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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#12.5 幕間 最愛の君に贈る
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#12.5-3 恋愛脳とかかった罠

「でさ、ね、優也。結局どうなのよ、海美ちゃんは」


「はぁ?」


「いやだっておかしいじゃん。スーパー人見知りのお前がこんな短期間で心許すなんてさ。俺の時なんて1年以上かかったのに!」


「あれは事件直後だったから仕方なかっただけで」


「で、どうなの?海美ちゃんとはなんもないわけ?」


「ないです!ないですって!」


 以前の勘違いトライアングルに懲りていないのか?あんなに酷い目にあったのに。下手したら簡単なオルガー焼却任務より大変だったぞ、海美を宥めるの。ともかく、龍斗さんは俺が海美を好きだと思っているらしい。


 ……確かに、振り返ってみれば男女にしては距離が近い。それに男の部屋に入り浸る女性ってどうなんだ?龍斗さんもいるし 2人っきりになることはほとんどないけど、前に眠れないと言って2人でアップルパイを摘んだ夜もある。歳も近いし、怪しまれるのもしかたないのか。


 でも、


「女性として見てない、までは言いませんけど恋愛対象にはなりませんって。それにそもそも俺が恋愛できないことわかってますよね?」


「なんで?」


「なんでってなんでですか。俺、孤虎ですよ?」


「何が関係あんだよ」


 龍斗さんは心底不思議そうに眉を寄せる。


「え……いやだって、孤虎の人間と付き合いたいなんて」


「孤虎だろうがなんだろうが、優也のこと好きになってくれる人がいるかもしれないだろ?一緒にいたいって言ってくれるかも」


「……いやいや、俺に人並みの幸せなんて無理です。孤虎だからってだけじゃない。こんな化け物の体をした人外と一緒にいたいなんてありえない。それにもし万が一いたとして、俺はその人の未来を潰しかねないじゃないですか」


「……んあーーーー、ね。そういうことか。ま、無理なもんは無理だからな」


 子供はなぁ。と龍斗さんは優しく話を切って料理を口に運んでいく。自分の子供を抱く未来はないと告げられたのは15の時。その時あまり実感は湧かなかったが、体に溜め込んだ高熱で色々と死んでしまっていることを知ったのはもう少し後のことだった。


 けれどショックを受けたかと言われれば、大して心にくらったような感じはないような気もする。未だ実感がわかなくて、徐々に思い知っていく途中なのかもしれないな。


「でもさ、そういう未来じゃなくとも一緒にいたいって人はいると思うよ、絶対に。てことで海美ちゃんとはどうなの?マジで何もないの??」


「しつこ……恋愛脳がよ……」


「あんなに仲よくて何も意識しないってことないだろ?」


「あります。騒がしい妹って感じで、守りたいとは思っても好きだなんて微塵も思いませんよ」


 心の底からありえないと断言できる。こういうのって相手に失礼かもしれないけど、アイツもアイツで優也が好きとかありえないから!?とキレていたんだ。ある意味両想いだろ?正反対の方向に。


 グラスを手に酒が進む。パチパチと小さく跳ねる泡がりんごの甘酸っぱい香りを鼻へ届けてくれる。美味しい。気がつけば2杯目もスイスイ呑んでしまった。


 空になったグラスをぼーっと見つめているとまたグラスに酒が注がれていく。呑みたい、美味しい、と手がすぐに伸びるがやんわりと龍斗さんに掴まれローテーブルの縁に降ろされてしまう。


 ローテーブルの縁が少し歪んで見える。頬をぺたりと触ると、特有の熱感。


 あれ、俺酔ってる?


「ダメ。間隔空けて呑みなさい。てか、本当に恋とかしてないんだな」


「してないですよ」


「いや〜俺のセンサーがビビッ!っと来たんだけどな。違うのか〜じゃあもし誰かが海美ちゃんと付き合ってもいいんだ?」


「?、海美はうちにいるでしょう」


「……………」


 笑ったまま眉を寄せている。話が通じない。そう言いたげな顔だ。なんだよ。俺が変だって言いてぇの?


「とにかく俺は海美となんでもありませんから」


「ふ〜〜ん?まぁそういうことにしとこうか」


「納得してないし……じゃあ聞きますけど龍斗さん俺と付き合えます!?」


「ブッッッ!?!?」


「そういうことですからね!?だって仲よくて昔っからいつも一緒にいて、前に狛坂さんに『歳の離れた弟みたいな感じだよ』って言ってましたよね!?」


「ちょ、げほげほ、ちょっとまて優也」


「年齢差はこの際なしです。10年一緒にいたんだからむしろそれでプラスでしょう。さぁ!どうなんですか!!」


「酔いすぎ酔いすぎおちつけまず」


 いつのまにか横に置かれていた500mlのペットボトルを口に突っ込まれ、無味の水が濁流のように流れてくる。その勢いに負けて口の端からぼたぼたと水が溢れ、龍斗さんが手で掬うも虚しく落ちていった。


「っん、...…ん、ん……ぷはっ」


「はぁー………なるほど。そう考えると確かにね。まぁまぁこの件はまた後日な。顔、真っ赤だぞ」


「誰のせいだと……」


「呑みすぎたのは自分だろ。ほらきゅうり食っとけ後少し」


 水の次はきゅうりが口に詰められる。しゃくしゃくと咀嚼してもわんこそばのように続けさまに口運ばれ、自分で食うからやめろと軽く睨みつけても怖い怖いと笑われただけだった。


 あー、やばい。あたま、ふわふわする。


 視界が歪んでブレる。


 まだやることあるんだけどな。


 明日までの締め切り、いくつあったっけ...…?


 頭を動かそうにも、目の前に出されるきゅうりをただ口に運び、咀嚼していくことに脳のキャパが持っていかれる。


 ガンガンと響くような頭痛がする。酒のせいとういより、そもそもこういう体調だ。最近ちゃんと眠れていない。普段から寝つきはかなり悪い方だし任務の事務作業も最近はなにかと忙しくてほとんど手がついていない。


 体調もまだ悪い。心臓に穴が空いたんだからいくら特異生物と言っても1ヶ月は動かない方がいいと言われたけど、任務も訓練も休めないし。2人にはまだバレてないみたいだから、心配かけないうちに早く全快できるようよく寝たいんだけどなぁ。いかんせん眠れてなくて悪循環。


 頭を抑えて眉間に皺を寄せる俺を心配するように龍斗さんが背中を摩ってくる。


「優也、平気か?」


「だいじょぅ……れす……」


「呂律も怪しいな?ったく、まだ3杯だろ。相変わらず弱いな」



 ま、それを狙ったんだけどさ。



 ほくそ笑む龍斗さん。

 ねらったんだ?って、どういうこと?


 回らない頭で考える。わからない。なんで?



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