第23話 闇の種
第23話 闇の種
ヴォルグが。
剣を抜いた。
カチャ――。
その音を合図にするように。
周囲の黒炉の龍人族たちも。
次々に武器を構える。
ガルドは。
ヴォルグから目を逸らさなかった。
「剣を収めろ」
「黙れ」
ヴォルグが。
低く返す。
「バルガたちを返せ」
「話を聞け」
「聞くことなどない!」
ヴォルグが。
地面を蹴った。
一気に。
ガルドとの距離が縮まる。
剣。
横薙ぎ。
ガルドも。
剣を抜いた。
ガキン――!
二本の刃が。
正面からぶつかる。
「っ……!」
ヴォルグが。
そのまま押し込む。
ガルドの腕が。
僅かに下がる。
だが。
足は。
動かない。
「まだ分からないのか」
ガルドが言う。
「お前が聞いていた五族長会議の話は――」
「黙れ!」
ヴォルグが。
剣を弾く。
続けて。
一撃。
二撃。
三撃。
荒い。
だが。
速い。
ガキン。
ガキッ!
ガルドが。
全て受ける。
後ろへは。
一歩も下がらない。
カイは。
その戦いを見ていた。
ヴォルグも。
弱くない。
それは。
剣を見れば分かる。
でも。
ガルドは。
違った。
ヴォルグが振る。
ガルドが受ける。
次。
ヴォルグが踏み込む。
その前に。
ガルドの身体が。
僅かに動く。
まるで。
次に何が来るのか。
最初から分かっているようだった。
ヴォルグの剣が。
大きく振り下ろされる。
ガルドが。
半歩。
横へ。
刃が。
空を切る。
その瞬間。
ガルドの剣が。
ヴォルグの剣を。
横から強く叩いた。
ガキィン――!
「っ!」
ヴォルグの腕が。
大きく外へ流れる。
ガルドが。
懐へ入った。
肘。
ヴォルグの胸へ。
ドンッ!
「ぐっ!」
ヴォルグが。
二歩。
三歩。
後ろへ下がる。
それでも。
すぐに剣を構え直した。
「まだだ!」
再び。
飛び込む。
その横。
黒炉の龍人族たちも動いた。
「ヴォルグ様を守れ!」
三人。
ロウガへ。
二人が。
レオンへ。
さらに。
ナタリーたちへ。
一斉に向かう。
「来るぞ!」
レオンが。
剣を抜いた。
ロウガは。
前へ出る。
一人目。
剣。
ロウガが。
自分の剣を僅かに傾ける。
ガキッ!
刃が滑る。
そのまま。
手首を打つ。
「っ!」
剣が落ちた。
二人目。
横から。
ロウガは。
身体を半歩引くだけ。
剣が。
目の前を通り過ぎる。
柄で。
顎。
「ぐっ!」
膝が落ちる。
三人目が。
背後から踏み込んだ。
「ロウガ!」
カイが叫ぶ。
だが。
ロウガは。
振り返りもしなかった。
身体を沈める。
剣が。
頭上を通る。
次の瞬間。
足を払った。
ドサッ!
三人。
ほとんど。
何もさせていない。
「……強い」
カイが呟く。
三人とも。
決して弱くはない。
だが。
ロウガとの差は。
明らかだった。
その反対側。
レオンも。
黒炉の戦士と剣を交えている。
ガキン!
