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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#8 知らない顔
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#8-2 目まぐるしい景色の中で

見えた君の知らない一面

 

「いいってもう。片側だけで」


「えぇ?んー……まぁいっか。これはこれでおしゃれか」


「いいねぇ優也とは思えないぐらいおしゃれ」


「浮かれメガネは黙っててください」



 8月某日────ディスティニーランド園内にて



 優也も同じじゃーん!と2人に突っ込まれる。これ、ファッショングラスっていうやつ?は別に好き好んでかけたわけじゃなくてこの浮かれメガネ野郎にかけられただけだし。そもそも今日の服装自体この2人に着せ替え人形させられたし。


 俺はオーバーサイズの緋色のデザインシャツに黒T黒デニム、龍斗さんは紺色のシャツと裾の広がったオシャレなボトムス、海美は眩しく弾ける黄色の華やかなトップスに甘すぎないデニムのミニスカート。


 これじゃ信号機だろ!?と突っ込んでいいね信号機!!とサムズアップとともに返された時にはめまいがしたもんだ。


「海美ちゃんのおさげ三つ編みもいいね」


「でしょ?短くても可愛い結び方見つけたの!それにこのサングラスでお忍びディスティニーってわけ!良くない!?怖いわぁ……自分の才能が」


「俺はお前の行動力が怖いよ」


 つい先日、突然特別にお休みをもらった!と俺と龍斗さんのところへ駆け込んできたときには急な話すぎて頭がついていかなかった。しかも狛坂さんと狛華さんにも協力を要請して各申請だ許可だ監視役の手配だ、あれよあれよと決まっていき、いつのまにかディスティニーランドの許可をもぎとっていて、気が付けばここにいた。


『ディスティニーランドに行こう!』


『はぁ?あのなぁ、そんな暇あったら訓r痛ッ!?』


『っとと……いいね、行こ行こ!』


 そんなやりとりがもうずいぶん昔のように思える。


「どれから乗ろうかなぁ!やっぱり王道ジェットコースター?」


「最近新しいエリアができたらしいし、そっちの方がいいんじゃない?混んじゃう前にさ」


「あ〜確かに。あそうだ、狛華さん!どう思う?」


 海美が電話の先の相手へ語りかける。


 ミューシスは流石に外せないがインカムは周りの客に不審感を与えかねないということで監視員に緊急時に備えて預かってもらっている。その代わりに支給されたのがこの携帯だ。できるのはこの司令部への通信とこの遊園地の地図確認とチケット予約ぐらいだけど。


『そうですね……解析の結果、新エリアのアトラクションは待ち時間が大変長く、そちらにお客様も流れているようなので、今のうちに空いているボルケーノジェットコースターはいかがでしょうか』


「なるほどね!よし、ボルケーノジェットコースター行こう!」


『新エリアのアトラクションの優先チケットはその間に取得しておきましょう。今は空きがありませんが、更新しているとあるかもしれません。私が確認しておくのでご心配なく!』


「わぁ!ありがとう!」


「…………すみません。狛華さん」


 何させてんだよ。狛華さんは一応長官第二補佐、メインオペレーター兼グラフィック解析のプロ、SCRの司令部の中じゃ3番目に偉いすごい人なんだぞ。一応立場で言うなら俺たち特殊戦闘部より上だぞ。こんな遊びに付き合わせて本当に申し訳ない。


