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エルフの一撃

「アールヴショット!」

クレイの矢が風を切り裂いて放たれた。


「ほう、これは痛そうだ」

タイニィフレイムは難なく躱わす。躱したところをヨシローが斬り込む。踏み込みが浅く決定打にはならない。


 クレイはエルフの身体的特性の敏捷性を活かし、距離を計り適正なポジションで矢を射る。

タイニィフレイムも次いで瞬発力を活かし距離を縮め剛腕を振るう。躱されたところを炎を吐いて追撃する。

攻撃の合間を果敢に潜り込みヨシローは斬りかかる。


「ヨシロー。無理するな。お前は関係ない」

「森が焼けてる。延焼がアルヘイムに。やばいよ」

敵の攻撃を掻い潜り反撃を試みるが、連携は今ひとつだ。


「かまわん。自然と共に生きるエルフは山火事くらいで動じない」

二の矢、三の矢を放ち牽制をいれる。

「われも会話に混ぜてくれよ」

タイニィフレイムが炎のブレスで執拗に責め立てる。


「アールヴストローク!」

湾曲を描いた矢の弾道はタイニィフレイムの剛腕を擦り抜け肩口に刺さった。


ヨシローが下から剣を振り上げる。タイニィフレイムの右腕を斬り落とすことに成功した。

「エルフの技だな?一瞬ビリっときたぞ」

タイニィフレイムは怯まず、斬られた腕でヨシローを吹き飛ばす。


「デフルリール!」

タイニィフレイムを包み込むようにかまいたちが吹き荒れた。しかし、たいして効かなかった。

「この程度でわれを止められると思うなよ」

炎のブレスがクレイに襲いかかる。


「水撃」

タイニィフレイムのアゴにヒットした。ブレスは中断されよろめいた。ニヤケながら

「人間。器用だな。魔力持ちか。ご馳走だな」


「ヨシロー。物理しか効かない」

「わかった」

ヨシローは回り込んでクレイの側に立ち、途中で拾った矢を何本か投げ渡した。


「ヨシロー。もういい。俺が残る。お前はお前の旅がある。行け」

「協力してあいつを倒すのも僕の旅の内です」

「お前が危険を冒すことじゃない」


「話しはまとまったか。一緒に死ねばいいんじゃないか?」

タイニィフレイムが二人まとめてぶちかましで吹き飛ばした。


転げ回りながらも体勢を保ち矢を射る。

炎のブレスを牽制するため水撃で応戦する。


「どうした。火のない方へ上手く逃げてるみたいだが里から離れて行くぞ」

タイニィフレイムは二人の攻撃にお構いなく堂々と、確実に追い詰めていた。

この辺はよく徘徊している。その先に待つのは。


 ひらけた場所に出た。

「さあ、逃げてみろ」

タイニィフレイムが咆哮をあげた。


「ははっ。都合がいい。俺も逃げるのには飽きてたとこなんだ」

崖を背にして、クレイは弓をつがえた。

「アールヴロック!」


二本の矢が別々の軌道でタイニィフレイムを同時に襲う。しかしためらいもなくその矢を受け止める。


 ヨシローが背後から追いついてタイニィフレイムの背に飛びかかった。しっかりと剣を突き刺し、息絶えるまで離さないつもりだ。タイニィフレイムは暴れて振り払おうとするが、クレイからは目を離さなかった。


「クソっ、止まれ」

ヨシローは必死にしがみつき剣を力任せにに捻じ込んだ。


「われの体に何本の矢が刺さろうと、非力な人間に斬られようと勝利の剣さえ手に入ればいいのだ。お前たち餌が悪足掻きするんじゃねえ!」

威嚇の咆哮をあげた。


「ヨシロー。こいつは必ず仕留める。手を貸せ!」

クレイが怒りに身をまかせるように弓を構えた。

「わかってる」

ヨシローが呼応した。


タイニィフレイムの炎のブレスがクレイを攻撃した。

「アールヴストローク!」

炎を裂くようにタイニィフレイムに反撃した。


命中はしたがタイニィフレイムの無慈悲なぶちかましにクレイが吹き飛んだ。

崖を落ちていくクレイを見下ろし。

「くたばれ」


 反射的に防御したがミシィっと骨が軋む音がした。しかし崖下へ落ちていく間もタイニィフレイムの姿から目を離さなかった。

「この俺がこの程度で諦めると思ったか。くらえ!アールヴショット!」


タイニィフレイムの喉元をごっそり抉りとった渾身の一撃が決まった。のたうちまわり激しい怒号を飛ばした。


「なんで生きてるんだよ」

タイニィフレイムの背中で、まだヨシローが剣を突き立てていた。

文字通り首の皮一枚の状態で、まだ炎の魔力が消えないでいる。断末魔の叫びで、燃え盛る火球を吐き出そうとしている。


これまでにないくらいの炎の塊で山全体を焼き尽くすつもりだ。水撃が焼石に水で魔力の相殺が間に合わない。絶対的に魔力の高い方が強い。


全力だ。ヨシローが天に向かって魔力を集中させた。

「飛瀑」

空が一点光った直後、滝のように容赦ない水の暴力が落ちてきた。


 ヨシローがタイニィフレイムの下から這い出てきた。溺れかけて水を吐き出しながらタイニィフレイムを見た。敵も全魔力を出し切ったあとだった。

「ウソでしょ」

タイニィフレイムは意識を失っていた。が生きていた。


ヨシローは何度も何度もタイニィフレイムに剣を突き立てた。自身も身体中が痛い。魔力切れにより昏倒しそうなのを我慢して意識を保った。何度もいろんな箇所を刺した。絶命するまで刺した。






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