一度。
二度。
相手の剣を受ける。
三度目。
レオンが。
身体を横へずらした。
「っ!」
振り下ろされた剣が。
空を切る。
そのまま。
柄で腹を打つ。
「ぐっ!」
黒炉の戦士が。
膝をついた。
別の一人が。
レオンへ向かう。
だが。
足元。
一本の矢が。
突き刺さった。
「止まれ」
ナタリー。
弓を構えている。
さらに。
リシアも。
すでに次の矢を番えていた。
黒炉の戦士が。
二人を見る。
動けない。
周囲では。
次々に。
黒炉の者たちが押されていく。
ヴォルグが。
その光景を見る。
「何をしている!」
怒声。
黒炉の者たちが。
一斉にヴォルグを見る。
「ガラン!」
一人の龍人族が。
顔を上げた。
「立て!」
「……ヴォルグ様」
ガランが。
剣を支えに身体を起こす。
だが。
片膝をついたまま。
呼吸は荒い。
「まだ終わっていない!」
ヴォルグが叫ぶ。
「全員立て!」
黒炉の者たちが。
互いを見る。
「戦え!」
「黒炉を守れ!」
ガランが。
僅かに眉を寄せる。
「ですが……」
「黙れ!」
ヴォルグの声が。
集落へ響いた。
そして。
ガルドたちを指差す。
「命に代えても!」
「こやつらを殺せ!」
一瞬。
誰も動かなかった。
カイの表情が。
変わる。
ナタリーも。
弓を構えたまま。
ヴォルグを見る。
ガランも。
動かなかった。
「……ガラン」
ヴォルグが。
低い声で呼ぶ。
「何をしている」
「剣を取れ」
ガランは。
地面に落ちている剣を見る。
だが。
手を伸ばさない。
「聞こえないのか!」
「戦え!」
「……ヴォルグ様」
ガランが。
ゆっくり顔を上げた。
「俺たちは」
一度。
周囲を見る。
倒れている仲間。
傷ついた者。
武器を失った者。
「黒炉を守るために戦っているんですよね」
「そうだ!」
「だったら……」
ガランが。
ヴォルグを見る。
「俺たちが死んだら」
少し間を置く。
「誰が黒炉を守るんですか」
静かになった。
ヴォルグの顔が。
強張る。
「何を……」
「前のヴォルグ様なら」
ガランが続ける。
「俺たちに」
「命に代えて戦えなんて言わなかった」
ヴォルグの目が。
見開かれる。
「貴様……!」
ガランが。
首を横に振った。
「ずっと変だと思っていました」
「ここ数か月」
「怒鳴ることが増えて」
「誰の話も聞かなくなって」
「それでも」
ガランが。
拳を握る。
「ヴォルグ様だから」
「何か考えがあるんだと思ってた」
ヴォルグが。
ガランを睨む。
「なら従え!」
「……できません」
その一言。
ヴォルグの表情が。
止まった。
ガランが。
剣から手を離す。
「今のヴォルグ様には」
「従えません」
カラン。
剣が。
完全に地面へ落ちた。
それを見て。
一人。
また一人。
黒炉の者たちが。
武器を下ろしていく。
カラン。
カラン。
音が続く。
「何をしている!」
ヴォルグが叫ぶ。
「拾え!」
誰も動かない。
「戦え!」
返事もない。
「俺の命令が聞けないのか!」
ガランが。
ヴォルグを見た。
「……もう」
静かな声。
「仲間を死なせる命令には従えません」
ヴォルグの拳が。
震えた。
「貴様ら……」
「貴様らまで……」
その顔が。
怒りに歪む。
「俺を裏切るのか……!」
ガルドが。
ヴォルグを見る。
「違う」
ヴォルグの目が。
ガルドへ向く。
「お前が」
ガルドは。
剣を構える。
「皆を遠ざけているんだ」
「黙れぇぇぇ!」
ヴォルグが。
地面を蹴る。
一人で。
ガルドへ向かう。
「全部……」
走りながら。
叫ぶ。
「全部お前たちが悪い!」
剣。
ガルドが受ける。
ガキン――!
「黒炉を!」
もう一撃。
「奪おうとするから!」
ガキン!
「俺が!」
さらに。
「守らなければならないんだ!」
剣を振り上げる。
ガルドは。
ヴォルグの顔を見た。
そこにあるのは。
怒り。
焦り。
恐怖。
「……ヴォルグ」
振り下ろされる剣。
ガルドが。
正面から受ける。
次の瞬間。
強く。
弾いた。
ガキィン――!
ヴォルグの腕が。
外へ流れる。
「っ!」
ガルドが。
踏み込む。
拳。
腹へ。
ドンッ!
「ぐっ……!」
ヴォルグの身体が。
大きく折れた。
その腕を取る。
捻る。
剣が。
地面へ落ちた。
ガルドが。
そのまま身体を押さえ込む。
ドサッ!
