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き、緊張してきた・・・・・・。

受験生の親は受験当日こんな気持ちなのかもしれない。


ついに創立記念パーティーの日がやってきた。

華穂様は10日間、とても努力されていた。

スジもいいようで最終昼間確認した時はミスなくしっかりと教えたことを実行されていた。

過度な緊張をしたり突発的なトラブルがない限りは大丈夫なはずだ。


と、頭ではわかっているのだが、やっぱり緊張するものは緊張する。

パーティー開始まであと1時間。

ここから華穂様の人生を決める日が始まる。

もし大きな失敗があったらどうなるのか・・・・。

不安が頭から離れない。

だが、そろそろ屋敷から出立しなくては間に合わない。

私は意を決して扉をノックした。


『はーい』という返事とともに扉が開かれる。



「わっ、唯さんきれーい!!!!」



今日の私はいつもの仕事着ではなくドレスを着ていた。

暗紅色の生地に黒い植物柄のレースを重ねて色味を抑えたエンパイアドレスだ。

パーティーに合わせて地味すぎず、かつ目立ちすぎないように考えて選んだものだ。

通常であれば燕尾服を着てついていくところだが、今回のパーティーでは招待客のみ参加可能でお供(付き人や秘書、護衛)の方には別室で待っていただくという形をとっていたので、主催者側もおおっぴらにはお供を入れられない。

本来なら私も別室で待っていなければならないのだが、裕一郎様もパーティー中、常に華穂様のそばにいられるとは限らないため、裕一郎様の希望もありあまり目立たないように参加することになっている。


「ありがとうございます。華穂様もとてもお綺麗です。そのドレスは華穂様のやわらかい雰囲気によくあっていますね。」


華穂様は胸元で生地を切り返した2トーンの膝丈のAラインミニドレスを着ている。

肩やデコルテはオフホワイトのハリのある生地で胸元に薄いピンクの大きめのリボン。

そこから下にはリボンと同じ色のシフォンの生地が広がっている。

美容師により毛先をゆるく巻かれた髪と薄紅色のチークは、華穂様のかわいらしさを強調していて、とてもよく似合っていた。

きっとこのドレスが好きな彼の好感度もグッと上がるだろう。

このドレスを選んだ華穂様は彼との相性がいいのか、はたまたただの偶然か。

今日はじっくり見極めなければ。


「それでは参りましょう。裕一郎様は会場でお待ちです。」






*****************



私は裕一郎様と華穂様から少し離れた後方で、個別に挨拶に来た招待客の対応をしている様子を見ていた。

話は聞こえるが相手から話を振られない距離だ。


「この度はおめでとうございます。」


「ありがとうございます。400周年パーティーができるように精進していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。」


今、裕一郎様と挨拶しているのは大手銀行の頭取だ。

最近の事業内容の話などをしている。

華穂様には難しい話だろうが退屈な顔をせず微笑みながら話を聞いている。


「ところで、隣にいらっしゃる可愛らしいお嬢さんはもしや噂の・・・・」


「鈴木頭取の耳にも届いていましたか。皆さま耳が早いですね。

噂通り私の娘の華穂です。」


「はじめまして鈴木様。

華穂と申します。いつも父が大変お世話になっております。」


「いや〜、高良田社長がお嬢さんを溺愛しているという噂を聞いてはいましたが、確かに溺愛したくなる気持ちはわかりますな。

大変可愛らしいお嬢さんだ。

華穂さん、これからよろしく。」


「あ、ありがとうございます。よろしくお願いします。」


素直な華穂様は鈴木頭取の褒め言葉に照れている。可愛い。


どうやら裕一郎様は華穂様を目に入れても痛くないほど可愛がっているという噂が流れているらしい。

おそらく裕一郎様が故意に流した噂だろう。

財閥令嬢として現れた華穂様は良くも悪くも注目の的だ。

華穂様が現れるまで・・・・いや、今もか。裕一郎様の妻の座を狙う者も多い。

大財閥の妻や親族というポジションは本人にとっても会社にとっても有益なものだ。

そこに現れた華穂様はある者によっては邪魔者、またある者によっては裕一郎様へ近づく為のキーパーソンか。

裕一郎様は華穂様可愛がっているとアピールすることで、華穂様を邪険に扱ったりしないよう牽制しているのだろう。

すべてとは言わないが、上流階級の社会は陰険な面が強い。

常に相手に本心を見せず、かつ相手の本心を探るという状態にストレスが溜まるのか、弱者と見るや子供のような嫌がらせをするものも多い。

新参者はいい標的だ。

もし華穂様が裕一郎様にしぶしぶ引き取られたなどという間違った噂が流れた日には、大財閥へのやっかみとただの一般人だという蔑みからあっという間に餌食になるだろう。



・・・・・・・・・・まあ、中にはそんな陰険ストレスとは無縁な人間もいるにはいるが。


ストックが尽きました;;

できるだけ頑張りますが、毎日更新は難しそうです。

見捨てないでいただけると嬉しいです。


次話でやっと攻略対象出てきます。長かった・・・・・

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