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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#12.5 幕間 最愛の君に贈る
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#12.5-2 優しい嘘と実力行使


「あと前からこれ言いたかったんですけど、海美と話してるとき嘘つきましたよね俺のこと」


「ふぇ?」


 叩ききゅうりを口に入れながら身に覚えのないことに驚いた様子を見せる。覚えていないのか?


「海美がメンタルやられてた時のことですよ。龍斗さんが心配で見に行ったやつ。俺が初めて変身した時吐いてたって言ってましたよね。あれ違いますよ」


「あーあれね。うん。嘘ついたわ」


「俺が吐いたのは初めて人間の姿をしたオルガーを殺した時です。変身したぐらいじゃ吐かなかったでしょ忘れたんですか?」


「いやいやよーーーく覚えてますよ。あの時の荒れ方とんでもなかったですからね」


「…………」


「いやぁすごかったなぁ……今でも覚えてるよあの頃の優也。殴るわ蹴るわとことん暴れて何で殺させたんだ自分こそ死ぬべきだの一点張りで何も聞いちゃくれないし。ご飯も食べないから強制鎮静で栄養の点滴まで使ってね」


 うぐ、と喉の奥にシラスが刺さったような気がした。気まずさと一緒に酒で押し込む。


「その節は、すみません」


「あはは!ごめんごめん意地悪したな。別に気にしてない。それにそんな重い話、海美ちゃんにしたらさらに追い詰めちゃうだろ。だから嘘ついたの」


 過去のやらかしに肩を丸める。あの時……12歳とかだったかな。その頃の俺にはまだ化け物の自覚が薄かったし、オルガーとはいえ生物を焼却するのにもメンタル的に慣れていなかったから仕方ない。うん。仕方ない。龍斗さんに散々大怪我 (特に熱傷) させたのも、うん。本人気にしてないっていうし。うん。ごめんなさい。


 海美が落ち込んでいるところに俺の暗い話をぶっ込んでも仕方ない。そういう判断で龍斗さんは何も言わなかったんだろう。相変わらず細かな配慮が得意な人だ。偶にキズだけど。


「あの頃は荒れてたよなぁ。優也がってより、SCR全体が」


「1番風当たりが強かったですよね、俺と龍斗さんに」


「まぁ仕方ないと言えばそうだよな。特異生物に大切な人を殺された人が多い中で特異生物と協力しろって、心の整理が難しいし」


 10年前にいた人たちは急な斡旋で連れてこられた人が多い。的戸さんとか一部喜んできた人もいるけど大半は特異生物に恨みを持って入ってきた人たちだった。だから特異生物である俺と龍斗さんにあたりが強くてしんどくて、仕方ないことだけど。


「特異生物は抵抗できないつって優也が襲われることもあったし」


「あーありましたねそんなことも」


「軽っ!?もっと危機感持てよ」


「昔の話でしょ。全然気にしてないし、今はそんなのいないから平気ですよ。あぁでも昔、無理やり変な薬打たれてうまく動けないところを襲われたの、あれだけは覚えてます」


「あーー、あれか。……肝が冷えたよ。ほんと無事でよかった」


「無事でしたね。龍斗さんがギリギリのところで助けてくれたし」


「あんな強姦まがいのことそれも小さい子供になんて、すぐに見つけられたからよかったものを。そうそうあの時的戸には厳しく言ったんだ。同意のない実験はやめろってさ」


「……どういうことですか?」


 んむ?知らない?と眉を顰めると、口に含んだものを咀嚼し飲み込んで続ける。


「あの日優也を襲ったのが研究部の男は、薬は実験のために使ったっていうんだ。それで動けなくなった優也に興奮したとかなんとか。で、実験としてやったんだから特異生物は黙ってろって言われたから、実力行使で当時的戸を脅したわけ。同意のない実験は絶対にするなってさ」


「実力行使?」


「的戸は関係なかったとはいえ、一応あの頃から部長候補で上の立場だし。下のミスを上が拾うのは当然だよ」


 今ではそういう人たちは減ってきた。人事の入れ替えもあったり、特異生物への恨みは消えていないけど時間が経って俺と龍斗さんは受け入れてくれたり。そういうのも細かい気遣いと話しやすい気さくさを龍斗さんが活かして周りとコネクションをとってくれたからで頭が上がらない。


「で、実力行使って?」


「きゅうりうまいな〜」


「龍斗さん?何したんですか?」


「豚にんにく最高だな〜」


「こいつ……」


 グイッとグラスに残ったシードルを呷り、続けて残り物ミックスに手をつける。うん。思いつきで色々ぶっこんだにしては美味い。


 龍斗さんはきゅうりをしゃくしゃくと口に含んで美味いなぁとぼやきながら俺のグラスに酒を注ぐ。どうも、とぶっきらぼうに礼をするとどんどん呑めよ〜と笑った。


「でも最近は急に本部の連中とすごい仲良くなったよな。海美ちゃんのおかげかな?」


「それは本当にありますよ。アイツ、世渡り上手っていうかなんていうか。色んな人と仲良くなるのがめちゃくちゃ早いんですよ」


「才能かなぁ。そういえば普段そんな雰囲気ないけど、一応お嬢様だし?」


「お嬢様?あぁ鮫島のってことですか。忘れてました」


 食後ソファでだらつく海美に片付けを手伝わせる気分はさながら親になった気分。あんな姿を普段から見ているとどうにもお嬢様というような印象は持てない。


 でも明るく社交的なのは高校での任務で感じていた。本人がどう思っていたかはさて置いて、親しげにしている友人が多かったから。だから学校を休学するとなった時にあっさりしていたのに内心驚いたものだった。


「高校では確かにお嬢様してたかもですね。眉目秀麗のサメジマお嬢様って話ならクラスメイトから死ぬほど聞きましたよ」


「まぁ鮫島のお嬢様って扱いしてたような人もいるかもだけど、ちゃんとっていうか、そういう偏見なしのお友達もいたでしょきっと。そういう人含めて、海美ちゃんの社交性はすごいんだよなぁ」


「本人があっさりしてますけど、結構人望熱かったです。鮫島狙いでも偏見なしでも」


「こうして優也の心も掴んだわけだしな!」


「は?」


 抗議の声を上げるとまぁまぁまぁ!と宥めるようにグラスをグイッと押しつけられ仕方なく口にする。美味しい。これ、ジュースみたいでごくごく進みやすい。


「でさ、ね、優也。結局どうなのよ、海美ちゃんは」



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