↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#17 君のいない未来 - 後編
PR
277/369

#17-16 手をつかめ

 

 暗闇の中瞼を開けても、目を覚ましたかどうかもわからない。


 ふわふわと浮かんでいる感覚がする。冷たい、海の中のような。波にさらわれているような。体の自由はどうにも効かない。


 何をしているんだっけ。何をしていたんだっけ。

 何も思いだせない。自分が誰かも曖昧だ。


 こんな暗くて、寒い空間の中に独り。


 独り。


 すぅっと体が冷え切る。独り。どこかもわからない所で、誰にも知られないまま、独り。


 独りなんだ。


 しまっていた心の奥から化け物が出てきて、心をめちゃくちゃにしていく。

 やめて、やめてくれ。もう俺は、もう。



 俺は大切な人に手をかけたんだ。



 俺が隣にいるって、傍にいるって言ったのに。俺が二人を殺した。俺が二人を殺したんだ。時間は戻らない。奇跡なんてない。もう痛いほどわかっているんだ。10年前のあの時から。



 もうこんな世界で生きていたくなんかない。



 死にたいのに、息も止められない。舌を噛もうとして、言葉は何一つも出てこなかった。


 瞼を閉じても開けても、そこには闇があるだけ。夜は明けないまま、また瞼を閉じた。



「……!」



 ……?



「…………!……!」


 眼を閉じるとおのずと感覚が集中するのは耳だった。

 誰か何かを言っている。なんだろう。


 瞼を開いた。


「……ぁ、?」


 そこはいつも通りの闇が広がっているはずだった。でも、違う。


 果てから光が射している。


 強いわけじゃないけど、確かにそこにある。まるで星みたいだ。近くにあるのか遠くにあるのか、いまいち距離感はわからない。そうそう、前に龍斗さんと海美が前に言っていた────



 ───そうだ。この声は、



 龍斗さん。

 うみ、海美。海美の声だ。


 二人の声。光の方向から、かすかに聞こえてくる。


 今なら腕も動くような気がした。水の中で重石のついた腕を上げるみたいに、重いけど。

 でもなんだか、動かせる。少しずつ強さが増す光の方向へ。



「何寝てんの」「ほら起きて」



 声が聞こえる。



「一緒に生きよう」「一緒に笑おう」



 光から二つの手が伸びてくる。大きな男っぽい手と、一回り小さいやわらかな手。


 暖かい。


 俺の手を二人は強く掴む。痛いぐらいに。

 すると優しく、二人は強く俺の腕を引く。光の方へ。


「君のいない未来なんて、考えられないから」


 暖かい、暖かい。光も、二人の手も。

 眼を見開いた。光の先に、必死の顔をした二人がいた。



「来い、優也!」

「おいで、優也!」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。