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ダンジョンアタック 3

「ギ、ギッ」

ゴブリンは唸りをあげ狙いも定めず棍棒を振り下ろした。背後から飛び掛かり欠けたナイフを突き立てようとする。岩影を利用し身を潜めながら弓を射る。

何匹ものゴブリンに囲まれたが行雲流水の展開で対処はできている。


岩影に隠れてしばらく出てこないゴブリンはスライムに捕食されてしまった。ヨシローも壁や瓦礫に身を預けるとスライムの餌食となってしまう。かげに入るのはまずい。

かっこうの的になりながらゴブリンと対峙しなくてはならなかった。


 バッサリと斬られて倒れていくゴブリンの後ろからまた新たなゴブリンが襲いかかる。キリがないほど湧いてくるが逃げ惑うゴブリンも出てきた。道が開ける兆しが見えてきた。


ヨシローも無傷ではいられなかったが、深刻な怪我がないのを確認しながら三層への道のりへ少しずつ迫って行った。

階下への入り口前にいたゴブリンを排除して二層ともおさらばだ。パーティを編成していたなら連携を組んでもっと早くにクリアできたかもしれない。


ゴブリンの構えた矢を掴んで首を刎ねた。これ以上は追ってこないだろうというところで手にしていた矢を見た。いつまで握っているんだろうと思いつつ矢尻を見た。すぐ捨てるつもりだったが、矢尻にドロっとした色の着いた粘液が付着していた。


(毒?)

ヨシローは矢を手離して、自身の傷を確認した。矢を

掠めた箇所は三箇所。遅効性の毒か。種類は。思考がぐるぐるして身体の異変を確認するものの異常を感じない。

立ち止まってはいられない。三層の駐屯地に医療班がいるなら解毒薬があるはず。意識の再確認と視点がぼやけてないか。指の先まで違和感がないか自己確認しつつ階下を目指した。


 ランタンの油を補充しなくてはならない。このランタンは扱いは少々不便で慣れが必要だが、かなり明るく周囲を照らしてくれる。専用の漏瑚を取り出して油を補充する。揮発性なので匂いが気になるが、ダンジョンのようなどうしても影ができる危険な場所でもはっきり陰影を区別できるため向いてると思った。


作業が終わり周囲を見渡すと、先程とは違った景色になっていた。

下を見ていて周囲の警戒を怠ってしまった。


 スライムが天井から粘液を垂れ流し、ヨシローを包囲していた。

大人ひとり分の大きさではない。かなりデカいぞ。

ヨシローはランタンをかざしスライムが散るのを期待したが遅かった。


逃げ道も進路も塞がれ、毒の進行も気にかけていなくてはならなかった。

「水撃」

スライムには効かなかった。相性が悪かった。


スライムの粘液はゆっくりと重力に逆らわず垂れてきた。ヨシローの足元が粘液に浸かり衣服や髪を溶かし始めた。


 カバンからランタンに使用した油瓶を取り出して火を点けた。火炎瓶となったそれを叩きつけ爆破させた。揮発した油にも引火して道が開けた。

ヨシローも爆破に巻き込まれて火傷を負ったが、逃走には成功した。引火した火はヨシローにも飛び火した。


壁に向かい水撃を当て威力を失った水を浴びて消化に努めた。


 三層にたどり着いた。スライムは倒せてはないだろう。そしてここにはやって来ない。逃げ切れたのだ。


「ずいぶんやられたじゃないか。パーティは?」

騎士団の男が駆け寄ってくれた。

「僕はソロでやってます。自分が最後だと」

「そうか。一番最後にダンジョンに入って安全にここまで辿り着こうとしたのだな。甘いヤツだ」

男は医療班の

テントまで付き添ってくれた。


「ここまで来るのに、ゴブリンは大体四、五匹遭遇するだろ。あっという間に倒せなくてはこの先のボス部屋には行かせてやれんからな」

男はヨシローをジロジロ見て

「見た感じ弱そうだし、命からがら辿り着いたみたいだから不合格なんだが、三層に来たという事実があるわけだ。不本意な合格ってやつだ」

ヨシローを品定めした男は医療施設の前でお別れした。


実際は三、四層を騎士団が占拠したせいで魔物の湧きが二層に集中してしまったのが原因だった。


「ゴブリンの毒矢にやられました」

ヨシローの言葉に医者は何言ってるんだという顔をして瞳孔や口の中、脈拍を観て首を振った。

「気分は。どこか動かし辛いとこは。朝何食べた。指何本に見える?」

全てに答えることができた。


結果異常なし。ヨシローは驚いた。毒の攻撃は受けているはず。たしかに自覚症状はない。皮膚に爛れや異常は見当たらなかった。

怪我、火傷とスライムの粘液のせいで後頭部にコインくらいのハゲができたくらいだった。

ダンジョン攻略続行可を医師から承諾された。


 三層駐屯地は騎士団の休憩所も兼ねていて四層は作戦本部の機能を持ちボス攻略を目指している。

本部を守るため三層も鉄壁の陣を敷いてるが、魔物が湧かないため警戒心は緩くなっている。


「早速、ボスとやるかい?」

先に着いたパーティはアドレナリンが全開の様子で四層に向かったらしい。騎士団の催促に対して

「ちゃんと休みます」

ヨシローのスカした感じに、騎士団の連中も

「ひとりだと冷静だな」

「三か月。太陽を見てないんだよ。半年以上、家族にも会ってない。よろしく頼むよ」


期待されていないのに期待の言葉をかけてくる。調子のいいヒトたちの激励を受け休憩所に案内された。

荷物を降ろしベッドに寝転がった。

 




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