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25.クラフター (日夏過去編)





「はい、これ! あげる」


「? これは、胴装備......まさか」



クラフターが制作した装備には名前が入る。確認してみると、やはりそこには真白の『hina』というプレイヤーネームが。



「作ったのか、これ......」


「うん、素材が少し高かったけどね、お礼の気持ち。 いつも一緒にいてくれて、ありがとうね。 えへへ」



心臓が口から飛び出る事はなかったが、肋骨をぶち折って出てくるかと思った。


あんな......メニュー画面も開けなかった真白さんが。


あ、ダメだ、泣きそう。



「ありがとう......今度ギャザラーも教えるよ」


「ぎゃ、ぎゃざらー? うん、よろしく!」


(ごめんな。 先に教えとくんだった......クラフター、すぐ飽きると思って。 すまん)





〜3ヶ月後〜




デスクトップPCでプレイする真白さん。そしてその横のソファに座りノートPCでプレイする俺。


最近では暇さえあればこうして呼び寄せられ、一緒にダンジョンやストーリー、シーズナルイベントを共にすることが日常となっていた。


ちなみに......


この世界にはチームを組むことができ、初心者を支援するために結成されているモノも少なくない。


俺がレイドの固定等で面倒が見れないときに、それに加入しておけば誰かしらが助けてくれるだろうと思って勧めたが、彼女はそれを嫌がった。



理由を丁寧に説明しても「なんで、そうやってアタシを捨てる気!?」と言われる始末だった。なんという曲解の女王。


(いや、ていうかマジで人聞き悪すぎるだろ......もしこの人が学校や人前でそのセリフを言おうもんなら、俺はその場の男共に速攻でミンチにされちまう。 分かってんのかな、この子)


そんな何週間か前の事を思い出していると、ふいに真白が鼻歌を歌いながらふらふらキッチンへと歩いていく。


帰ってきた彼女が持ってきたのは、お盆に乗せられた小さなタッパーと麦茶とグラス二つ。



「ハルくん、おやつ食べよーぜ!」


「おやつ?」


「それ開けてみ」


「?」



カパッとそのタッパーを開けてみると、そこには切り分けられたキュウリが入っていた。



「これは?」


「だーから、おやつだよ! 食べて食べて、美味しいんだからっ」


「いや、おやつなのはさっき聞いたけども」



答えになっていない答えを受け、これはもう自分で確認するしかねえな、とキュウリを観察する。


この赤く小さな輪切りになっているのは......鷹の爪か?と言うことはおそらくこれはキュウリの漬物。



漬物かぁ。あんま食べたことないんだよな、どうしよう。でもせっかく出してくれたしな......仕方ない、一つだけ。



「いただきます」


「いや、そんなに嫌がらないでもいいじゃん!」



恐る恐る口に運び、噛み砕くと――



「うんっっっめえええ!! 何これ、うめえ!?」



俺が漬物をまったく食べてこなかった事もあるが、このキュウリの漬物は想像した数十倍美味かった。



「でしょー! だから言ったじゃん!」


「これなに、おばあちゃんが漬けたのか!?」


「だれがおばあちゃんだし!? アタシはまだJKだ!!」



いやそんなこと言ってねえ!言ってねえけど......え、その言い方だとまさか、これ漬けたのって。



「わ、悪い、そういう意味じゃなくて......えっと、これ真白が漬けたのか?」


「ふふん、そーだよ。 美味しいっしょ?」


「ああ、すげー美味い。 料理上手なんだな、真白」



そのセリフに機嫌を良くしたのか、真白はもう一品だしてきた。



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