第10話「渾身のアップデート」
モナコGP、練習走行。
この走行時間で注目を集めるマシンがいた。
それが76号車、田邊飛花。
「すごい…この低速域でも安定して走れる。それに、トンネルストレートでもしっかりパワーが出てる。」
VERTEX JAPANが開発したパワーユニットの評価は高かった。
その様子をモニター越しに斉藤代表が見ていた。
「やっぱ、俺達のアップデートは成功かな…?」
「ですね、代表。これだけいいタイムを出してれば本番でもいけますよ。」
「今のとこ、トップタイム連発だもんな。」
「このパワーユニット、最ッ高!気に入った!」
練習走行が終わり、予選が始まる。
ここモナコは道幅がF1のカレンダーの中で一番狭い。
そのためオーバーテイクは選ばれしF1レーサーでも至難の業。
だから、このグランプリは予選の順位が肝心になってくる。
日本からこの様子を見守っていた代表は、嬉しい気持ちだった。
「俺達が作ったパワーユニットが、世界一の舞台で動いてる。しかも、トップ争いをしようとしてる…」
田邊飛花は練習走行からトップタイムを連発。
「新しいボディワークもちょっとは効いてる気がする。トンネルストレートでの速度が上がりやすい気がする。」
結果、新設計のパワーユニットと新設計のボディワークのアップデートは成功した。
予選終了。
20号車 松下 7位
76号車 田邊 1位 (ポールポジション)
「やったな、飛花」
「あ、松下先輩。はい!おかげさまで!」
「パワーユニット、いい感じだな。」
「はい!どの速度域でも安定して使えます!」
「じゃあ、VERTEXの渾身のアップデートは成功だな。」
「?」
「斉藤代表が言ってたんだよ。モナコで飛花のために渾身のアップデートを投入するって。だからアップデート成功だなって」
「ここはただでさえ抜けないサーキットだ。だから、今回はお前の初優勝も狙えるかもしれないな。」
「はい!F1初優勝、狙っていきます!」
「よーし、その意気だ」
モナコの地を、夕日が照らしていた。




