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くっ、殺せ

 ヨシローは立ち上がった。

周辺を歩き物影や石垣の裏側を注意深く見て回った。


予想が当たった。エーリスらしき遺体が無造作に転がっていた。

首がない。首から下の女性の部分と栗毛の馬の部分が見たことがある。エーリスだ。間違いない。


首は。持ち帰られたのだろうか。確実にエーリスの命を奪る証明が必要なのだろう。


(最悪の予想だよ)


 ヨシローは三日三晩、ここに滞在した。何か農機具があればよかったが、木の枝や石、トーリスの持ち物から拝借した鍋や剣を使って穴を掘った。


かなり深く掘ってまず、エーリスを埋葬した。かなり腐敗が進み死臭がひどかったが、なにかそうせずにはいられなかった。


夜になると、トーリスの近くで火を焚いて寝た。こちらも腐敗がひどく、傷口からウジが湧いてきていたが、三日目の朝に息を引きとったのを確認した。


エーリスの隣に埋葬した。

重たかった。やれることはやった。正しいかはどうかわからないが、なぜかそうしようと思った。


 トーリスの荷物を拝見した。食糧は虫がたかって全滅だった。


本当に何も食べ物を口にしていない。水も切らした。

それでも、行こう。


 樹海の終わりはまだ見えない。このまま飢えて死ぬんじゃないかと思うほど一心不乱に歩いた。

地形の起伏や木々が阻むので若干の方向にズレを感じるが、それでも歩き続けた。


 山道だろうか。舗装はされていないが一本道に出くわした。

どうする。道なりに進むか。トーリスたちが目指した方角へ突っ切るか。また、判断力に迷いが出た。


トーリスたちに別れを告げ何日経っているだろう。こちらも限界だ。


山道を少し進んだ。なぜこの道を選んだのかわからない。


馬車だ。扉がついてる。屋根がある。身分の高い人が乗るような馬車が転倒している。


 ほとんど休めてない。空腹も喉の渇きもひどい。行雲流水もできない。魔力もカツカツだ。


馬車に近づいて悟った。盗賊に襲われたのだ。戦闘があった痕跡がある。が、荷物は無事みたいだ。だとすると命が狙われたのだろう。


 馬車の周辺を一周した後、荷台を調べた。携行食があった。助かった。ありがたくいただくことにした。


水、乾パン、水、乾パンと少しずつ胃に流し込んだ。生命の危機を脱したと感じると勢いよく水をがぶ飲み行儀悪く食べ物を頬張った。胸がつかえようがお構いなしに食べた。


 馬車の中から音がした。

しまった。人が乗っていたのか。馬車の中も確認済みだったが見落としたに違いない。

逃げるか。どうする。逃げるか。


恐る恐る馬車に登って中を確認した。が、人影はなかった。

しかし、馬車を内側から叩く音がする。


とりあえず、カバンからナイフを取り出し音のする辺りを注意深く確認した。


留め金具のようなのがついていた。少し曲がっていたので、ナイフの柄の部分で力技で叩き潰した。

蓋が開いた。中が空洞になっていて人が入っていた。


「くっ、殺せ」

狭い空洞に逆さまになって押し込められている女性がいた。


ヨシローは怯んだが、手を差し伸べ女性を助けた。

無様な格好で吐いたセリフに恥じらいながらも襟を正し平静を装うとした。

「すまない。取り乱した」

ヨシローは手にしていたナイフをどうすべきか迷った。


「助けてくれてありがとう。賊に襲われたんだ」

女性は貴族っぽい男装をしていた。周りを見渡して

「御者や連れの従者が見当たらないが、知らないか?」

ヨシローは首を横に振った。

「そうか。ところで君は?」


 ヨシローは旅をしていて迷ったことだけを伝えた。

村での出来事も、トーリスたちのこともはぐらかした。

「ペロポマレアに行く予定でして」

「ふむ、遠いな」

「近くならどこにたどり着けますか?」

「サンテールがそうだが」


「どうだろうか。私はサンテールの人間だがついてくるか?」

「よろしくお願いします」

「ありがとう。一人でサンテールに向かうには心許なかったんだ」


「ヨシローです」

「ん。ああ、エリーナだ」


新しい旅の仲間ができた。といってもサンテールまでの仲間だ。そこまでは歩きだと三日くらいだそうだ。山道は馬車が通れる以上に幅広いが、揺れはひどそうだ。しかし樹海の中を歩くよりはしっかりした足取りで行ける。


「すまないが、荷物を運べるだけ運びたいのだが手伝ってもらえるか?」

「いいですよ。ですがここを発見した時に水と食糧を盗んでしまいました。お詫びします」

「そうなのか。正直だな。恩返しも考えていたのだが丁度いい。サンテールまで無事辿り着いたら食事を分け与えよう」


 エリーナたちは荷物を仕分けして持てるだけまとめた。

道中、ヨシローが生活していた村の辺りを説明した。辺鄙な名前のない村だと。エリーナは知っているかのようだ。教養のある身分の方だ。だから当然のように聞いていた。

「ずいぶん遠くから来たのだな」

「村から出るのは初めてで、ペロポマレアという名だけ教えてもらってここまで旅してました」


「街に滞在する予定なら、ペロポマレアのことを調べてみるといい。その上で、行くべきかどうか検討するのがいいだろう」












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