『いえいえ、とんでもないです。私も半休をいただいていますし、何より楽しいので!午後は狛坂さんが半休で担当しますのでご安心ください』


「ほんとすみません……」


「あ〜狛華さんも一緒に来れたらなぁ。園内じゃグラフィックも取れないし、携帯でしか私たち映らないよね。いつもと違って」


 こんな遊園地にまでうちのカメラは置いてない。当然だ。


「その代わり、ちゃんと貸してもらった携帯で優也のこと写真とるからね!」


「え?俺?」


「あっ、優也……と龍斗さんと私の写真!みんなで撮ったの送るから、楽しみにしてて!」


『海美ちゃん……!!ありがとう!!』


「超イケメンと噂の俺の単体写真もいるかな?」


『あっ大丈夫です』


「泣いた」


「龍斗さん……アラサーの単独写真はちょっと……」


「ア゜」


「やめろオーバーキルするな。てか何だよこの中身のないやりとり!?」


 困惑する俺を置いて龍斗さんと海美は携帯を覗き込みそこに映し出された地図を指でくるくると回している。


「今は……ここだから、こっちに行けばいいんじゃない?ボルケーノ」


「おっけ。じゃあ早速行こう」


 途中のワゴンでも寄ってポップコーンでも食べよう!と言いながらスキップでもしそうな浮いた足取りで2人が歩く。ほんと浮かれてるな。でも楽しんでるならいいか。そう2人の後ろを着いていくように歩いていると、海美がクルっと振り返った。


「ねぇ優也、ジェットコースター乗ったことある?」


「存在は知ってる」


「そ………」


「おとなしく初めてって言えよ」


 遠目ではずっと見えているこの遊園地のシンボルのような大きな火山。少し歩いてその麓まで行くと入り口にボルケーノジェットコースターと荒々しいデザインの英語で描かれた大きな看板が掛かっていて、その近くで高校生が自撮りを撮っている。これか?


「お〜これだ!空いてそうだね!」


「じゃ行こうか。ジェットコースター初心者くん?」


 つん、と頭を突かれる。ニヤニヤと挑戦的に笑う龍斗さんについ、別に、と語気が強まった。


「どうせ大したことないでしょ。いつもの任務の方がよっぽど──」





「何!?暗い!?何かえっふわっとし……!?うぎゃあぁああぁああっ落ちるううううああああ!?!?もう無理!!助けて!!」





「「優也……」」


「そんな目で見るな……」


 フラフラとおぼつかない足取りでコースターから降り、2人に支えられながらアトラクションの外へ出る。今でも心臓がバクバクしてる。変な汗は止まらない。そんな様子の俺を憐れむように龍斗さんが肩にポンと手を置く。


「まさか大絶叫とはね」


「いつもの任務の方が何倍も怖くない?何で任務は大丈夫なのにこれはダメなの?」


「俺が聞きてぇよ……怖かった……」


 体がプルプルと震える。それをまたかわいそうな目で海美には見られ、龍斗さんは苦笑いだ。


 いつもは、いつもの任務の時の方がよっぽど危険な思いをしてるはずだ。だけどそれは自分から自分の意思で飛び込んでる危険であって、一方コースターは一度走り出したら止まらない。自分の意思とかじゃない。……から怖いんだと思いたい。


 小鹿のように震える俺を見て海美がぽつりとつぶやぽつりとつぶやく。


「なんか、色んなの乗せたいな」


「海美ちゃん?」


「優也って遊園地初心者でしょ?今みたいな意外な一面、知りたい!次あのウォータースライダー行こう!大丈夫今のよりは怖くないから!」


「ひぃ、ちょ、まっ!?」


 俺の腕を引っ張りズンズン歩き出す海美。ちょっと待って、心の準備が!待って!おい面白がって止めてくれない龍斗さん、クッソ後で覚えてろよ!!



 色々連れ回されて、色々乗って、


 案の定目が回って、



「次あっち!」


「待って、きゅ、休憩……させてくれ...…」


「海美ちゃん、そろそろ優也も死にそうだからあそこのご飯でも食べに行かない?」


「あ……ごめんね優也、大丈夫?」


「別に……体は大丈夫だけど……」


「大丈夫だって!次行こ!」


「おい」


 ケラケラと龍斗さんが笑う。しょげた顔するから心配かけないようすればこれだ。なんか調子良く扱われてる感じがする。


 悔しさで海美を睨んでも返ってくるのは弾ける笑顔だけだ。でも何だか、そんな顔されたら何も返せなくて。くそぉ。


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