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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#19 彼岸の未来
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333/342

#19-23 まだ終わってない

 

 遥か彼方の上空で大きな大きな爆発が起こる。インカムはもうあてにならない。ただ映し出された画面の向こうの景色は遠いもので、何が起きたのか、決着はわからないままだ。



 同日同時刻────SCR本部司令部にて



 SCR司令部、全員がその画面を凝視していた。誰も何も言わない。固唾をのんで訪れる未来を見守っている。

 狛坂は瞬きも忘れてしまったように固まり、充血した目で画面を見つめ続けていた。狛華は反対に、祈るように固く手を組んで目をぎゅっとつむっている。


 息ができない。呼吸の仕方がわからない。

 誰もなにも言わない。


 終わったのか。10年以上続いた、この悪夢が。

 終わらせることができたのか、私たちは。

 晴らすことはできただろうか、残された想いを。 


 静寂が続く。


 信じろ。

 信じろ。

 信じろ、あの戦士たちを!


「あっ」


 声を上げたのは狛坂だった。共通画面から目を放し、素早い動きで画面を拡大解析する。ボケた画面はすぐに鮮明になり、そこに映るのは。


「これ、は……!」


 白銀の大きな翼と体躯。細く長い尾を風に揺らし、跳ねる火花を輝かせ、光の軌跡をその空に残していく。それは先ほどどこからともなくフレイムが呼び起こした、伝説の霊鳥。


「鳳凰……!!」


「て、こと、は」


 司令部の隊員たちが感極まった表情で見つめ合い、私の言葉を待っている。

 ここにフレイムの鳳凰が戻り、オリジンの姿もザセルの姿もない。狛華が手早く解析した画面にザセルの反応も見られない。つまり、




「勝利だ。我々SCRの完全勝利だ!!」




「わぁあああああああああああああああああああああああっ!!!」

「よっしゃああああああああああああああああああ!!」

「やった、やったやったっやったぁ、やったぁああああああああああああああっ!!!」


 歓声が沸き上がる。司令部だけではない。他の部もそれぞれの場所で喜びを分かち合っている。そうだ。勝った。やっと、やっとこの長い戦いに終止符を打った!


「や……った、んだ」


「やりましたよ狛坂さん!!やったんです!!」


「ほん、とうに?本当に、終わったの?」


「解析結果、完全にザセルの反応が消失しました!我々の勝利です!!」


「本当に……!?」


 そのまま狛坂はその場に崩れおち、腕で濡れた目元を何度もこする。その隣で、駆け寄った狛華が背中をさすりながら、彼女もまた涙を流していた。その光景にジワリと胸の中に何かがあふれてくる。しかし、



「静まれ!!!」



 司令部内に響き渡る声で叫べば、ぴたりと歓声は止んだ。




「まだだ。まだ、まだ任務は終わっていない!」




「「「「 !! 」」」」


「私が奴らに課した任務は『生きて帰ること』だ。まだ終わりじゃない!!気を緩めるな!!」


 鳳凰がそこにいるのはザセルに完全勝利した証だ。しかし、鳳凰の姿があっても、奴らの姿がなければ任務はまだ完了していない。


 その意図が伝わったのか、全員がはっとしたような表情を経て、すぐに全員がデスクにつく。狛坂と狛華も一瞬見つめ合い、うなずいてすぐに補佐デスクへと戻った。


「鳳凰の追跡は!」


「しています。研究所近くの森林に接近。…………っ!鳳凰の旋回する下に特殊戦闘部の三体発見!」


「輸送車を回せ。ポイントγが近い」


「報告です!護送していた橘光莉が行方不明だと!」


「なに?」


「隊員たちが目を一瞬放した瞬間姿をくらませたそうです」


「……なんだ。まだ何か……それよりも三人のバイタル!」


「ばいた…………!!これ、は、」


「早く報告しろ!」


「追跡完了!!ドローン追えます!!」


「画面出せ!」


 中央の画面にドローン映像が流れる。そこは研究所の近くにある森林だった。巨大な鳳凰は姿を縮め、森の中の空き地、ギャップの上をくるくると旋回している。その下にはいつのまにか倒れている三人の姿があった。


 中央にいるのはフレイム。その両隣にストームとスパークがいる。三人とも膝をついたりしゃがみこんでいるが、全員意識がある。場所もポイントγから遠くない!


「インカムは」


「融解したようです」


「ミューシスは」


「かろうじて生きてバイタルだけは出ます!」


「ドローン音声は」


「出せます!こちらからの応答も可能です!」


「私と補佐二人のマイクにつなげ」


「了解」


 ざざっというノイズ音の後、外の音が聞こえてくる。


『りゅうと、さん。うみ、』


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