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第六章 祖母の秘密
祖母が屋根裏から、長年しまってあった古い箱を取り出してきた。
中には手紙の束、干からびた花、色あせたリボン、そしてフィンが見たこともない小さな木の欠片があった。
「これ、何?」
「大事なものは、まず大切にすることを覚えてから、意味を知るものよ」
祖母はそう言って、質問には答えなかった。
フィンはそれが何年前のものか当ててみようとして、あまりに的外れな答えを出し、祖母を笑わせてしまった。
「くれよ、それ」
「だめ」
「ケチだ」
「――いつかね。この欠片は、いつかちゃんと自分の持ち主を見つけるものだから」
祖母の声は、いつもよりほんの少しだけ静かだった。
フィンはその言い方に少し引っかかりを覚えたが、階下から漂ってきたパイの匂いに、あっという間にすべてを忘れてしまった。
まだ誰も知らない。
その小さな木の欠片が、いつかフィンにとって世界でたった一つの、母の証になるということを。




