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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#12 あなたの居る場所
164/197

#12-10 些細な違和感と巨大な水牛

 

「オルガーが出現した。現在オペ1が追尾中。現状被害はなし。現場に急行し焼却せよ」


「「「了解」」」



 同日──SCR本部司令部



 部隊服に着替え横に並び姿勢をピン、と正して声をそろえ反応する。


「ただし今回、留意点が一つ。狛華」


「はい。今回オルガーを発見した一般の方の証言なのですが、『孤虎優也を出せ』、と」


「俺?」


「状況を確認中ですが、警戒が必要かと」


「なぁんで優也の名前が出てんだ?」


「も、もしかして正体バレちゃった!?」


 慌てる海美ちゃんに優也がそんなわけないと返した。


「きっと過去の事件の逆恨みですよ。父は名前を知られているし、その道のプロなら息子の俺の名前だって調べ上げられる。オルガーからの攻撃で特異生物と俺たち親子に恨みを募らせただけです」


「根拠がない限りは断定するな。最大限警戒しろ」


「すみません」


「念のためザセルの解析も並行して行います」


「以上。SCR特殊戦闘部隊、出動せよ」


「「「了解」」」


 用意された車に乗り込み指定されたポイントまで輸送される。あぁお腹すいた。こんなお昼前に来るなよもう。腹が空っぽじゃ元気もでないし、と目隠しをされている間ポケットに入れておいたラムネを配って食べる。オルガーの焼却ならまぁ、そんな時間かからんでしょ。サクッと終わらせて帰りましょ。


 出発してから十数分。あと2分で到着ですと狛坂から連絡が入る。目隠し外していい許可も出て視界に色が戻った。


「そういえば、オルガーって久しぶりだよね?」


「あー確かに。mortal evolutionの以降全く見なくなって以来だね」


「……ザセルがいなくなって以来ですか。何か嫌な感じしますね」


「杞憂であること祈ろうぜ」


 キキっとブレーキがかかりドアが開かれる。優也、海美ちゃん、俺の順に素早く降りた。


「SCR現着。誘導を」


『現時点から西へ0.3 km進んでください』


「了解」


 狛坂の誘導で走り始める。到着したおしゃれなオフィス街を走り続けて道を右折すると海に面した広い公園に出る。その先に下に続く階段を降りると、左手に壁、右手の柵の向こうに川が流れる、サイクリングやランニングコースにはもってこいのよく整備された広めの道へと出た。


「あれか」


 その見通しの良い道の先、うめき声を上げながらゆっくりと前へ前進してくるオルガーたちがいる。オルガーだけじゃないな。進化形態のオルガーネルにオルガンまで大集合だ。オルガンは初めましてだけど、まぁなんとかなるでしょ。


「よーしサクッと終わらせようか」


「油断大敵、気を抜かないでください」


「はいはい。海美ちゃんいける?」


「もちろん!」


『周囲の生体反応なし。変身を許可する』


「「「了解」」」


 優也を真ん中に横に並んで、ボタンを押して瞬時に形成されるソケットに取り出したシリンジをカチャッと音が鳴るまで押し込む。



 Flame!Ready for injection!


 Storm!Ready for injection!


 Spark!Ready for injection!



 ミューシスのついた左腕を上から下へ大きな弧を描くように回し、後ろに振りかぶった後右手を添えて前へ突き出す!



「「「change my feature!!」」」



 Genes are promoted!



 最後の音声と共に姿を現したのは、3人の人間ではなく化け物3体。


「フレイム、変身完了」


「ストーム、変身かんりょーう!」


「スパーク、変身完了!」


「SCR、戦闘を開始します」


 フレイムの合図でスパークとフレイムが前へと飛び出していく。前方のオルガー達が俺たちに気付きヴァァァアッッ!と一層強い叫び声をあげて襲いかかってきた。


 フレイムは体勢を低くしオルガー達の足元へ滑り込んでオルガー達の足を燃やしていき、近くに這い寄ってくるものを簡単にいなしながら取り出したナイフで効率よく捌いていく。


 スパークはフレイムが無視した前方の敵を感電させながら体に溜め込んだ電気を発し、


「スパーク打て!」


「了解!うぉりゃあああ!」


 フレイムが地面を強く蹴って空へ浮かぶと同時に敵全体を感電させ麻痺させる。あの巨体なオルガンですら動けていない。よーし、俺もやりますか!


 風を起こしそれに体を乗せてふわりと浮く。オルガー達に近づき風で巻き上げて地面に叩きつけたりオルガーをオルガーへとぶつけて数を減らす。


「おっと」


 オルガネルからのトゲの射撃を避け、数本を風に乗せてお返しだ!


 Uターンを決めるトゲは見事オルガネルに着弾し倒れる。うーん今日もいい感じ。いつも通りの雑魚掃除だな。


「……?」


 いつも通り、なんだけど。


 敵は同じだし数も多すぎず少なすぎず。攻撃力手段も同じだけど。


「なんか、フレイムの周り……」


 多くね?


 前衛担当故に周りにこびりつくのは当たり前。スパークもそう。だけど2体を比較するとどうにもフレイムの周りが多い気がする。いや別に、手こずっているわけじゃないからいいとは思うけど。気にしすぎかな……


 とりあえず火薬弾を飛ばして援護する。まだまだオルガネルもオルガンも多いしな。


 さらに空から滑空し足の爪で地上の敵を切り裂いていく。するとフレイムが何かに気づいたように叫んだ。


「後方にネイチ発見!!」


「「!?」」


 後ろ──方向的には俺たちが来たところ──を確認するとそこには1人の男性がゆっくりこちらに歩いてくる。距離として90 mぐらい。今オルガーを捌くことに忙しいフレイムよりも……!


