28.異変
――大きな闘技場。
降り注ぐ隕石と湧き出る炎。
『右回り、次DPSは散開、HP全快!』『『はいっ』』『りょ!』『おっけ』『おけ』
次々と繰り出される、黒いドラゴンからの攻撃を8人の英雄達が華麗に躱していく。
いつもの慣れた手順、リーダーである俺、暗黒騎士haluの指示の元、攻撃パターンを読み反撃を繰り返す。
――しかし
『haluさん、次は!?』『っと、あ』
次の瞬間、ヒーラー二人が黒い炎に焼かれHPバーが黒色へと消えた。
『また!?』『ちょっとhaluくん!?』『......わり』
俺が数年前に立ち上げたチーム、【bluemoon】はFDのレイドレースを過去2回勝ち抜き、ワールドファーストに輝いた事がある。
FDの世界大会には、ソロ、ペア、フォーマンセル、そして最大人数の8人で挑むモノがあり、さらにそれぞれ対人戦とレイド戦がある。
難易度としては対人では人数が少ないほど難易度はあがり、レイドでは人数が多いほど難易度があがる。
そして、その両方、全ての中で一番の高難度となるのがソロの対人戦。
今、俺らがやっているのは8人レイド戦。二番目に難易度が高いコンテンツだ。
......しかしどうしたものか。
『同じとこ、同じミス......』『ああ、halu腕なまってるな?』
ぐうう、いうねえ君達。
と、その時。
『まーまー、ええやんか。 みんなもhaluにそれ以上に助けられた事たくさんあるやろ?』
同じチームメンバーのkuroさんが皆をなだめる。
『え、あー、まあ。 たしかに』『ごめん、haluくん』『あ、いやいや、大丈夫。 凡ミスしたのは確かなんだしさ......俺もごめん』
メンバー8人、彼彼女らは皆がプロレベルの腕前を持つ。それぞれ負けん気が強く、努力家だ。だからこそそこまでの技術を得られたのだろう。
それ故にチームを強くしたいという想いも強く、自分に対してもそうだが成長しようという意識が高く、ミスに厳しくなる。
(kuroさんに助けられたな......)
『しかし、対人ソロ......つまりは世界一の凄腕プレイヤーでもミスしちゃうんですねえ......ちょっと安心しました。 ちゃんと人間なんだなって......ふふっ』『確かになぁ』『ああ、確かに。 haluって出来て当たり前みたいなイメージだからなぁ』
『対人とレイドは違うからね。 これは、単純に俺が凡ミスしただけだから』
『そーかなぁ? 何か悩みでも抱えてんとちゃうの?』
『悩み......ないかな』
......悩み、か。
『ま、次の世界大会も近いからな。 頼むぜhaluさん!』『......そうそう、ワールドファーストは君にかかってると言っても過言じゃないしね......』
『ああ、うん。 大会までには何とかするよ』
何とかって、何をだ?
どうして俺はこんなにも気が抜けたままなんだ。
(......集中力が足りないのか?)
俺が作った俺のチームだ......俺が足を引っ張るのだけは避けたい。
原因は、何なんだ。




