず」


カイが。


ラグナリスへ手を伸ばす。


だが。


ガルドが。


それを止めた。


「まだ抜くな」


「え?」


「見ていろ」


ガルドが。


少し離れる。


剣を。


構えた。


カイの表情が。


変わる。


足。


肩幅より。


僅かに広い。


重心。


低い。


剣を握る手。


力が入っているようには。


見えない。


ガルドが。


踏み込んだ。


一閃。


ブンッ――!


鋭い音。


剣が止まる。


もう一度。


今度は。


横。


次。


下から。


さらに。


突き。


一歩下がる。


受ける。


流す。


踏み込み。


振り抜く。


全ての動きが。


繋がっている。


カイは。


ただ見ていた。


いや。


違う。


《観察》。


足。


最初に。


地面を押す。


次。


腰。


肩。


肘。


手首。


最後に。


剣。


剣を振っているように見えて。


力は。


足元から。


全部。


繋がっている。


構えも。


ただ剣を前へ出しているわけではない。


次。


どの方向にも。


動ける位置。


「……なるほど」


カイが。


小さく呟く。


ガルドが。


もう一度。


同じ型を繰り返す。


一度目より。


見える。


剣先ではない。


身体。


どこが。


どう動いているのか。


カイの視界に。


文字が浮かんだ。


――――――――――


《観察により技能の基礎を把握しました》


《新規SKILLを獲得しました》


《剣術 Lv.1》


――――――――――


「……出た」


ガルドが。


剣を止める。


「何がだ」


「剣術」


レオンが。


カイを見る。


「は?」


「Lv.1」


「待て」


レオンが。


一歩近づく。


「お前まだ剣振ってないだろ」


「うん」


「見てただけだろ?」


「うん」


「何で剣術覚えるんだよ!」


カイが。


少し笑う。


「俺に言われても」


ガルドは。


驚いたようにカイを見る。


だが。


すぐに。


表情を戻した。


「理解しただけだ」


「うん」


「実際に使えるかは別だ」


「じゃあ試そう」


カイが。


ラグナリスを抜く。


黒銀の刀身。


朝の光。


白と赤。


二つの筋が。


僅かに輝く。


ガルドが。


剣を構えた。


「来い」


「いきなり?」


「覚えたのだろう」


「Lv.1だけど」


「なら」


ガルドが。


剣先を向ける。


「一から使ってみろ」


カイも。


構えた。


さっき。


見た。


足。


腰。


肩。


剣。


地面を蹴る。


前へ。


剣を振る。


ガキン――!


ガルドが。


簡単に受けた。


「っ!」


衝撃。


だが。


身体は。


さっき想像していた通りに動いた。


ガルドが。


すぐに剣を返す。


赤い線。


《予測》。


右上。


カイが。


ラグナリスを上げる。


ガキッ!


強い。


剣が。


外へ流れる。


ガルドの刃が。


肩の前で止まった。


「……見えてたのに」


「遅い」


ガルドが。


剣を戻す。


「もう一度」


次。


左。


赤い線。


カイが。


剣を動かす。


ガキン!


今度は。


さっきより。


流れない。


「まだだ」


次。


突き。


予測。


身体を。


横へ。


剣が。


通り過ぎる。


カイが。


反撃。


ガルドが。


軽く弾く。


何度も。


剣がぶつかる。


ガキン。


ガキッ。


カンッ!


カイは。


少しずつ。


分かってきた。


《観察》。


ガルドの足。


腰。


肩。


《予測》。


次の剣筋。


その二つを。


剣術へ重ねる。


見える。


そこへ。


剣を置く。


次は。


ただ受けない。


角度をつける。


ガキン――!


ガルドの剣が。


横へ流れた。


「あ」


初めて。


受け流せた。


カイが。


そのまま踏み込む。


ラグナリス。


ガルドの脇腹へ。


だが。


届く前。


ガルドの剣が。


カイの首元へ止まった。


「……負けた」


「当然だ」


「今ちょっといけると思ったのに」


「そう思った時が一番危ない」


「厳しいなあ」


後ろ。


レオンが。


笑う。


ロウガが。


その横で言った。


「次は俺だ」


カイが。


ロウガを見る。


「ロウガも?」


「ああ」


剣を抜く。


「ガルドだけ見て覚えたつもりになるな」


「分かった」


ロウガが。


構える。


ガルドとは。


違う。


ほとんど。


力が入っていないように見える。


次の瞬間。


速い。


「っ!」


カイが。


咄嗟に受ける。


ガキッ!


すぐ。


次。


右。


下。


横。


「速っ!」


最低限の動き。


無駄がない。


カイは。


必死に見る。


《観察》。


《予測》。


足。


視線。


肩。


赤い線。


一つ。


二つ。


三つ。


剣で。


受ける。


流す。


かわす。


時々。


反撃する。


最初は。


何度も。


首。


肩。


胸。


剣を止められた。


それでも。


続ける。


ガルド。


ロウガ。


交代しながら。


何度も。


剣を交える。


一時間。


さらに。


時間が過ぎる。


カイの額から。


汗が落ちる。


腕も。


重い。


だが。


最初とは。


明らかに違う。


ガルドの剣。


赤い線。


カイが。


一歩。


前へ。


ガキン!


