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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#13 Before the spark
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#13-2 奇妙な親子

 

 先を進めば、目的の人物にたどり着く。わかりやすい特徴的な髪型をしていて助かった。愛海はいつもの外向け用の笑みを浮かべながら声をかけた。


「孤虎教授、ご挨拶よろしいでしょうか」


「ん?あぁ、すみませんまた後で。えぇと、鮫島財閥の」


「えぇ。鮫島財閥、社長代理の鮫島愛海と申します。この度は受賞、おめでとうございます」


「ありがとうございます。光栄です」


「おめでとうございます!!」


「え!?あ、あぁ。こちらが」


「鮫島海美、と申します。私の妹で」


「聞いてはいましたが、本当に……」


 孤虎利人はその場にしゃがみ、海美に視線の高さを合わせる。あどけない海美の顔を見るとふっと柔和に微笑み、こんばんは、と挨拶した。


「今いくつか聞いてもいいかな」


「7歳なったよ!」


「あっす、すみません。まだ礼儀がなっていなくて」


「いやいや、子供にそんなこと気にしませんよ。貴方も楽にしてください、愛海さん」


「えっ……」


「海美さん7歳なんですね。うちの息子と歳が近いし、遊んでくれませんか?パーティもこの子にとってはあまり楽しいものではないでしょうし。どうかな、海美ちゃん」


「え、いいの!?やったー!遊ぶ!」


 孤虎利人が愛海にやさしく微笑みかける。


 何、この人。


 愛海は混乱していた。なんでこの人、私にも海美にもこんな優しいの?いつもなら、鮫島とわかったら仕事やお金の話ばっかりで、子ども扱いなんて普通しないでしょ。だって有名な話じゃん鮫島の出来損ないの姉と真打の妹の話。もしかして知らないの!?


 わからない。こんなこと、今までなかったし。


 そう愛海が混乱している合間に、利人は二人を置いて少し離れたところにいた少年を呼ぶ。


「優也、おいで」


「……」


「優也」


 二回目は少し語気が強まる。すると数秒経って、不満顔の少年が父親のもとに駆け寄った。子供用の正装なのか、シャツにネクタイを合わせて、緋色のベストを合わせている。


「優也、ほら、挨拶」


「……ことらゆうや、です」


「ゆうや……!私、さめじまうみ!よろしくね!」


 海美が優也の手をつかみ、ブンブンと縦に勢いよく振る。ちょ、やめてよ何してるの!と愛海が止めようとするのを笑って利人がやんわりと制した。


 海美は自分と近い歳の子供と遊べるのが久しぶりで喜んでいるのか、或いは“才能”故なのか、ニコニコと笑って優也に話しかけている。一方で一瞬驚いたように目を見開いた後、うげ、と言いたげに苦い顔をして、優也は目を逸らした。


「ゆうや何する?何が好き?」


「……」


「うみね、おしゃべり好きなんだ。ね、何の食べ物が好き?」


「なんでもいいだろ、別に」


「じゃあ何の遊具すき?うみはね、アスレチック!うちのおっきなアスレチック、たのしいんだぁ!」


「俺は外で遊ばない」


「ふーん、じゃあ学校の休み時間はお絵描き?折り紙?」


「っ……」


「ごめんね海美ちゃん。優也は学校に行ってないんだ」


「え、学校に行ってないって、どういう事ですか」


 驚きのまま突っ込む。しまった、失礼だ。何か病気なのかもしれないのに。


 焦りのまま申し訳ありません、と急いで頭を下げた。冷や汗をかき慌てる姿に、利人は大丈夫だから頭を上げて、と優しく声をかける。


「ちょっと事情がありまして。別に病気とかではないんですけど、この研究所からなるべく離れられないんです」


「そうでしたか」


「……なんだか、随分と大人びているというか、しっかりしていますね。まだ16歳と伺いましたが、うちの学生よりもしっかりしているように見えますね」


「いえ、そんなことないです。まだまだ子供で」


「その返しがもう大人っぽいですよ、ふふ」


 眉尻を下げて、ふっと目が細まる。柔らかで優しい笑み。


「無理しないでくださいね。このパーティも、私が学生を呼んで大分フランクなものになってますから。ほら、あそこ。うちに来てくれている学生が余りそうな料理を持ち帰れないか交渉してるぐらいですし」


「え……ふふっ、何あれ」


「本当ですよ。ちょっとみっともないから辞めてくれないかなぁ。はは」


 まぁ良いんですけどね。そう利人が笑うと、愛海も抑えていたものが漏れてクスクスと上品に笑った。そんな姉の様子を見て、海美も花が咲くように笑う。


「お姉ちゃん、笑った!」


「え、」


「笑った!笑ったね!」


「え、うん、そうだけど、……?」


「んーこういうとき、いつも怖い顔してるから、笑ってくれて、うみうれしい!」


「!」


「……今日のパーティの主役は私です。その主役がいうんですから、今日ぐらいは肩の力を抜いてくださいね」


 利人は愛海の肩にそっと手を置く。トントン、と優しく叩いて、また微笑んだ。


 穏やかな昼の日差しのような、暖かく優しい笑みを向けられると、どうにも調子が狂う。甘えたくなって、絆されそうになって、ダメだダメだとかぶりを振った。


 でも、少しだけ呼吸が楽になったような気がする。


 そんな愛海の様子に気がついたなか、利人も安堵したように一つ息をついた。


「お心遣い、ありがとうございます」


「いえ。ではパーティを楽しんで────」



「あのーーーーー、すみませんお話中」



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