#7-9 分裂イカナリアと救援
「ちょ、これ、いつまでやんの!?」
「フレイムが来るまで耐えれば勝ち!」
「嘘でしょぉおおお!?」
ブワッとストームの風を背中に受けて空を飛ぶ。体の中を駆け巡るバチバチを腕に集中させて振りかぶれば地面へ向かっていくつもの雷が落ちていった。ってあぁもう!当たんない!
下ではストームが砂嵐を起こしてイカナリアをこの校庭から逃がさない。だから逃がすことはないから一安心。けどアイツ、
「ヌメヌメ逃げんなー!!」
「プリャアァ?そんな鈍い電撃、当たりませんねェ」
アイツ!地面をヌメヌメ滑ってすごい速さで動き回るせいですごい当てづらい!!嫌い!!
ストームを砂嵐を起こすだけでイカナリアはそんな小さな石礫ぐらいじゃ屁でもないし、決定打になる攻撃にならない。
スタッとストームの隣に着地する。
「ストーム!何かすごい強い技とかないの!?ブチブチにするようなすごいやつ!」
「落ち着いて。あるにはあるけど、多分──」
「プリャップリャアァァ!!お前の攻撃なんて当たらないよーだ!!」
「なっ!?」
カアアアッと頭が真っ赤になる。はぁ!?舐めんな!
地面に手を着く。これならどうだ!
再び体の中のバチバチを手へ集中する。すると電撃が地面を伝って地面が電気を帯びた。
「ぬぅ……?」
「ナイススパーク!そんなことできるんだ、じゃあこのまま──」
「これで動けないでしょ!どりゃぁああ!」
「──ちょっ!?ちょっと待っ!?」
殴りつけた拳が鮫の口に変異して体を噛みちぎる。真っ二つだ!よし、これでしばらくは動けないでしょ!
にんまりと笑いながらプルプルと細かく痙攣するイカナリアを見ていると、
「ウギャァア……やられ………」
「……え?」
え、え、えええぇえええ!?!?
「フッフッフッ……ありがとうヨお嬢ちゃん」「俺を攻撃してくれてナァ!」
ま、ま、真っ二つに噛みちぎった、イカナリアが、
「に、2体に分裂してるうううぅぅ!?!?」
「やっぱり……!」
真ん中を噛みちぎって、足の方と頭の方に分かれたはずのそれは、足だけが残った方には上半身が生えて、頭だけが残った方には下半身が生える。何これ!?何で!?
「ほらほら」「捕まえてみんしゃーい!!」
「プラナリアはごく高い再生能力を持ってる!攻撃し体が分裂すればするほど数が増えるはずた!」
「うっそごめん!」
2体がヌルヌルと勢いよく滑り回る。うわ、ちょ、地面が滑って……!?
「ちょあ、って、た、立てないいい!?」
「オラオラァ!」「ぶっ飛ばす!」
「っ!!」
イカナリアの尖った頭部で突撃される。体が何度も引き裂かれる。痛い……痛い……!滑って上手く避けれない!!
うまく体勢を立て直そうにも滑る地面の上でズテンと転げるだけになってしまった。やば、これ身動きとれないじゃん!?
「スパーク!」
「邪魔するなァ!!」
「うわっっ!?」
地面が大きく揺れる。ストームが地面を殴って巻き上げた岩石をイカナリアと私の間に投げて援護してくれる。けど、イカナリアのうちの一体がストームに向かってイカ墨を噴射して、ストームは腕で顔を庇うけど身動きが取れない。
「隙ありぃ!!」
気がつけば体が滑ってストームの投げた岩石にドンっと背中がぶつかる。正面にはこっちに迫るイカナリア。鋭利な頭部の先端が獲物を狙うようにギラリと光った。
やばい。焦りと滑りでろくに身動きがとれない!!えっっどうし、どうしよどうしよどうしよ!?
「その心臓!いただいたあああああ!」
もう、ダメだ……!!
体を丸めて腕を前でクロスして目をぎゅっと瞑る。ごめん、龍斗さん、ゆう──
Flame!Ready for injection!
「change my feature!!」
Genes are promoted!
