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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#19 彼岸の未来
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331/342

#19-21 お前を殺す化け物

 

 ゴォオオオオオオオオオオオオッ!!


 大量のオルガー達が山となす。その隙間から、白い光が漏れ出た。

 同時に山は炎を吹き出す。はて、炎を吹き出すなど、孤虎優也にできたのか。


「……?」


 オルガーが次々にその場で萎れ、倒れ伏していく。余裕の表情で木に座りこんでいたザセルは立ち上がった。何が起きた。もうすでに2体は虫の息だったはず。孤虎優也もかなりの重症だったはずだ。あれだけオリジンに殴られておいて、もう動けるはずがないのだ。


 ザセルの視線の先から、風が吹いた。熱を孕んだその風がザセルの頬を撫でた瞬間、パチン、と静電気が跳ねる。


「なんだ……?」


 そこに見えるのは炎の光の中、逆光で見える一人分の人影。


 特徴的な横ハネの髪。男性にしては小柄なその体躯。孤虎優也だ。

 では、他の2人はどこにいったのか?


 いない。地面に伏しているわけでもない。どこだ。どこかに隠れているのか。


 ザセルが周囲を確認するも、そこには次々に熱で焼かれていくオルガーがいるのみ。困惑はさらに深まっていく。

 改めて目の前に視線を戻した。変わらない。先ほどまでと同じ────


「────っ!!!」


 ブワッと体に鳥肌が立った。冷たい汗が額を流れていく。

 違う。見た目は孤虎優也だ。けれど“何か”が違う!!


 咄嗟に木から降り、臨戦態勢をとる。なんだ。何かがくる!



「Penetrate」



「っ!!」


 大地が震える。足元から何かがくる!


 身を翻し避けた瞬間に、元いた場所に長く鋭い針が地面を貫いてきた。避けた先にまた、さらに避けてもまた!

 どこまで逃げればいい。否、またここで殺されようと、どうせ『再生』の力さえあれば負けはない!

 勝利を確信し、改めて孤虎優也を見る。すると体中に悪寒が走り、本能が逃げろと告げた。なんだ。何故そう感じる。


 生物として勝てない。アレに逆らってはいけない。


 体が勝手に逃げる。こんなことをしなくとも勝てるのに、なぜ、なぜ、なぜ!?



「Alter」



「ぎゃっ!?」


 突然足元が砂に変質する。その隙をつき、体に針が貫通した。びたびたと透明な体液が漏れ出て砂を湿らせていく。けれど固まることはなく、足を滑らせそのまま転んだ。


 後ろから足音が聞こえる。近づいている。


 怖い。


「ひっ、」


 何とか立ち上がって逃げる。そうだ、と顔を上げた。


「オリジン!こいつをつぶしなさい!」


 ザセルがそう命令を出すと、オリジンは何かをためらったように攻撃の手を止める。十数秒逡巡した後、自身の腕である太い枝を薙ぎ払い、追い打ちをかけるように先端のとがった木の枝を孤虎優也へと突き刺していく。



 ゴォオオオオオオッ!!



「ゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウッ!?!?」


「な、い、一瞬で…………焼き払った……!?」


 取り囲んだと思ったその木の枝や幹は瞬く間に黒く炭化していき、最後には塵すら残さず消えていく。

 黒煙の中から現れたのは。無傷の孤虎優也であった。


 負け時とオリジンは次々に容赦なく枝をたたきつける。あたりに砂煙が舞い上がる。

 その煙の中から飛び出す影が一つ。地面に突き刺さった枝を足場にオリジンの体を駆けあがっていく。


「ゥゥゥウウウオオオオオオオオオ!?」


 その一歩一歩に小さな雷が走る。体に乗られることを想定して作られた罠もしびれて動くことができない。優也が駆け上がりながら腕を横に一薙ぎすれば、いくつもの見えない風の刃がオリジンの体を次々に切り刻んでいく。


 優也はオリジンの中心近くまで駆け上がると、拳に熱を込め、めいいっぱいに殴りつけた。その途端、オリジンの体が大きく揺れる。崩れた体勢が再度安定するよりも速く、優也が二撃の拳を打ち付ける。ガザガザと大樹は揺れて葉っぱをまき散らした。


「何をしているのですかオリジン!とっととそいつを捕えなさい!」


 落ち行くは葉は先端が鋭利にとがり、もはや葉というよりは刃のような形状を取る。それが苦衷で一度動きを停止したかと思うと、一斉に優也へ向けて浴びせられた。


 優也はそれを一瞥すると、



「Spark!!」



 そう高らかに宣言した。


 瞬間、優也に向けられていた葉の刃へ向けて、優也を中心に伸びるいくつもの雷が落ちる。すべてを正確に撃ち落とし、さらにまだ枝から落ちていない葉にも一枚一枚電撃を浴びせ、オリジン自体の動きも鈍る。


「あれは……あのガキの能力じゃ……!?」


 続けて優也はオリジンの中心部を殴り続ける。焼けただれた外皮がめくれ深部がのぞいたところで、その部分へ手を当てた。



「Parasite!!」



 ドクン

「~~~が、ァァアアッ!?!?」


 地面からオリジンを見上げていたザセルが突然心臓に手を当ててその場に頽れる。何が起きた。何をされた。まて、まさかアイツ、オリジンと私がつながっていることを利用して!


 地面から木を伸ばし、トランポリンのように踏みつけ優也のもとへ跳躍した。まさか、まさかこいつは!


「やめろぉおおおおおおおおおおお!!」


「お前とこの大樹、つながってるらしいな。なら」


 優也へ手を伸ばす。けれど身を翻し簡単によけられてしまった。

 優也はそれを嘲笑い、吐き捨てるように告げる。


「今朝のお返しだ」


「~~~~~~~~~ぎぃいいやあああああああ!?」


 頭に激痛が走る。頭蓋をこじ開けられるような感覚。体中に咲いた花々の花弁を散らすようにその場でのたうちまわった。こいつ、こいつ、アスカロイの能力を奪っていやがる!アスカロイの能力は相手の行動を乗っ取る『寄生』。つまりこれを使われれば、



「「すべての我が細胞に告ぐ。今すぐにアポトーシスを実行しろ。これは本体からの命令だ。今すぐにアポトーシスを実行せよ!!この命令は絶対であり、今後覆ることはない!!」」



 優也の声とザセルの声が重なる。すぅ、と続けて優也が何かを言おうとしたところで、ザセルが蔓を伸ばし、優也横へ薙ぎ払ってオリジンから叩き落とす。優也の手はオリジンから離れ、ザセルの頭に響く頭痛は途端に止んだ。


「お、のれ、おのれおのれのれ孤虎優也ぁぁああああああああああああああああああ!!!」


「これで全国各地、いや、世界各地のお前の細胞はアポトーシスを始めたな!!お前の絶対命令に、お前が支配している細胞は逆らえない。これで後はお前達だけだ!!」


「クソクソクソクソ!!私が、私がこの計画のためにどれだけ時間と労力を費やしたと!!」


「そんな時間も労力も、全部焼き払ってやるよ!!」



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