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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#14 Bravery in my heart
200/214

#14-5 いつもと違う心拍数

 


「すみません、ちょっと通してください」



 その鶴の一声に俺を中心にできていた人だかりがサッとはけていく。その先に1人の女性がいた。


 センターパートに綺麗に分けられた前髪、薄く上品なメイクが施された綺麗な女性だった。後ろ髪は一つのシニヨンにまとめられ、金箔と共にゴールドワイヤーで飾られている。


 青いホルターネックのドレス。胸元をしっかり隠しながら首元から胸下にかけふわりと広がり、生地のシルクの光沢が静かに輝いている。スカートは腰部分が少し広がり足首にかけて窄まるシンプルなマーメイドスカートで、足元の美しい薄青のヒールが歩きやすいようにか少し短めに足先にかからないまでに仕立てられている。


 派手な美術品のようだった瑠璃華さんとは違った美しさ。気品と静かさの上でその美しさを感じさせる絵画のようなその女性につい見惚れてしまう。


「嵐巻さん。こちらへ」


「……ぁ、はい」


 手を差し出されそれに引かれて歩いていく。どこへ連れて行かれるのかもわからないまま着いていくと、会場を出て少し歩いた先のホテルの一室だった。


 ピッと電子錠が開かられ女性に続けて中に入る。カタン、と後ろで扉が静かに閉まって、やっとぼーっとしていた頭が晴れた。



 あれ?俺何すんの?ここで。



 その瞬間冷や汗が背中を伝う。何するんだ?いや何されるの方が正しくないか?待て待て待て、何やってんだバカ!何ぼーっと着いて来てんだよ!!


 焦る俺を置いて女性は部屋の奥へと入っていって姿は見えなくなった。チャンスだ!い、今ならこっそりと逃げられ──



 ポイポイッ



「……え?」


 美しい薄青のヒール。それが簡単に部屋の奥から投げ捨てられる。え?


「っっぁああ〜〜〜!!もうヒールしんど!!厳かに静かにするのも面倒だし、こんなドレス着てたらご飯食べらんないじゃん!!」


「あ、……え?」


「はぁぁ、まだ挨拶も終わってないのに……あれ?優也?中入って来ていいよ〜?」


 この声、この馴染みのある声。まさか、


 部屋の奥へ進むとスイートルームなのか広いリビングに繋がり奥にはクイーンサイズのベッドが一つ。そこに髪もドレスも気にせず寝っ転がる女がいた。


「海美!?」


「……うん?海美、だけど……?」


「お、お前かよ!びっくりしたな!」


「えぇっ!?気づいてなかったの!?」


『嘘だろ優也!?』


「えっ、いや、普段と違いすぎるだろ!!」


 だっていつもの海美の雰囲気と全然違ったから!!インカムの向こうで笑い転げているだろう龍斗さんに反論しても手応えは全くない。でも声を聞いてもわからなかった自分もダメだと心底自分に呆れてしまった。


「あ〜ごめん。気づかなくて」


「んーまぁ、初見じゃわからないぐらい綺麗ってことでしょ?もーそこまで褒めなくとも〜!」


「……確かに食後ソファで転がって早く自室に戻れって言っても聞かずにだらけているうちにうたた寝していくあの姿からは想像できないほどの気品だな」


「う、うたた寝してないし!!ちょーっと寝ただけだし!」


「それをうたた寝って言うんだよ」


 んもーーっ!うるさいなー!!と声を荒げる姿はまさに海美の言動だ。さっきまでの大人っぽい感じじゃ無理だけど、これだったらわかるんだよな。


『別人のような姿だもんねぇ。優也の心拍数が上がるのも無理ないか』


「龍斗さん、俺の心拍数見えるんですか?」


『すごいぞこれ。司令部じゃありとあらゆるバイタルサイン見れる。狛坂いつもこれ見てんの?………へぇ〜担当がいるのか』


「龍斗さんと話してるの?優也」


「あぁ。耳の中にインカム入れてる」


「えっ!?わ、わかんないね!?すごい!」


「特製だからな」


 そうしてしばらく談笑していると、扉の方から控えめにコンコンコン、と音が鳴る。誰か来たのか?


「え、うわ早くない!?まだ時間じゃないのに……はぁ、行かないと」


「挨拶か?」


「うん。ほら例の」


「……あぁ」


 お見合い相手の挨拶か。流石にこの場で問いただすことはできないから、一目拝むだけになるだろう。一目でわかればいいが、海美のことを本当に守れる男性なのか?大切な仲間を安心して託せるのかソイツは!


「優也は会場戻ってて。何か変なこと言われたり聞かれたりしても無視でいいから無視!!それか今海美さんを待ってるのですみませんって言えばイチコロだから!」


「お、おう」


「キツくなったら会場出て自分の部屋で待っててもいいし。でもせっかくなら料理とか楽しんで!ちょっとしたショーとかも予定してるし」


「わかった」


 それじゃ先出て〜と背中を押されて部屋を出る。


「!?」


「あ、」


 扉を開けると、そこには1人の若い男性と付き添いかSPか何かの男性がいた。若い男性は何故か海美の部屋から出てきた俺に特に驚く。そりゃそうか。


 軽く会釈をして、男の顔を頭に焼き付けてからそそくさと足早にその場を後にした。相手からは最後までずっと睨むような視線を送られている。なんでだ?まぁ、いいか、うん。


 インカムからはニヤニヤとした表情が想像できるほど楽しげな龍斗さんの声が聞こえてくる。


『やっべ〜優也今絶対海美ちゃんを狙う怪しい男だと思われてるよ〜??ウケる』


「なら返り討ちにするまでです」


『返り……優也さん?』



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