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23.よっつの (日夏過去編)




頭上に「?」を浮かべた真白がゲーム機を指差す。


「まあ、いいや。 これなんだけどさ、みてみて」


「はい、こちらのフレステ4ですね。 では少々拝見させて頂きます」


「なぜ急に敬語!?」


「......ふむふむ、なるほど」



怪訝な顔をしてこちらを見ている日夏さんを他所に、FDを触ってみる。


やはりといってもいいのか、全然プレイされた形跡がない。


しかし、プレイ時間だけは一時間くらいあるな。



(ログインしたが、何も出来ずに時間が経った?)



「やはり真白さんはゲーム自体をあまりしないのですか? FD以外にもゲームはしてないのでしょうか?」


「あ、あんまりやらない......友達に誘われたときくらいかな、一緒にやるの。 ってか何それ、急にその喋り方は怖いんだけど」


え、怖い?紳士的じゃね?平静を装い安心感を与える作戦が完全に逆効果になっちゃったな。

もっと上手くやらねえとな、ニチャア(笑)......と、ふざけてる場合じゃない。


「......でも真白さん、このゲームの事はちんぷんかんぷんなんだよね?」


「まあ、今はね〜。 でもこれからはちゃんと遊べるよ? ハルくんがいるからねっ!」


ニカッと向日葵のような笑顔を差し向けてくる彼女。俺は目をそらし、率直な感想を答えた。


「えっと、ゲームって人それぞれ合う合わないがあると思っているんだけど......他のゲームしたほうが良いんじゃないかな。 無理して続けても楽しくないだろうし」



「それは嫌」



真白は暗く視線を落とした。



「......このゲームはさ、友達が面白いから一緒にやろうよってすすめてくれたんだよね。 ゲームが苦手で、いつもはアタシの出来るのばかりに合わせてくれてる友達が」


あー......なるほど。


グループでの付き合いってのは大変だな。すすめられたらやらねばならない、やらなければ排除されかねない......だから彼女は必死だったと言うことか。


しかしそう考える俺を否定するように、彼女はこう続けた。



「このゲームって、そんなゲーム下手な私にすすめちゃうくらい......それだけ楽しいって事でしょ?」



(......)



「それに、友達、皆楽しそうにFDの話するんだよね。 楽しかった、感動したってさ。 私もちゃんと、頑張ればそれがわかるかもしれない......がんばってやりたい。 私はそれを知りたい」



なるほど......居場所の保持ではなく、あくまで好きなものの共有。


(大切な友達の好きな気持ちを理解したい、って事か)


基本ぼっちの俺にはわからん理由と気持ちだ......が、この諦めの悪さを見るに、相当な想いみたいだな。


(想いは力になる、なら)


そして何より俺の愛するネトゲ、FDを理解しようとするその熱意は......嫌いじゃない。むしろ嬉しくすらある。


つーかその気持ちは理解できる、こんな俺でもな。仕方ない、やれる限りの努力はしてみるか。


いや、基本逃げられないんだけどね。



「わかった、教えるよ」


「本当に!? ん? ていうか、最初からその約束じゃん......やっぱり逃げる気だったんじゃ?」


「いや、そうじゃなくて。 他の誰かに見てもらえなんてもう言わない。 ちゃんと真白がゲームをプレイできるようにする」



ぱあっと花開く笑顔を見せ、「うんっ!」と八重歯をのぞかせる彼女。そのひとなつっこさと心を照らす性格に、異性問わず人気を集める本当の理由を今日知った。



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