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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#20 change my future
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349/362

#20-14 未来で何がしたい?

 

 しばらくして、ねぇ、と海美がつぶやいた。


「ねぇ。もう特異生物って、いないんだよね?」


「あぁ。ザセルの細胞は全部死んだ。内側から操って、全部自害させた」


「『Parasite』だよね。すごかった」


 隣で海美がぐいっと腕を伸ばして伸びをしながら深呼吸をする。龍斗さんは隣で首のあたりをかいた。その指先は血色がいい。


「特異生物が居ない世界って、さ。どんなだろう」


「楽しみだねぇ。みんな笑って、生きてる未来」


「俺、想像がつかないです。自分がこの先の未来でなにしてるか」


「っはは、たしかに。今まで夢見た未来まで来たからね。じゃ教えてよ、さらなる先の未来でさ」


「そうそう。優也の見る未来を見に行こう、一緒に!」


「俺の、未来……」


 考えていなかった。とにかく最悪な未来を変えることに必死で。


 この先どうなるか。まぁ、まずは研究材料にされるだろうな。的戸さんに。もう任務に邪魔されることなく自由な時間が増えるし。


 それで、お役御免になったら……


「……」


 殺されるのか。


 特異生物なんて生きてちゃまずいしな。お国的には。


 ザセルと違って俺たちを殺すのは簡単だ。ボタン一つで心臓に毒が打ち込まれる。もし長官が賭けに乗ってくれているなら、それ以外の未来の可能性もあるわけだけど。どうだろうな。


「……」


 まぁあまり期待しないでおこう。ありもしない希望に縋るのは、もう疲れたから。


 でも少しぐらい、未来に夢みたっていいじゃないか。それに帰ってすぐに殺されることもないだろう。完全に特異生物がいなくなったことを確認するには時間がかかる。


 その間だけでもいいから。


「何がしたいですか」


 夢ぐらい、見たっていいじゃんか。


 ずっとやってみたいことがあったんだ。憧れていたけど、できるわけがないと遠の昔に諦めてしまっていた。けれどこうして、生きて大人になった。ザセルを倒せた。その未来でやりたいこと。


 誰かと笑ったり喧嘩したりドラマのような大恋愛をしたり。それに見に行きたいものもたくさん。


 夜明けの美しい青も、


 陽の光に微睡む猫のあくびも、


 海に沈む太陽も、


 夜空に咲く大輪の花も、


 空を覆う数えきれない小さな輝きも。


 やりたいことは、山ほどある。



 しばらく返事を待つが帰ってこない。


「……龍斗さん?海美?」


 左右を確認すると、2人は目を伏せていた。


「っ!!」


 おい、まさか!


 跳ね起きて2人の脈を確認する。指先にトクントクンと鼓動を感じた。2人とも眠ってしまっているだけだ。呼吸の音も正常。顔色も悪すぎない。大丈夫。大丈夫。


 胸を静かに撫で下ろす。よかった。ていうか話の途中で寝るなよ。びっくりするだろうが。


 その場でしゃがみ込んで、1人満月を見上げる。一切欠けのない綺麗な満月だ。夜に任務に出てもこうやってのんびり眺める暇はないから、なんだか嬉しくなった。


 今までつかめなかった、のんびりとした新しい日常。死刑になるまでの間は夢見たって許されるだろう。


 冬の冷たい風が吹く。それが頬を撫でて────



 ガサガサッッ

「ヴーーーーー……」



「────え?」



 聞き覚えのある音に振り向く。これは、この声は。


 振り返った先には、植物が人間の体を形取ったような化け物。四肢の先端は鋭く、顔らしきところには目がない。ただ、牙の除く口があるのみの顔。


 見間違えじゃない。でもそんなことあるわけない。


「オルガー……!?なんで……!?」


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