#18-8 面白い話と超面白い話
5分ほど歩けば研究部の管轄。医療部とはまた違った白衣を着た人間が横を通り過ぎていく。
同日同時刻──SCR本部内研究部にて
「ここにしようか。適当に」
「そういえば、煌湊さんは?」
「……あれ?どこいった?」
「……」
「まぁいっか。別に。さてさてさて、フレイムくん。面白い話と超面白い話、どっちから聞きたい?」
俺の目の前に座った奇人は目をランランに輝かせながらこちらを見てくる。
面白い話と超面白い話?変わらなくないか、それ。
今に始まったことじゃない奇行にこっそりため息をついた。
「じゃあ面白い話から」
「ンフフ。君の細胞は生まれながらにして特殊な細胞だってことは知ってるね」
「はい。『融合』と『進化』の能力を持った特殊な細胞、ですよね」
「正解!いやぁすごい力だよねぇ。相手の細胞と接触するだけで融合して能力コピーして、さらに進化する。機構もよくわかっていない素晴らしい力だよ。もしかしたら僕の細胞もコピーしてたりして」
「それが面白い話ですか?」
「いやいや。でも君がコピーした能力の中に面白いものがあるだろ?」
「?」
セリヌンティクスからコピーした相手を串刺しにする『Penetrate』
アースダンゴームからコピーした分解の能力。それが進化した、対象の性質を変質させる『Alter』
それと今日の朝撃破したアスカロイの相手に寄生し操る能力『Parasite』
「……まぁ面白いといえばどれも面白いですけど」
「ノンノン、僕ちんは本当に面白いと思うわけよ。『Alter』がね」
「『Alter』が?」
「うん。その力は触れたものの性質を変更するものだ。今朝君が戦闘でやって見せたように、金属を血液の凝集態に性質を変更してザセルちゃんの体の中に枝を張らせたとかね」
「えぇ、まぁ」
「まさに奇跡と言ってもいい能力だ」
確かに、他の能力と比較して奇妙な能力。針を生やすとか相手に寄生するのはまぁ、現実そういう特性を持った生物がいるのに対して、これは多分前例がない。形を変えるのではなく、存在そのものを変化させる力。
確かに奇跡とも言えなくはないな。われながら。
妙に納得していると、にやにやとニヤついた的戸さんが視界に入る。なんだか気まずくなってコホン、と一つ席をこぼした。
「君の体の中に潜んでいたザセルに取り込まれそうになった時もその力が君を守った」
「元は分解の能力ですからね。俺がその能力を進化させたことによって、触れたものの性質を変える、なんてことができたわけですけど」
「そうそうその通り。『融合』の能力を持つ君が、正反対ともいえる『分解』の能力を自身に融合させて、さらに進化させちゃうなんて面白い話だなぁと思うわけ」
「はぁ」
「なんか興味なくない?」
「なくなくないです。それで?」
なるほどな。この感じ、今朝の戦闘を経て『Alter』に興味がわいたのだろう。だから面白い話と称して俺に聞かせたかったわけか。でもこれだけじゃない。満足し足りないといわんばかりに、にまにまと眼前でにやけているマッドサイエンティストが何よりの証明だ。




