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第四章 鶏が消えた日
ある朝、鶏小屋から母の一番のお気に入りの鶏がいなくなっていた。
「これは事件だ」
フィンは即座に自分を名探偵に任命し、友人二人を助手に招集した。
三人は庭を調べ、泥の足跡を追い、さらには怪しく懐に袋を隠し持っていた隣人まで尋問した。
「その袋の中身は?」
「……種だが」
「怪しい」
「怪しくない」
一時間後、鶏は納屋の屋根の上で、涼しい顔をして事件の一部始終を見物していたことが判明した。
「僕は最初から屋根を疑ってたんだよ」
フィンがそう言い張ると、助手たちは声を揃えて反論した。
「証拠は?」
「証拠は勘だ」
その夜、母は笑いながら言った。
「鶏一羽のために、あんなに真剣な捜査は見たことないわ」
「良い探偵は、簡単な事件なんて選ばないものなんだ」
フィンは胸を張って答えた。
小さな冒険。けれどそれは、まだ誰も知らない、フィン自身の物語の始まりだった。




