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ちょっと唯さんのキャラが壊れ気味です。
「高良田社長、この度は招待いただき感謝する。」
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
スラっとした体躯にトレードマークのダークグレーのスーツ。
パーマがかかっているのかくるっと跳ねた毛先は無造作に流されているのにどこか力強さを感じる。
切れ長な目の奥に見えるのは大きな自信と野心。
そして尊大な口調。
ついに・・・・ついに・・・出てきた攻略対象者!!!
会場中の視線が彼と裕一郎様に向かっているのがわかる。
顔はもちろんイケメンなのだが、彼が纏うオーラが独特だった。
そこに立っているだけで自然と跪いてしまうような、忠誠を誓いたくなるような、まさに生まれながらの支配者といった風格を漂わせている。
おじ様系イケメンの裕一郎様と二人で並ぶと攻撃力が半端じゃない。
あちこちで招待客の女性たちがパートナーそっちのけで頬を染めている。
かく言う私も、顔には出していないが正直まぶしすぎて二人を見れない。
・・・・・・イケメン趣味ではなかったはずなのに、ゲームの記憶が戻ってからイケメンに弱くなっている気がする。
くっ、今からこの調子では華穂様を守れない・・・・っ
槙嶋流
28歳の若さにして日本有数の企業規模を誇る槙嶋コーポレーションのCEO。
もともと御曹司で生粋のセレブだが、幼い頃から帝王学を叩き込まれたこともあり血筋だけではなく経営手腕も一流。
『俺様の辞書に不可能はないを』を自で行く俺様でゲーム内では1番人気でパッケージのセンターを飾るキャラクターだ。
まぶしすぎる二人から目をそらし華穂様の方を見る。
いつもと変わらない表情。
さすが主人公。イケメン光線は主人公には効かないようだ。
「あぁ、お前が噂の・・・・」
華穂様に視線を向けた流(ゲームの時は名前呼びだったから名前でいいだろう)が、頭の先から足の先まで不躾にジロジロ見ている。
華穂様居心地が悪そうだ。
「あ、あの・・・なにか・・・・?」
「ふむ・・・・」
きゃーーーーーーーーーー!!
会場中から黄色い悲鳴が上がった。
流が華穂様の顎に指をかけている。いわゆる『あごクイっ』状態だ。
「顔はまあまあだな。服のセンスも悪くない。」
えぇ、そうでしょうね。それはあなたのお気に入りドレスですもんね。
・・・・・・・イベント内容はわかっていたが、主人が値踏みされているのは腹が立つ。
「よし、お前、俺の嫁になれ。」
きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
さらに会場の悲鳴が大きくなった。うるさい。
「えぇ!!??ちょっとなに言ってるんですか???」
慌てたように流の手から逃げた華穂様が後ずさる。
「なんだ?言ってることがわからないのか?頭は残念なようだな。」
・・・・・・ゲームの時はなんとも思わなかったけど、実際に見ると本当に腹が立つ。
会場が騒然とする中、大きな笑い声が響き渡った。発信源は裕一郎様だ。
「相変わらずだなぁ、槙嶋君は。まあ、君らしくて嫌いじゃないが。」
「そうか。父親の了承が得られるなら話は早い。式は来年にするか。」
「ちょっ、お父さん!!!???」
慌てて華穂様が裕一郎様の腕を掴むと、裕一郎様はその頭を愛おしげに撫でる。
「君のことは嫌いじゃないが、娘の伴侶となると話は別だな。
私は恋愛結婚推奨でね。娘には自分で結婚相手を決めて欲しいと思っている。
華穂、槙嶋君と結婚する気は?」
「ありません!!」
華穂様は噛みつかんばかりの勢いで流に言い放つ。
「だそうだ。
それに私はやっと一緒に暮らし始めた愛娘を手放す気はしばらくないんだ。
華穂が欲しいなら、華穂に『結婚して家を出たい』と私を説得させるくらい好きになってもらうんだね。」
挑発するような笑みを浮かべる裕一郎様に流は笑みを返す。
「いいだろう。すぐに娘から結婚したいと言い出すようにしてやろう。楽しみにしていろ。」
そう言い放つと流は会場を出て行った。
・・・・・・・・・・・・・いやー、あれはダメだろう。
あれなら陰険ストレスに無縁なのも納得。
目上に敬語も話せないうえに非常識で好き放題なこと言って、よく企業トップとして活躍できるものだ。
取引先との交渉もあの態度なのだろうか。
あんなのの存在が許されるのはやっぱりゲームだからなのだろうか。
それともあのオーラゆえに自然と周りが納得するのだろうか。
・・・・・・・剣も魔法もない普通の世界だと思っていたけれど、意外と普通ではないのかもしれない。




