#17-10 小細工
まずは一発目!
飛び込んでくるフレイムの目の前で火薬玉を散らす。フレイムの拳にそれがふれると、パンっとはじけた。
「!」
かかった!
続けて横からスパークが電撃を浴びせる。さすがにそこまで怯まない。電撃は軽い身のこなしで簡単によけられてしまう。けど、
「そこだ!」
風に乗せた手製の火薬玉が再びフレイムの体ではじける。大きなダメージにはならないけど、後々聞いてくれるはずだ!
「なぁにさっきからちょこまかちょこまかと、こざかしいんだよ!」
見えない速度でフレイムの拳が飛んでくる。右に、左にとほとんど勘で避け続け、フレイムの狙いが俺に集中していることを感じて上に飛ぶ。多分だけど──
「あはは!!昨日と同じかぁ!?ったくバカと煙は高いところがっ!?」
「好きなんだよねぇ。スパーク!」
「どりゃああああ!!」
スパークが電磁気を操り宙を舞った家電や信号機、中にはストーブなんかが俺を追っかけて跳んだフレイムに直撃する。同時にその場ですべての器具に通電。中では相当な熱が発生するだろう。
横に突風を起こし間一髪で抜け出して、そのままスパークの隣に着地する。よし、順調順調!
「っだぁ!この、めんどくさいことしやがって!!」
……まぁそうだよな。
封じ込めは数秒としてもたなかった。でも大丈夫。これも想定内だ。
「スパーク、例の、動けるね?」
「もちろん。やる?」
「あぁ。早めに仕掛けた方が良さそうだ」
がちゃんがちゃんと騒音を立てながら、怒りに細まる赤い瞳から突き刺すような殺意を感じる。今の今まではうまくいったけど、これからそうとも限らない。ここからは色々な人の手を借りるわけだし、一層集中しないと。
「何のつもりだ……小細工なんて効かねぇぞ」
「小細工?何の話だろうな」
「はっ、白々しい。まぁいいよかかってこい。策略事全部つぶしてやるからさぁ!」
地面が揺れた。反射的に後ろに飛ぶ。
フレイムが熱で白ばんだ拳を地面に打ち付けた。放射状に地面に亀裂が入りそこに漆黒の炎が伸びる。こいつ、熱をを伝播させてこんなことまでできるのか!
フレイムは燃え盛る瓦礫をつかみぶん投げてくる。避けるのは簡単だけど、一歩間違えれば重症コース間違いなしだ。
追い風で動きやすくしながらたまによけきれないものを風の刃で切り裂いていく。左、左、飛んで避けて、上!
「!!」
「そっちばっか集中してんな!」
ドクンと心臓が高鳴る。
切り裂いたがれきからフレイムが飛び出してきた。こいつの拳は一発でも受けたくないってのに……!!
できる限りダメージを軽減させるために後ろに飛ぶも、目の前まで迫ってきている拳は避けきれ──
ガツンッ!!
「グァアッ!?」
「!」
「ストーム、大丈夫!?」
横から飛んできた大型テレビがフレイムの拳の軌道を捻じ曲げる。た、助かった!
「サンキュ、スパーク!」
「クソ、昨日は簡単にやられたくせに!」
「今日こそ助ける、絶対!」
今度はスパークに向かってフレイムが拳を放つ。なんとか連撃を避けているけど、このままじゃじり貧だ。ならここで!
スパークを風で吹っ飛ばし、フレイムとの距離を空ける。ここだ!
「4班!」
『了解』
ボンッ!!!
「あ゛あぁぁあっ!?!?」
よっし命中した!目の前で轟音と共に大爆発が起きる。てか意外と爆発でかいな!?海美ちゃんどかしておいてよかった!
少しずつ晴れていく真っ赤な炎と黒煙の中からフレイムの姿が現れる。さすがにダメージが入ったようで、息は切れているみたいだ。だけど大きな傷はついていない。想定よりいい結果だ。
「お、前。どういうつもりだ、」
「え~何が?」
「俺に炎を……ぶち当てるなんざ、ちょっと策が雑だろう」
「そうかな?特異生物の殺害って結局焼却処分だしね」
「熱に熱を当てたって何にもならねぇ。燃えるわけねぇ」
「今お前の息が切れていることが効いてる何よりの証拠でしょ?」
「だったら海にでもぶち込むだろ。何のつもりだ」
「おお、意外と頭は回るんだ?」
「お前っ!?」
ボンッ!!
「~~~っ!!」
海美ちゃんだな。隙だらけだったし、最高のタイミングだね。
爆撃は始めたらなるべく連続で、≪フレイムの体温を落とさないように≫狙う。爆撃のおこぼれで爆風とその衝撃がダメージとして入ればいいなぁと思いつつ、それでも五分五分だった。けど結構ちゃんと入ってそうだし、チャンスかもしれないな。
「どんどんいくよ!」
「Yes、どんどん!」
「なんだお前ら、正面からぶつかって来いやァ!!」
炎の海から這い出てくるところにスパークが電子機器アタックをかます。蹴りで避けられてしまったけど、いいぞ。この調子。どんどんフレイムを動かしていけ!
ふわりと風をまとってスパークと反対方向に走る。さて、どっちについてくる?
「クソが、だりぃ!!」
「さぁさこっちだよー!」
「こっちおいで、優也!」
「逃げてんじゃねぇ!」
フレイムが地面を踏みしめて突撃してくるのはこっち。こんなに別行動してるのにスパークの方に攻撃していないのは遠距離攻撃ができないからか。なら、狙い通り!
まっすぐフレイムが突っ込んでくる。
「まずはお前からだ、ドラゴン!」
「はいはい、相変わらず」
パチン、と指を鳴らした。
「ゔぁっ!!?」
直後、フレイムの体が波打つ。
「視界が狭くて助かるよ、バーカ!」
「こんの……クソッタレ!!」
お手製火薬玉の雨を降らせば、その場にフレイムはひれ伏す。
「1班」
ボンッ!!
「~~~~~~っ!!!」
よし、三発目も入った!
「メイン1、温度は!」
「現在3500℃!目標まで残り500!」
もう少し。もう少しだ!
「きゃあっ!?」