「プリャアァァアアアァァアアアッ!?熱ぅぅ!?!?」
「……へ、?」
いつまで経っても腕に痛みは来ない。それどころか誰に抱えられてる?それにイカナリアの叫び声が聞こえる。え、何?ゆっくり腕を下ろして目を開く。
「あ!ふ、フレイム……!!」
「フレイム、変身完了。戦闘に入ります」
顔を上げるとそこにはフレイムの顔。近!?あ、え?私抱っこされてる?太もも裏に圧を感じる。見るとフレイムは右腕で私のことを抱え上げ、左手は耳のインカムに添えられている。
シュウウゥウウ
「えっ!?何の音!?」
「動くな。今体の粘液蒸発させてやるから」
「え天才!ありがと!気をつけて、アイツヌルヌルなの。しかも攻撃すると分裂しちゃうんだよ!」
「プラナリアの『分裂』の能力だな。わかった」
体をくっ付ければジュウジュウと音をたてて体にまとわりつけついていた一瞬で粘液がとんでいく。こっちを見ながら優也に焼かれた方のイカナリアが悔しげにぎゃんっ!と叫ぶ。
「おいそこォ!!ワッチを置いてイチャイチャしてんじゃァないよ!!」
「「してないわ!!」」
フレイムの腕から飛び出してイカナリアに一気に接近する。一瞬の出来事に驚いて動けないイカナリアの足を掴み、めいいっぱいの電気を流す!
「ピギャアアアァアァアアア!?!?し、痺れるゥゥゥウ!?アギャッッ!?」
地面を蹴って高く跳んだフレイムの回し蹴りでイカナリアが横に吹っ飛び、壁へと叩きつけられビタンッと音が鳴る。
「な、何!?何故分裂出来ない!?」
「そりゃ手加減してるから、なっ!!」
「ピギィッ!?」
フレイムが瞬く間にふっ飛ばされたイカナリアに近づき地面に叩きつけるように何度も殴りつける。イカナリアは合間を見て尖った頭をフレイムに突き刺そうとし、それをフレイムが左右に避け、真ん中を突き刺そうとしてくるイカナリアを踏みつけてバク転で大きく跳び上がり私の元に戻ってくる。悔しそうに地面を叩きプリャプリャと鳴くイカナリア。そこへもう一体のイカナリアが奇声を上げながらゴロゴロと転がってきた!
「ストーム!」
「2人とも無事?良かった!」
「さらに分裂して面倒になる前に片します。スパークは周りの地面を帯電させて逃がさないようにしておいてくれ」
「了解!」
「ストームは風で大きく巻き上げてください。俺が纏めて焼却します」
「りょーかい!」
「おのれぇ……化け物ども……」「俺を簡単に殺せるなんて思ってんじゃねぇぞ……!」
2人を置いてイカナリア達へ近づく。
「オリャアァア!!」「舐めんなァ!!」
「うわうわっ!?」
イカナリアの腕がイカの長い腕になって私を狙って来る。急ブレーキをかけて私を払う2本の触腕を回転しながら跳んで避け、空中で追撃してくるもう2本の触腕を噛みついて引きちぎる!
「プリャアァァアアアッ!?」「プリャッバカめ!!引きちぎったな!」
噛みちぎった触腕から新たなイカナリアがヌルンッと再生し計4体に私を中心に囲われる。いいもん数が増えたって、やることは変わんない!!
襲いかかる4本の触腕を腕でクロスしてカバーし、もう4本の触腕は足で蹴って噛み尽くす。怯んだところで体勢を低くして回し蹴り、4体のイカナリアを転ばせる!地面に手をつけ、
「まとめて感電しろおおおおおおおお!」
「「「「プリャアァァアアアアアアアアアアアア!?」」」」
バチバチバチッ!!
「ナイススパーク伏せて!」
「っ!」
その瞬間私にストームが覆い被さり、空へ吹き飛ばすような突風を吹き上げる!や、やば、私も飛んじゃう!?そう焦るとストームがグッと私のことを地面に押し付ける。あ、ありがと!
「仕上げだフレイム!」
Burn up the mutation!
空に向かって吹き飛ばされる8体のイカナリア達。その中でただ1体異質な、炎を纏うフレイム!風に乗って一緒に飛んだんだ!
「ゆ、許して!!助けてくれェ!!同じバケモンだろぉ!?」
「──ファイナルフレイムアタック」
炎が爆ぜる!
「「「「プリャアァァアアアアアアアアアアアアァァアアアァァアアア!!」」」」
空中で大きな爆発を起こし、イカナリア達は塵すら残さず焼却されていった。
「......さすがだね、フレイム」




