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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#7 心配トライアングル
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#7-7 所用

 長官の後ろに着き司令室を出た。長官との会話は無く外の廊下は静かで転々と並ぶ蛍光灯の光がただ静かに淡々と床に反射している。この廊下の先、どこに連れて行かれるのか、何をきかれるのか。検討がつかない。何かやらかした覚えはないし、処分とかじゃないと思うけど


 適当に廊下を曲がって小さな会議室に入る。中には誰も居ない


「座れ」


「失礼します」


 長官が奥の上座、俺がその対面に座る。重い空気と張り詰める緊張感が背筋をピンと伸ばさせた


「SCR特殊戦闘部隊リーダー、フレイム」


「はい」


「お前に問う。ここ最近、スパークとストームの命令違反が続いているな」


 海美と龍斗さんの命令違反。前者は前のショッピングモールでザセルが人間をオルガーに変えた時に抹殺と焼却処分が出ていたのに倒さなかったこと。龍斗さんは記憶に新しい。あの研究中のサンプルを勝手に使ったことか


「はい」


「特異生物が、私たちの支配にあるはずのお前達が、ここまで勝手な行動をするのは初めてだな。何のつもりだ」


「何のつもり何も、どちらも緊急事態故の行動でしょう。龍斗さんがあそこでアレを使わなければ全滅していた。違いますか?」


「確かに、あの行動は結果として最善の結果を生み出した。しかし、命令に従わなかったというその事実が問題だ。これからも《緊急事態だから》と言い訳するつもりじゃないだろうな。緊急事態になる前に何とかするものじゃないか?」


「……申し訳ありません」


「《わざと》それを使わざるを得ない状況にした可能性を疑う者まで現れている。力を手に入れ、無反を企てているのではと」


「あの状況を故意に作り上げたと?どうやって」


 思わずため息が出た。どうせ特異生物をよく思っていない奴らの出鱈目がきちんと報告されでもしたんだろう。


 SCRに入る基準はただその人の能力の高さだから、人間的にアウトな人も倫理観が終わってる人も、特異生物に憎しみを抱く人間もいる。今回もその類だ


「意味のわからん生物だ。私たちの想像を超える力を持って敵と通信しても不思議ではない」


「そこまで屁理屈つけるなら昔みたいに拘束でも何でもどうぞ。でも俺たちが動けなければどうなっていたかくらい想像つきますよね?」


「……なるほどな。頭と口がよく回るらしい」


 半笑いで吐き捨てられる。この人は昔っから人を疑ってかかるけど、歪んだ認知はしない。俺たちを特異生物だと憎みながらも疑念は晴れたならいいけど


「では次。ザセルについてだ。以前の戦闘でザセルがお前の名前に反応していたが、心当たりは本当にないのか」


「報告通りありません」



『……ユウヤ?』



 海美がまだ入ったばかりで、間違えて戦闘中に俺の名前を呼んだ時に反応していた。その後さらに



『貴方、お名前を聞いても?』



 俺の名前に興味を示した。それにスカンク杉との戦闘のとき、スカンク杉はザセルの指示で動けない俺をザセルの元へ運ぼうとしていた。ザセルが何故俺に執着するのか。手がかりは全くない。


「何故フレイムを知っているのか、何か手掛かりの一つでもあればいいが」


「今ザセルについてわかってることは、以前狛坂さんと狛華さんに協力してもらったものの報告くらいですよね」


「あぁ。よく気づいたものだ。ザセルと裏で繋がってるのか疑いたくなる」


 嫌味に苦笑する。実は前々から調べてもらっていたことで、やっと一つザセルについて分かったことがある。


 あの雨の日からずっと気になっていたことがある。何故ザセルは俺たちのことを知っていたのか?だ。SCRは国家機密部隊で一般人が知りうるはずもないし、特異生物になんてもっとありえない。では、どこで?


「考えたんですよ。何でザセルが俺たちのことを知っていたか。手下の特異生物から報告を受けた?俺たちが相対した特異生物はそんな報告をさせる前に焼却したんだから、あり得ない」


「手下からの報告を受けたわけじゃないなら、本人が直接見たはず。そうだな?」


「はい。でも居たなら狛華さんのグラフィック解析に引っかかるはず。なのに引っかかることはなかった。なら、引っかからないように何か相手に策があるはず」


 以前、とあるドラマで雨に濡れると透明になる花のことを知った。


「安直ですけど、現実に透明になる花があるなら透明化したんじゃないかって思って狛坂さんと狛華さんに相談してみたんです」


 透明な物を見分けるためのグラフィック解析プログラムの作成を狛坂さんに依頼して、ショッピングモールの日に狛華さんに頼んでおいたのだ。すると偶然グラフィック解析で一瞬透明な状態のザセルが映った。


「透明化か。全く気味の悪い」


「これからは狛華さんに頼んで注意して見てもらいます。ザセルが来たなら直ぐに分かる」


「それ以外だ。何か思い当たることは?」


「他ですか……ありません」


 その言葉を聞き終えると、白夜長官は胸ポケットに挿していたペンを取り出し上部のボタンを押す。あれ隠しカメラ付きのペンじゃん。今の録画録音されてたのか。


 俺の視線に気がついたのか、白夜長官は呆れたようにフン、と鼻を鳴らして「うるさい奴が多いからな。証拠を見せるだけだ」と言った。うるさい奴が誰なのかは知らないが、SCRの長として忙しそうなのは確かだ。


 ともかく、これで話が終わりなら2人に合流しないと───



「では次。鮫島海美の様子はどうだ」



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