「離せ!」
ヴォルグが。
地面でもがく。
「離せ!」
「もう終わりだ」
「終わっていない!」
ヴォルグが。
なおも暴れる。
「黒炉を守らなければ!」
「俺が!」
「俺がやらなければ――!」
ロウガが。
無言で近づく。
反対の腕を押さえた。
二人がかり。
それでも。
ヴォルグは。
しばらく抵抗を続けた。
やがて。
身体から。
少しずつ力が抜ける。
荒い呼吸。
それでも。
目だけは。
ガルドを睨み続けている。
黒炉の者たちは。
誰一人。
助けようとはしなかった。
武器を置いたまま。
自分たちの族長を。
ただ。
見つめていた。
⸻
ヴォルグの剣を取り上げ。
両手を。
縄で縛る。
それでも。
ヴォルグは。
周囲の黒炉の者たちを睨んでいた。
「ガラン……」
ガランが。
顔を上げる。
「今ならまだ許す」
ヴォルグが。
低い声で言う。
「縄を解け」
ガランは。
動かなかった。
「ガラン!」
「……できません」
ヴォルグの顔が。
さらに歪む。
「貴様……!」
ガランは。
ヴォルグから目を逸らさなかった。
「大長老に」
一度。
言葉を切る。
「判断してもらってください」
ヴォルグが。
何かを言おうとする。
だが。
ガルドが。
その前へ立った。
「行くぞ」
「離せ!」
「歩け」
「俺は黒炉の族長だぞ!」
「だからだ」
ガルドが。
ヴォルグを見る。
「大長老に話をしてもらう」
ヴォルグは。
歯を食いしばった。
カイは。
少し離れたところから。
ガランを見る。
ガランも。
ヴォルグを見ていた。
その表情は。
怒っているようには見えなかった。
むしろ。
苦しそうだった。
自分たちの族長。
ずっと。
信じてきた人。
その人へ。
初めて逆らった。
そんな顔に見えた。
ガルドが。
黒炉の者たちを見る。
「お前たちはここに残れ」
誰も。
答えない。
「ヴォルグ族長のことは」
「大長老に判断していただく」
ガランが。
ゆっくり頷いた。
「……お願いします」
ガルドも。
一度だけ頷いた。
そして。
ヴォルグを連れ。
黒炉集落を後にした。
⸻
来た道を。
戻る。
ヴォルグは。
何度も足を止めようとした。
その度に。
ガルドが前へ進ませる。
「離せ」
「歩け」
「黒炉へ戻る」
「駄目だ」
「俺がいなければ――」
「今はガランたちがいる」
ヴォルグの足が。
止まった。
「あいつらに」
声が。
低くなる。
「黒炉を任せられるわけがない」
ガルドが。
ヴォルグを見る。
「お前が信じてきた者たちだろう」
「黙れ」
「違うのか」
「黙れ!」
ヴォルグが。
また声を荒らげる。
ガルドは。
それ以上。
何も言わなかった。
カイは。
少し後ろを歩きながら。
その様子を見ていた。
バルガが。
言っていた。
数か月前から。
人が変わった。
すぐに怒鳴る。
誰の話も聞かない。
他の集落を。
異常なほど敵視するようになった。
そして。
今。
黒炉を守ると言いながら。
黒炉の者たちへ。
命を捨てて戦えと命じた。
「……」
カイは。
前を歩くヴォルグを見る。
やっぱり。
何かがおかしい。
そんな思いが。
少しずつ。
強くなっていた。
⸻
ドレグ族長のいる建物へ戻る。
扉を開く。
中。
ドレグ。
ラザン。
そして。
バルガ。
シド。
ケイン。
三人も。
まだそこにいた。
ガルドが。
一歩前へ出る。
「ドレグ族長」
ドレグが。
ガルドを見る。
その後ろ。
縛られたヴォルグ。
表情が。
僅かに変わる。
「連れてきたか」
「はい」
ガルドが。
続けてラザンへ頭を下げる。
「大長老」
ラザンは。
静かにヴォルグを見た。
「ヴォルグ」
ヴォルグが。
顔を上げる。
「……何だ」
「まずは座れ」
「俺は――」
「座れ」
静かな声。
それだけだった。
ヴォルグの口が。
止まる。
しばらく。
ラザンを見る。
そして。
乱暴に。
腰を下ろした。
その姿を見た。
バルガの目が。
大きくなる。
「ヴォルグ様……」
ヴォルグが。
バルガを見る。
「何を話した」
「……」
「何を話したと聞いている!」
バルガの肩が。
びくりと動く。
ドレグが。
眉を寄せた。
「ヴォルグ」
「黙っていろ!」
ヴォルグが。
ドレグを睨む。
その瞬間。
カイの中で。
