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SCR -Specific mutant Cells organism Rangers-   作者: none
#12 あなたの居る場所
162/210

#12-8 姉は強し

 

「あとはもう大分朧げね。ほとんど覚えてないけど、どうにかして入り口まで龍斗と戻ってきたのよ」


「初めて聞きました。龍斗さんはお姉さん来てたの知ってるんですか?」


「ううん、知らないと思う。結構錯乱してたしね。あれもあったから心配で連絡入れてたのにほぼ無視よ無視!全く、手のかかるバカな弟よ」


 ダンっと拳をテーブルに叩きつける。うん。それは龍斗さんが悪い。俺のこともSCRのことも色々忙しいのはあるんだろうけど、心配する家族からの連絡には答えろよ。


「……でもま、はっきりしたわ。光莉さん、やっぱりそういうことだったのね」


「あの、このことはその、」


「わかってるわよ。秘密ね。君から聞いたことも言わない。さっきみたいに何も知らないフリしてあげるから安心して。その代わり」


 小指をずい、と前に出される。え、何?


「あの子が崩れそうになったときには支えてあげて。ね、《孤虎優也くん》?」


「………なんでもお見通しですか」


「ま、姉だしね」


 ここがどこで貴方達が本当は何をしているのかまでは探れなかったけどね。そう朗らかに笑う彼女は相当なやり手らしい。まさにあの人の姉だ、と思わされる。


 小指を出し、結んで軽く上下に揺らす。


「お願いね、あの子のこと」


「こちらこそ」


 静かな共犯関係を結んで、小指が離れる。


「あとはまぁ、信じてあげて」


「信じる?」


「そう。メンタル脆い話はしたじゃない?脆いからこそ、揺らぐの」


「揺らぐ……」


「けれど、最後には自分の力で必ず真っ直ぐ前を向いて立つ。力強く根を張り直してね。だから手を差し出す前に信じてあげて欲しいの」


「………精神論的な話は苦手です。でも、まぁ、わかりました」


「わかってんのそれ」


「30%は」


「結構低いわね」


 まぁいいわ。とお茶を一口飲んでいる。揺らぐ、か。あの人が揺らいだところなんて見たことないけど。


 色々と思い返そうと頭を捻っていると、ねぇ聞きたかったんだけど!とやけに明るい声が響く。うるさいな、なんだよもう。なんだかしょーもない予感がして、まともに取り合うのはまずいと話に応じない意思を見せようとしてお茶を飲む。なんか嫌な予感が……


「君はさっきの女の子、海美ちゃん?って子が好きなの?」


「ブッ!?」


 なんでだよ!!


 思わぬ爆弾に被弾しお茶を吹き出し大きくむせる。大丈夫?とハンカチを取り出す瑠璃華さんを手で制し、近くにあったティッシュであたりを掃除した。


「なん、ゲホッ、なんで」


「やっぱ当たり!?なんか仲良さそうだなって思って」


「ゲホゲホっ、っあー。んんっ……なんでそう思ったかって聞いてんですけど」


「なんだろう。女の勘?私の直感?観察眼?」


「どれでもいいですけど、どれもトチ狂ってんじゃないですか」


「えぇ!?」


 絶対そうでしょ!お茶吹くぐらい動揺してんのに!と叫ぶ瑠璃華さんをガン無視する。こんなのに付き合ってられるか。何が悲しくて恋バナなんて。


「じゃあもし海美ちゃんが君のこと好きだったら?嬉しい?」


「前に俺のこと好きかどうかって話の時に半殺しにされたんですけど」


「え!?聞いたの!?俺のこと好きかって!?」


「違います!!そういう勘違いが色々……あぁもう、めんどくさいな!」


「じゃあじゃあもし好きだって言われてたらどうするつもりだったの!?」


「断ります仕事に差し支えるので」


「うっそだ〜顔が嘘だって言ってる!!」


「言ってません」


「私の目はごまかせないよ。ほら正直に!言わないからさ!!」


「だから!!アイツとは絶対そうなりませんから!!」


「………」


 少し声量を上げて返すと突然電池が切れたように静かになり真顔で俺の顔をまじまじと見つめてくる。な、なんだ。なんなんだよもう。情緒どうなってんだよ。怖い。怖いもう!帰して!俺を部屋に帰してくれ!!


「……優也くん」


「は、はい……?」


「いくつだっけ。あの事件のころまだ小さかったよね」


「今は20、ですけど」


「……かわいい」


「え?」


 瑠璃華さんの口角があがる。世間じゃ女神とでも評されそうな笑顔だが、今の俺からしたら地獄の閻魔が獲物の狙いを定めて喜んでいるようにしか見えなかった。



「かんわいい〜〜〜〜!!!!なんかすごくかわいい!!ムキになって否定するのとか加護欲そそられる〜!」



「な、か、かわ……?」


「よく見たら可愛い顔してるじゃない!推せる!」


「なになになになに!?」


 肩をガシッと掴まれ驚いていると顔を目と鼻の先に近づけられる。め、目ぇデカ。なんか落ちてきそうだな、眼窩から。ていうかやっぱり姉弟だから龍斗さんと似て完璧な顔してるよな。ってそんな現実逃避してる場合じゃない!


「優也くん。お願いがあるんだけど」


「嫌です」


「私とお友達にならない?私、これでも結構すごいのよ?」


「嫌です」


「まぁまぁそう遠慮せず。ね、お願い」


「〜っっ!し、しし、失礼します!」


 ほぼ拘束のような状況から抜け出し小休憩室から飛び出す。あ、でもこの人1人にしたらまずいかな。ウロチョロされたらまずいよな。まずは狛坂さんに連絡しなき


「優也くん」


「ひっ!?」


「ちょ〜っとお話しない?お姉さんと」


 ザザッ「狛坂さん瑠璃華さんがお帰りだそうです!ちょっ、まっ、狛坂さん繋いで、早く!早くお願いします!!助けて!!」


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