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30.あれっ




――ひらり舞う白い雪。




クリスマスの近い12月の最中。



FDの世界にも季節ごとのイベントが訪れ、街中に雪だるまや氷像、店や宿屋にもクリスマスの装飾が施されている。


それに伴いシーズナルと呼ばれる季節限定のイベントが開催され、俺は以前ダンジョンで知り合ったプレイヤーyukiさんとそのシーズナルを遊ぼうとしていた。



(......こないな)



待ち合わせの時間を過ぎても現れない彼女。今まで遅れたこともなければ連絡無しで約束をすっぽかしたこともない彼女。


何かあったのかと不安になり始めたその時、遠くの人混みにフレンドの証であるオレンジの色をしたプレイヤーネームが見えた。



走って駆け寄ってくる彼女。




『遅れてすみません』




『yukiさんが遅れてくるなんて珍しいね』


『ごめんなさい』


『大丈夫、俺も今インしたばかりで』


『本当にすみませんでした』




『あまりリアルの話しを聞くのも良くないし、答えたくなければ答えなくて良いから』


『?』


『何かあった? 体調悪いとか』




その質問を投げかけた直後、彼女からの反応がなくなった。



(......やっぱり、リアルの話はまずかったかな)



ネトゲやゲームに夢中になる理由のひとつに、現実を忘れたいというものがある。



「仕事辞めたい」「学校だるい」「リアルつかれた」


これは俺が今までにフレンドになった様々なひと達が言っていた事で、勿論俺にだってそう言う気持ちはある。



皆多かれ少なかれそれを抱えながら、ネトゲの世界で寄り添い遊んでいる。新たなもう一つの人生を。



(でもだからこそ、そのリアルに触れてでも)



彼女にも、何か抱えているものがあるのなら、俺は少しでもそれを肩代わりしたい。体調不良だってそうだ、そんな状態では楽しめるものも楽しめない......だから。



だって、せっかく出会えたフレンドの一人なんだ。大切な、ボッチの友達。



『すこし』



時間にして1、2分したころ。彼女から短めの返信がくる。



『すこし?』


『風邪気味みたいで』



『そうなんだ。 わかった、じゃあ今日はこれで解散しよう。 せっかく来てもらったのにゴメンね』



『まって』


『?』



『私、楽しみにしていたんです。 haluさんとのクリスマスイベント』



楽しみにしていた、か。俺も昔、新作のゲームが発売された時には、寝不足で体調が悪い時でも無理して遊んだっけ。


辛かったけれど、確かにゲームは楽しかった。




楽しみってのは活きる力だ......なら。



『でも、大丈夫なの?』


『大丈夫です。 イベント、行きましょう』


『わかった』



イベント会場は野外で、沢山の人々でごったがえしている。


その中でイベントクエストの受注のできるNPCを捜し、サンタ風ドレスのキャラクターを発見。



『そこでクエストをうけられるみたいだね』


『わかりました』



彼女が近づいていき、俺もそれに続く。その時



ピコーン!



個人チャットを知らせるSEが鳴る。



それと同時に気がついたのだが、後ろ。見覚えのあるプレイヤーネームが、俺のキャラクターに整列するように佇んでいた。




『halu、動くな』


『なぜお前がここに』



後ろに居たのはプレイヤーネームhina。つまりは真白日夏だった。


日夏からのチャットがまた送られてくる。



『最近はレイドで忙しいんじゃなかったっけ』



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