流す。


そのまま。


身体を入れる。


剣。


ガルドの腕へ。


ガキッ!


今度は。


ガルドが受けた。


カイの目が。


大きくなる。


「今!」


「止まるな」


ガルドの剣。


下から。


カイが。


すぐに下がる。


避ける。


再び。


踏み込む。


ガキン!


ガキッ!


剣と剣。


何度も。


音が響く。


その時。


表示。


――――――――――


《観察の熟練度が一定値に達しました》


《観察 Lv.1 → Lv.2》


――――――――――


「あ」


一瞬。


目が止まる。


「余所見をするな」


「うわっ!」


ガルドの剣。


カイが。


慌てて受ける。


ガキン!


レオンが。


吹き出す。


「危なっ!」


「笑うなって!」


カイが。


再び。


ガルドを見る。


《観察 Lv.2》。


さっきより。


一度に。


多く見える。


足。


腰。


肩。


腕。


剣。


別々ではない。


一つの動きとして。


繋がって見える。


次。


ガルドが。


踏み込む。


赤い線。


カイも。


動く。


剣。


正面。


受ける。


そのまま。


流す。


反撃。


ガルドが。


受ける。


さらに。


カイが。


もう一歩。


入る。


ガキン――!


二人の剣が。


止まった。


ガルドが。


カイを見る。


少し。


目が変わる。


その直後。


――――――――――


《剣術の熟練度が一定値に達しました》


《剣術 Lv.1 → Lv.2》


――――――――――


「……二になった」


ガルドの剣が。


止まる。


「何?」


「剣術」


カイが。


息を整える。


「Lv.2」


ガルドが。


カイを見る。


次に。


空を見る。


それから。


もう一度。


カイを見る。


「……数時間だぞ」


「うん」


「剣を握ってから」


「まだ数時間しか経っていない」


カイが。


少し不安になる。


「早すぎる?」


ガルドは。


すぐには答えなかった。


やがて。


小さく息を吐く。


「早い」


一度。


剣を見る。


「だが」


ガルドの口元が。


僅かに上がった。


「これなら」


カイを見る。


「まだまだできるな」


カイの表情が。


明るくなる。


「ほんと?」


「ああ」


「ただし」


剣先を。


カイへ向ける。


「二になった程度で調子に乗るな」


「分かってるって」


カイは。


笑う。


ガルドの《剣術 Lv.6》。


自分は。


まだLv.2。


差は。


大きい。


でも。


今日。


始めたばかり。


カイは。


ラグナリスを見る。


「もっとやりたい」


ガルドが。


頷く。


「なら」


森の方を見る。


「次は実戦だ」


カイの顔が。


さらに明るくなる。


「狩り?」


「ああ」


ロウガが。


剣を鞘へ戻す。


「動かない相手と」


「分かっている攻撃だけを繰り返しても意味はない」


レオンが。


肩を回す。


「俺も行くよ」


カイが見る。


「見るだけじゃなかったの?」


「ここまで来たら行く」


「結局やる気じゃん」


「うるさい」


リシアも。


弓を背負い直す。


ナタリーが。


少し離れたところから歩いてくる。


「終わったか」


「うん」


カイが。


ラグナリスを鞘へ戻す。


背中には。


いつもの弓。


腰には。


新しい剣。


弓術。


Lv.2。


剣術。


Lv.2。


二つ。


カイは。


それぞれへ。


一度ずつ触れた。


今まで。


遠くから戦うことが多かった。


でも。


これからは。


近づかれても。


戦える。


そして。


もしかしたら。


両方を。


一つの戦いの中で。


使えるかもしれない。


ガルドが。


歩き始める。


「行くぞ」


「うん!」


カイは。


すぐに後を追った。


明日は。


現実で。


サッカーの大会。


今の自分を。


全力で試せる。


そして。


こちらでは。


新しく手に入れた剣を。


実戦で試す。


どちらの世界でも。


今の自分が。


どこまでやれるのか。


カイは。


それを。


楽しみにしていた。


⸻


【DP集計】


開始所持:1,863DP


現実世界:

移動・授業・学習・部活動 +96DP


ドリームワールド:

剣術修練・技能習得 +34DP


獲得:+130DP


消費:0DP


終了所持:1,993DP


⸻


【神谷 海 現在】


LEVEL:14


HP:165 / 165


MP:60 / 60


筋力:30

体力:29

敏捷:38

器用:23

知力:23

感知:31

精神:23


LEVEL進行度:54%


未使用SP:18


所持DP:1,993


属性:

《光》

《炎》


SKILL


《予測 Lv.3》

《観察 Lv.2》

《鑑定 Lv.3》


《弓術 Lv.2》

《剣術 Lv.2》


《狩猟 Lv.2》

《追跡 Lv.2》

《静音歩行 Lv.1》

《方位確認 Lv.1》


《工作 Lv.1》

《ロープワーク Lv.1》


《光魔法 Lv.1》

《治癒 Lv.2》


《炎魔法》

使用条件未達


EQUIPMENT


光焔剣《ラグナリス》


固有能力


《浄化》

《???》

《???》

《???》


一部能力:閲覧条件未達

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。