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槙嶋流の投下した爆弾でざわついた空気の会場内で、次に挨拶に来た勇者ははまたしても攻略対象者だった。



皇一弥すめらぎいちや

大人気V系シンガーソングライター。25歳。

V系だが見た目だけではなく実力派。

低音から高音まで幅広い音域をカバーする歌声で彼の曲を真に歌いこなせるのは彼だけではないかと言われている。

難しい曲とは裏腹にシンプルな歌詞は誰の心にもグッとくる力を持っている。



彼は高良田財閥グループの一つである飲料メーカーの看板商品のCMに出演してもらっている縁で招待されていたはずだ。


ミルキィベージュの髪はワックスで固めてあるのか、上に向かって無造作に遊ばせている。

長く美しい手足。決してマッチョではないが、トレーニングをしているであろう引き締まった身体に甘いマスク。

流とはまた違った人を惹きつけてやまない、目を離せなくなるようなオーラを纏っている。

黒い革ジャンとパンツに赤いアンダーシャツ、服にあちこちにはシルバーのチェーンが飾られている。そんなロックな格好とは裏腹に、彼は面白いものを見つけたような愉快な表情を浮かべていた。


「さっきのはすごかったねぇ。」


一緒に来た所属事務所社長が裕一郎様と話しているスキに華穂様に話しかけていた。


「はい・・・ビックリしちゃいました。私、パーティーって初めてなんですけど、よくあることなんですか?」


「いや、俺もパーティーで公開プロポーズなんて初めて見たよ。

まあでも、公開プロポーズしたくなるのもわかるかなー。

華穂ちゃん可愛いし。

ねえ、パーティー終わったら俺と遊びに行かない?」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・一弥の担当はチャラ男である。

ゲームファンの間では一弥の名前は一夜の遊びからきているというもっぱらの噂であった。

遊び人が一人に本気になるというシュチュエーション好きな私の推しメンだったのだが、なんだろう。流とおなじくやっぱりムカつく。


「大丈夫だよ。遊びに行くだけだから。

華穂ちゃんのお父さんも言ってたでしょ。華穂ちゃんが欲しいなら華穂ちゃんに好きになってもらえって。

好きになってもらうにはまず親交を深めなきゃねー。」


こら、まだ華穂様が返事をしていないのに勝手に肩を抱き寄せるな!

チャラ男なのは有名なので皆様慣れた光景なのか、先ほどのように悲鳴こそ上がらないもののお姉様方の嫉妬の視線が刺さっているのがわかる。


「えっえーっと・・・・・」


困った華穂様がちらりと裕一郎様を見るが、裕一郎様はまだお話中。

今度はこちらに視線が飛んできた。


んー・・・・・、ゲーム上では裕一郎様が助け出すはずなのだがその気配がない。

華穂様は必死にこっちを見ている・・・・。

この後のゲーム進行が怖いが出るしかないか。


「皇様、申し訳ございませんが高良田家の門限は22時となっておりますので、よろしければ後日明るいうちにお誘いください。」


「ん?あんたは??」


「私、華穂様の執事で平岡と申します。どうしても本日がよろしければ高良田の方と交渉なさってください。」


「えぇ!?こんな美人が執事なの??てっきり華穂ちゃんの親戚かなんかだと思ったよ。さすが高良田家はレベル高いねー。」


一弥は華穂様を解放するとへらりと笑った。


「さすがに初日からお父さんイベントは厳しいかなー。

じゃあ今日は連絡先の交換で手を打つよ。これに書いて。」


自然な仕草で懐から紙とペンを出す。

・・・・・・こうやって色んな女の子の連絡先を聞いてるんだろうなぁ。

書いてもいいのかどうかこちらを伺う華穂様に頷く。

どんなにチャラくても一応攻略対象者だ。つなぎをとっておいて損はない。


華穂様が書いた紙を一弥に渡すとなぜか奴はこっちを向いた。


「はい、平岡さんも。あ、ちゃーんと下の名前も書いてね。」


え・・・・・私もですか???


なんだか流が濃すぎて一弥が凡人になってしまった気が ・・・・。

他のキャラは大丈夫だろうか(~_~;)

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