何かが引っかかった。
黒炉での。
ヴォルグ。
ガランたちへ。
命を捨てろとまで言った。
その姿。
バルガの話。
全部が。
頭の中で。
繋がる。
カイは。
ヴォルグを見る。
「……鑑定」
視界に。
表示が開いた。
――――――――――
《鑑定 Lv.3》
名前:ヴォルグ
種族:龍人族
LEVEL:27
SKILL
《剣術 Lv.6》
《火魔法 Lv.5》
《統率 Lv.4》
状態異常:
《闇の種 Lv.2》
詳細:閲覧不可
解除方法:不明
――――――――――
「……え?」
カイの声が。
漏れた。
ナタリーが。
カイを見る。
「どうした?」
カイは。
表示から目を離せない。
知らない言葉。
今まで。
一度も見たことがない。
「闇の……種?」
室内が。
静かになる。
ヴォルグが。
カイを見る。
「何を言っている」
ガルドが。
カイへ顔を向けた。
「何か見えたのか?」
「うん」
カイは。
もう一度表示を見る。
変わらない。
「ヴォルグに」
一度。
言葉を止める。
「《闇の種 Lv.2》って出てる」
ラザンの目が。
僅かに細くなる。
「闇の種……」
カイが。
ラザンを見る。
「知ってる?」
ラザンは。
ゆっくり首を横に振った。
「いや」
ドレグも。
同じだった。
ガルドが。
ヴォルグを見る。
「状態異常なのか?」
「そう出てる」
「何をするものだ」
「分からない」
カイは。
表示を見る。
「詳細も見えない」
「治す方法も……出てない」
ロウガが。
腕を組む。
「毒とは違うのか?」
「多分」
カイが答える。
「火晶毒の時は」
「原因も」
「どうすればいいかも出た」
もう一度。
《闇の種 Lv.2》。
「でもこれは」
「何も分からない」
カイは。
少し考え。
右手を上げかける。
治癒。
そう思った。
だが。
止める。
傷ではない。
病気とも。
毒とも違う。
何に。
治癒を使えばいいのかさえ。
分からない。
腰。
ラグナリス。
カイの目が。
そこへ向く。
祭壇で見えた。
固有能力。
《浄化》。
カイが。
柄へ手を置いた。
意識を向ける。
何も起こらない。
僅かな光。
それだけ。
「……駄目だ」
ガルドが。
見る。
「何がだ」
「この剣に」
カイが。
ラグナリスを見る。
「《浄化》っていう力がある」
ラザンの表情が。
僅かに変わる。
「浄化……」
「でも」
カイは。
首を横に振った。
「どうやって使うのか分からない」
ラグナリスへ。
意識を向ける。
「鑑定」
――――――――――
名称:光焔剣
分類:伝説武器
属性:光/炎
適合属性:光属性/炎属性
固有能力
《浄化》
《???》
《???》
《???》
一部能力:
閲覧条件未達
《浄化》
使用条件未達
――――――――――
カイの目が。
止まった。
「……まだ使えない」
レオンが。
横から聞く。
「条件があるのか?」
「うん」
「でも」
カイは。
表示を見る。
「何が必要なのかまでは出てない」
ヴォルグが。
鼻で笑った。
「くだらん」
ガルドの目が。
鋭くなる。
「ヴォルグ」
「俺に妙なものが入っているとでも言うのか?」
「そう出てる」
カイが答えた。
ヴォルグが。
カイを睨む。
「なら取ってみろ」
「……」
「できないのだろう?」
その言葉に。
カイは。
何も返せなかった。
できない。
今は。
本当に。
何もできない。
ラザンが。
静かに口を開いた。
「カイ」
「うん?」
「十分だ」
カイが。
ラザンを見る。
「だが」
「このまま――」
「今、分からぬものを」
ラザンが言う。
「無理に触る必要はない」
カイは。
少し黙る。
そして。
頷いた。
「……うん」
ラザンが。
ヴォルグを見る。
「ヴォルグは、こちらで預かる」
ヴォルグの眉が。
大きく寄る。
「俺を閉じ込めるつもりか」
「今のお前を」
ラザンは。
目を逸らさない。
「黒炉へ戻すことはできぬ」
「ふざけるな!」
ヴォルグが。
立ち上がろうとする。
ガルドが。
すぐに肩へ手を置く。
「座れ」
「離せ!」
「ヴォルグ」
ガルドの声が。
低くなる。
「もうやめろ」
ヴォルグが。
ガルドを見る。
二人の視線が。
ぶつかる。
「黒炉は俺の集落だ」
ヴォルグが。
歯を食いしばる。
