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元暗部の英雄、再び暗躍する ~娘のために正体を隠して無双していたら有名になっちゃいました~  作者: 出雲大吉
第3章

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第114話 わーお


「それは良かった。作成者としても鼻が高いな」


 一体いくら儲かったんだろうかと気にならないでもないが、どちらにせよ、ウチではそれだけの売り上げを出すのが不可能だから聞いても仕方がない。


「それはもう! その後も色々と考えたんですが、エリックさんにはぜひともウチで働いてほしいという思いが強くなりましたよ」


 大手さんにそう評価してもらうのはありがたい。


「いやー、俺には店がある」

「もちろんですよ。店を持っておられ、家族がいる。さらにはミルオンの町の事情もよくわかっています。私がいくら積んでも首を縦に振らないでしょう」


 まあ、前にもそういう話はしたしな。


「ああ。悪いが、俺はミルオンの町で居場所を見つけたんだ」


 永住の地と思っている。


「素晴らしいことです。商人の私が言うのもなんですが、人生は金ではないです。もっと大事なものがあるのです」


 良いセリフだが、確かに商人が言ってもって感じだな。


「お役に立てなくてすみませんね。ただ、これからも協力できたらと思っている」


 どう頑張ってもウチではそんなに売れないし、売るだけの労力もない。

 だったら大手に任せたい。


「ぜひとも、お願いしたいです。そこでですね、折衷案じゃないですが、ウチと契約していただけないかと思い、本日はお時間を作って頂きました」


 んー?


「契約と言うと?」

「技術提供と言いますか、専売契約と言いますか……要は今後、新商品を考えられましたら真っ先にウチに話してほしいのです。そして、それをどこの商会にも言わない」


 なるほど。


「水筒と同じ感じだな。それも今度からはウチで売り出す前にランドルさんに相談しろということ」

「はい。以前、様々な商品を見せてもらいましたが、売れるかどうかは置いておき、どれも素晴らしかったです」

「これか?」


 空間魔法から黄色のアヒルの親子セットを取り出し、テーブルに置く。

 以前、ランドルさんが一番食いついていた商品だ。


「おや? 小さいのが5羽いますね?」

「メアリーが雛を作ったんだよ。アヒルの親子セットだな」


 ランドルさんが帰った後に作ったやつだ。


「良いですな」


 ランドルさんが親鳥と雛を手に取り、見比べる。


「売れるのか? ウチでもそこそこ売れているが、そんな大ヒットって感じではないぞ」


 そもそも単価が安いしな。


「売り方です。私はこれを会計カウンターの横に置こうと思ったんですよ」


 んー?


「なんで?」

「ウチには多くのお客様が来られますが、子供連れのお客様も多い。そして、会計待ちの暇な時にこれが見えるわけです。子供は食いつくでしょう? すると、親が買うわけです。私もこの商品は軽く手が届く程度の値段にし、買いやすくしようと思っているのです」


 これくらいの値段なら買ってもいいかって思わせるわけか。


「それで利益が出るのか?」

「王都では人の数が違いますよ」


 まあ、ウチの店に子供は来ないもんな。

 メアリーもアンジェラも大人になったし。


「ふーん……」

「こういった感じで新商品が思いついたら教えてほしいのです。いかがですかな?」


 いや、それは良いんだが……


「ウチにメリットがなくないか?」

「もちろん、対価は支払います。まずですが、本契約を年更新とし、その都度、更新するかどうかをお互いが決めます」


 どちらかが契約しないと決めたら破棄されるわけね。

 まあ、当然だ。

 切られることもあるし、逆にこっちがもういいやって思ったら更新しなければいい。


「それはそうだな」

「次に契約料ですが、500万ミルドと考えております」


 500万ミルド……


「マジ?」


 新商品を提供するだけで?


「ええ。それと新商品開発のための材料費はこちらで負担します」

「材料費も負担してくれんの?」


 無料?


「ええ。こういうものを思いついたけど、予算が足らないということもあるかもしれません。商品開発も試行錯誤を繰り返すものですし、予算も安くないでしょう? それで停滞してはいけませんし、そういう費用はすべてこちらで負担します」


 あー、確かにな。

 あのライトセイバーも結構な年月と費用がかかっている。

 まあ、趣味で作ったものだけど。


「それはありがたいな」


 年収500万ミルドに開発費が無料か……

 悪くないな。

 はっきり言えば、俺はこれまでと変わらないことをしていけばいいだけだし。


「開発した商品をウチで売ってもいいわけだろ?」

「水筒の時と同じですね。ミルオンの町にウチの支店はないですし、エリックさんの店と競合しませんからそれは何も問題ありません。これまでと同様に商売をなさってください」


 メリットも大きい。

 そして、デメリットがない。

 もしダメだったとしても契約が打ち切れるだけで別にそれでウチが損をするわけでもない。

 元に戻るだけだし。


「ふーむ……」


 断る理由がないような……


「あ、もちろん、これらはあくまでも年間の契約であり、水筒のようにこれと思った商品は別途、お支払いし、買い取らせていただきます」


 ん?


「500万に加えて、3000万出すの?」

「さすがに水筒ほどの額を出すのかは微妙ですよ。あれは絶対に売れるという確信がありました。まあ、金額についてはその都度、提示させていただきます。今のところですが、例のコンロは1000万ミルド、この可愛いアヒルセットは300万ミルドといった感じですね」


 ほうほう……


「ちょっと待ってな」


 アンちゃん、集合ー。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

本日、私の他作品である『宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅』の第1巻が発売となりました。エリクサーを作ったことで捕まりそうになり、祖国を逃げ出して、世界を旅するお話になります。

ぜひとも手に取って読んでいただければと思います。(↓にリンク)


本作共々よろしくお願いします!

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