「スパーク、対応頼めるか!?」


「うん大丈夫!!」


「悪い!すぐいく!!」


「俺がカバーに入るから安心してね」


 緊張したようにネイチに立ちはだかるスパークの隣に立ち、肩をポンと叩く。一度ボコボコにやられた相手にリベンジマッチだ。


 10 mほど離れてぴたりと足が止まる。ネイチ……今は孤虎教授の姿だ。優也に似た茶髪に白髪が混じって、両サイド横にぴょんと小さく跳ねている。年齢を思わせる顔の皺にきちんとしたスーツを着こなし年齢相応の貫禄を感じる。ただ、視線は下に向いて合わない。


「随分孤虎教授に似せたもんだね」


「………」


「寡黙なところまでそっくり。でも残念。お前が孤虎教授とは別もんだってことぐらいわかってるよ」


「……優也は私の息子だ」


「!」


 望み薄だった反応が返ってきた。さて何を語るかな?


「我々は模倣物だとわかっている。ただ記憶を引き継ぎ、感情の真似事をしているにすぎない。若い君の言う通りだ」


「……若者扱い、痛み入るよ」


「だが我々は悪意なき存在だ。孤虎利人の記憶を私が読んで感じたのは、紛れもなく愛情だ。この体が、細胞がそう告げている」


「…………」


「模倣物だとしても、素体にしている体が持っていた感情に思いを馳せ、行動する。そこに悪意はないのだよ」


「じゃ、じゃあお姉ちゃんが私のこと本当に嫌ってるって言いたいの!?」


 スパークがたまらず吼えた。焦りが混じったその声に反し、ネイチの声は穏やかだ。


「まだわからないか、鮫少女。彼女の人格は確かに君の姉とは似ても似つかない酷く軽薄なものかもしれないが、素体になった人間のことを思い行動しているのは私と変わらない。昔、君に暗い感情を隠したまま非業の死を遂げた可哀想な姉を想い、彼女は君に全てを伝えたのだよ」


「………」


「やってやった、など意地悪そうに言っていたがね。とにかく私たちは素体に寄り添い生きている。さて、話が長くなったな。老人の悪い癖だ」


 ネイチが胸の前に上げた左腕を横にして、左肘に右手を添える。来る!


「時に、君たちは優也に何をさせている?我が愛息子を戦場へ引きずり出して戦わせ、辛い思いをさせているではないか。それを孤虎利人はどう思うか。想像に難くない」


「優也は自分の意思でやってんだよ!他人のお前が勝手に全部決めつけんな!!」


「龍青年。君か?優也をそそのかし戦いの場に連れてきたのは。まぁいい。何にせよ優也を私の元へ連れ帰る。それだけだ」


 添えた右手は肘から手首へと爪を立てて左腕を引っ掻き、血がスーツからボタボタと垂れる。



「変身」



 そう宣言すると体の色が赤黒く染まって、筋肉が大きく大きく発達していく。ゴリラが完全な二足歩行をしたような体に頭からは下へ向かった後に上へ向かうように湾曲した2mはありそうな角が生えている。縦に3 mはありそうな圧倒的存在感。なんだっけ?あぁそう水牛とゴリラのハーフ、パワー型!


「お前達から優也を取り戻す」


 振りかぶってきた拳を避けるとドォンッという轟音と共に大きく抉れた地面が土煙と共に姿を現す。これはまずい。1発でも喰らえばかなりの痛手だ。


 でも体が大きい分スピードではこっちが勝る。拳や蹴りを避けて急所に当てさえすれば、倒せなくともスタンはできるはず!


 横一閃に飛んでくる拳を俺は側宙で上に、スパークは180度に足を開いて下に避ける。今、攻撃後数瞬の隙!


 瓦礫を風に乗せ目を狙う。けれど顔を背けられ直撃を逃した。


「はぁぁぁあああ!!」


 スパークが電撃を顎に喰らわせるがびくともしない。パワー型らしい硬さだな!


 一旦2人で距離を離し息を落ち着かせる。ダメージをまともに入れるにはどうすればいい?どこか急所があればそれを狙いたいけど……


 ネイチが口を開く。


「お前達が優也の何を知っている」


「そんなの、私たくさん知ってるし!!」


「悪いけど、もう10年以上一緒なんだよこっちは!!」


「お前達が、孤虎親子の何を知っている!」


「「!」」


 ネイチが声を荒げる。顔がこわばっているのが見て取れる。……怒っているのか?


「ザセルから聞いた話じゃ、教授は優也を実験動物としか見てないって言ってたけど?」


「そんなわけがないだろう。ザセルは……」


「創造主のザセルに従う感じじゃないわけ?」


「……ザセルには感謝している。だが、優也に関しては馬が合わないのだ。優也を取り返す、と言う点で一致しているから従うまで」


 その言葉と同時に突撃してくるネイチをなんとか避ける。なるほど。こいつはあまりザセルと仲良くないわけね。でも優也を取り返すなら手段を選ばないって感じかな?


 ん?てか待った。フレイムは──


「──フレイム!?」



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