「俺が戻らなければ」
「誰が守る」
ガルドが。
静かに答えた。
「ガランたちがいる」
ヴォルグの目が。
鋭くなる。
「あいつらは俺を裏切った!」
「違う」
「違わない!」
再び。
立ち上がろうとする。
だが。
ガルドの手が。
動かさない。
「お前自身が」
ガルドが言う。
「そうさせたんだ」
ヴォルグが。
何かを言おうとする。
だが。
言葉にならなかった。
荒い息。
強く握られた拳。
ラザンが。
静かに続ける。
「ヴォルグ」
「今は休め」
「……」
「話は」
「お前が落ち着いてから聞く」
ヴォルグは。
長い間。
何も答えなかった。
やがて。
ゆっくり。
顔を背けた。
⸻
話が一段落すると。
ガルドたちは。
建物を出た。
外。
空は。
もう暗くなっていた。
遠く。
炉の火。
家々の灯り。
カイは。
建物の前で。
一度。
振り返った。
中には。
ヴォルグがいる。
《闇の種 Lv.2》。
聞いたこともない。
何なのかも分からない。
なぜ。
ヴォルグにあるのか。
それも分からない。
ナタリーが。
隣へ来た。
「気になるか」
「うん」
カイは。
短く答えた。
「でも」
腰のラグナリスを見る。
「今は何もできない」
ナタリーは。
少しだけカイを見る。
「ああ」
それ以上。
何も言わなかった。
前。
ガルドが。
立ち止まっている。
カイが。
そちらへ歩く。
「ガルド」
「何だ」
「剣」
ガルドの目が。
カイの腰へ向く。
「覚えてる?」
「忘れていない」
カイの表情が。
少しだけ明るくなる。
「じゃあ――」
「今日はやらん」
「え?」
ガルドが。
空を見る。
「暗い」
「……あ」
「それに」
ガルドは。
カイを見る。
「お前も疲れているだろう」
「まあ……」
崖から落ち。
月白草を採り。
患者を治療し。
黒炉へ向かい。
また戻ってきた。
身体は。
確かに重かった。
ガルドが。
歩き出す。
「次だ」
「次?」
「ああ」
「約束したからな」
カイが。
少し笑う。
「絶対だよ」
「分かっている」
ロウガが。
その横から言った。
「先に言っておく」
カイが見る。
「何?」
「剣は甘くないぞ」
「分かってるって」
「今のうちにそう言っておけ」
「何それ」
レオンが。
後ろから笑う。
「明日になったら泣いてるかもな」
「泣かないよ!」
「どうだか」
「レオンも一緒にやれば?」
「俺は剣使えるし」
ロウガが。
レオンを見る。
「なら、お前も来い」
レオンの顔が。
止まった。
「……え?」
「龍人族の剣術が気になるのだろう?」
カイが。
吹き出す。
「言ってたじゃん」
「いや」
「俺は見るだけって――」
「見るだけでも来い」
ロウガが。
前を向く。
レオンが。
カイを見る。
「余計なこと言ったな」
「俺じゃないじゃん!」
久しぶりに。
少しだけ。
笑えた。
だが。
カイの頭の片隅には。
ずっと。
一つの言葉が残っていた。
《闇の種》。
この世界に。
まだ。
自分の知らないものがある。
それも。
今まで見てきた。
海や。
植物や。
新しい大地とは。
明らかに違う何か。
カイは。
夜空を見上げた。
綺麗な星が。
広がっている。
その下。
自分が作り始めた世界。
そこに。
初めて。
「闇」という言葉が。
現れていた。
⸻
【DP集計】
開始所持:1,820DP
獲得:+43DP
消費:0DP
終了所持:1,863DP
⸻
【神谷 海 現在】
LEVEL:14
HP:165 / 165
MP:60 / 60
筋力:30
体力:29
敏捷:38
器用:23
知力:23
感知:31
精神:23
LEVEL進行度:54%
未使用SP:18
所持DP:1,863
属性:
《光》
《炎》
SKILL
《予測 Lv.3》
《観察 Lv.1》
《鑑定 Lv.3》
《弓術 Lv.2》
《狩猟 Lv.2》
《追跡 Lv.2》
《静音歩行 Lv.1》
《方位確認 Lv.1》
《工作 Lv.1》
《ロープワーク Lv.1》
《光魔法 Lv.1》
《治癒 Lv.2》
《炎魔法》
使用条件未達
EQUIPMENT
光焔剣
固有能力
《浄化》
《???》
《???》
《???》
一部能力:閲覧条件未達
《浄化》:使用条件未達




