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サンテール 2

「まるで昼間ですね」

街は隙間なく石畳が敷き詰められ、等間隔に街灯が設置され酒場以外にも灯りがついて賑やかな店があった。人の往来もあり、この街の人は睡眠を取らないのだろうか。


エリーナは笑いを堪えて珍しそうに周りを見るヨシローを珍しそうに見ていた。

「この国は穀倉地帯として発展してね。我がアレクセーヴ家が代々、この国の設立から今日に至るまで先頭を切って発展を支え続けているのだよ」


「セバス。今帰った」

「お嬢様。ずいぶん遅いおかえりで」

初老の男が、屋敷の扉の前でタイミングよく出迎えた。背筋がシャンと伸び、身のこなしが上品な男だ。


「少し手違いがあった。馬車が転倒して、魔獣にも遭遇した。明日人手を借りて回収に行ってくれ。 父上のところへ行ってくる」

「さようでございますか。あの旅人は?」

ヨシローは敷地の門を潜ってから、庭園やら池やら噴水やらに気を取られなかなか前に進めないでいる。

ヨシローに手綱を握られている馬の方が落ち着いて堂々としていた。


「彼は恩人だ。少しの間、面倒を見てやってくれ」

「いかようにも」

モノクル越しにヨシローを上、下と見つめ

「お嬢様をありがとうございます。馬をこちらへ」

言うや否や、すぐに使用人が来て手綱を代わった。

「風呂と食事を用意します。着てる服はー、処分いたしましょう」


 ヨシローが遠慮する間もなく客人用のはなれに連れてかれ、ハウスキーパーやランドリーメイドといわれる人たちに抵抗する間もなく全てを脱がされてから、はなれに通され風呂に放り込まれた。


「あの、さっきのは恥ずかしかったです」

脱衣所ではなく、外でひん剥かれたのだ。たくさんのメイドたちに。

衝立越しに待機しているメイドが

「大丈夫です。ご立派でした」

声だけが届いた。


「着ていたものはバトラーより燃やすよう命じられております。新しい服を出しておきますので、そちらをお召しください。召しかたが分からなければ、いつでも私たちをお呼びください」

恥ずかしくて茹であがりそうだった。


 寝室に通され、後ほど食事を持ってくると言いハウスキーパーは部屋のドアをそっと閉めた。

やっと一人になれた。気がきでならない。解放感がそこにあった。貴族の連中は生活の大半を世話してもらって気が狂わないのだろうか。感想が忙しく結局落ち着かなかった。


とりあえず、疲れたのでいつのまにか寝てしまっていた。朝起きると窓の外で焚き火をしている使用人がいた。ヨシローの服を燃やしていた。

慌てて外に飛び出して使用人の元に走った。


「あの、カバンもあったのですが」

使用人は。さあね。みたいな素振りで汚いヨシローの服をしっかり焼いた。


「ヨシロー様。カバンはこちらで預かっております」

バトラーのセバスチャンがいつのまにかさりげなく横に立っていた。朝食の案内に来たという。

「セバスさん。おはようございます」

「セバスでもセバスチャンでもどちらでも結構です。お嬢様から命の恩人だと伺いました」


「ヨシロー様のカバン。バンドルバックというものでしょうか。あのサイズでたくさんの持ち物が入ってましたね。マジックボックスというものですね。興味深い」

確かにカバンの中になんでも入っていた。まだ入りそうだった。

「カバンは洗濯して補修が必要ならしておきます。中の持ち物も同様です」


朝食をとるため、屋敷の大部屋に招かれた。

エリーナが笑っていた。

「おはよう。似合ってないな。朝食を一緒にと思ってな。父上に紹介もしたかったんだが、あいにく忙しそうで。それにしても笑えるな、それ」

「村人の服はないですか?自分でもわかってるんです」


ナイフとフォークが難しい。みけんにしわを寄せながら食べていると、周りのメイドたちからも失笑が聞こえた。


「私は今から学校に通うのだが、君はどうする?」

「ペロポマレアについて調べようかと思います」

「やはり、そこへ向かうのか?」

少し考えて、その必要はなくなったと思い

「いえ、情勢だけ確認しようと思います」

「セバスに手伝わせようか」

「いえ、忙しい立場の人に僕を手伝ってもらう訳にはいかないです」

「わかった。用が済んだら、屋敷に戻ってくるがいい」


「あと、お願いがありまして」

エリーナが喜んだ顔して聞いてくれた。

「手持ちの路銀をサンテール通貨に両替してもらいたいのです」


エリーナがセバスを呼び出し耳打ちした

(少し、色をつけてやれ)

(おおせのままに)

セバスが気前よく

「ヨシロー様。後ほどこちらでさせていただきます」


 エリーナは馬車に乗って学校に行った。

ヨシローもサンテール通貨に両替してもらったが多すぎないかと困惑した。こんなにもらえないと断るとセバスが機嫌良く受け取りなさいと言いくるめる。


 ヨシローは使用人と同じ服に替えてもらい、セバスに教えてもらった商工会に出掛けた。

動きやすいし、ぎこちなさがなくなった。使用人たちからは面白くないほど普通という評価だ。


ペロポマレアを行き来する商人がいれば最近の動向が聞けると思ったからだ。アルディアとの関連も含め色々収穫があればいいのだが。







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