表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/37

31.さきらく



『最近はレイドで忙しいんじゃなかったっけ』



いや、そうだけど、でもビギナーを導くのもお仕事なので。



『あの子、ビギナーなんだよ。 初めてのイベントだから教えてあげてるんだ』



『ふーん』



なんだなんだ。このチャットの感じは怒ってないか?



イベント受注を済ませたyukiさんが動かなくなっている俺に心配し、チャットを飛ばす。




『haluさん、どうかしましたか?』




個人チャットは、送信相手と自分にのみ見ることのできるチャットだ。なので日夏と俺のやりとりはyukiさんには見えていない。




『ごめん、後ろの人フレンドでさ』


『ああ、なるほど』


『ちょっと待って』


『了解です!』




彼女へと説明をし、再び日夏へチャットを送る。




『それよかhinaはフレンドとイベントするんじゃなかたのか?』


『うん、そーだよ。 イベントしに来たらhaluが他の子といたからさ』




な、なんか刺々しいな。気のせいかもしれないけど、なんとなく。




『まだ19時前だぞ。 意外と早く来たんだな』


『まねー』




うーん、やっぱり怒ってないかこれ。




『ごめん、この子待たせるのもあれだから』


『わかった。 またね』




何とか日夏との話をつけ、yukiさんへ話しかける。『具合悪いのに待たせてごめんなさい』っと。


すると彼女はぴょんぴょん飛び跳ね、『大丈夫です』と返してきた。




今度日夏の機嫌とらねーとな。......日夏も大切なフレンドの一人なんだから。




それから二人で一通りイベントをこなした。NPCの指示にしたがいあちらこちらへと行かされるタイプのイベントだったが、yukiさんが楽しそうでなにより。俺も楽しかった。




そしてイベントクリア後。




『楽しかったです』


『うん、楽しかった』


『イベントのストーリーも良いものでしたね』


『確かに。 FDはMMOだけど物語の評価が物凄く高いんだよな』



『また次のシーズナルご一緒してくださいね』



yukiは両腕を振り上げ、バンザーイのような動きをする。このネトゲではアクションといって様々な動きをキャラにさせることができて、これはその内の一つだ。




彼女は普段ぴょんぴょんとジャンプして喜びを表現するのだが、より高まった時はこうしてアクションをつかう。




『ああ、もちろん』




『では今日はこれで』


『あ、そうだな。 体調気をつけて』


『ありがとうございます。 お休みなさい』




ぴょんぴょん跳ねながら人混みに消えていくyukiさん。




あのダンジョンでの出会いから数週間。もう普通に一人でいろいろな事ができるようになってきたな。


ストーリーの進行度はまだまだだけれど、日夏の成長をみているようで感慨深いものがある。




(レイドばかりしか興味のない俺だったけど......)




日夏との出会いでそれも変わり、こうしてビギナーを助ける事も苦にならなくなった。というか、今日のイベントもそうだが、楽しんでさえいる。




不思議だよな。昔だったら自分のゲーム時間確保するために誰かしらが困っていてもスルーしていたような人間が。




(っと、日夏にチャットしてみるか。 ......まだ怒ってるかな)




ポーン!



そのタイミングでSEが鳴り、もしかして日夏か?と思ったが、それはゲーム内のレターボックスに手紙が入ったというお知らせだった。



メニューを開き、それを確認。



そこには差出人『yuki』、タイトル『ありがとう』という一通の御礼状が届いていた。



『いつもありがとう。 今日は体調を悪くしてしまってごめんなさい。 また遊んでください。 これ、ちょっとしたクリスマスプレゼントです。 よければ』



クリスマスプレゼント?と、画像が添付されていた事に気がつく。



(画像......?)



不思議に思いそれを開くと、そこには。


上の方に『Merry Christmas!』と小さいけれど、しかし綺麗な文字で書かれていて、その下にはhaluとyukiの手描きのキャラが並んでいた。更にはその背景にも大きな樹が描かれていて、真っ白な雪にまみれた枝々に色とりどりのクリスマスの小物が沢山飾られていて、てっぺんにはもちろん星が輝いている。



「絵、上手ッ!!」



声に出てしまうほどの絵の上手さだった。


こんな凄いクリスマスプレゼント貰っちゃったら、俺のクラフトした装備品霞んじゃうな、はは。


俺はそんな事を考えながら、プレゼント用に制作した白い髪留めリボンを眺めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