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「元気のない人ってどうやって励ませばいいかなぁ?」


「元気のない人?」


「うん。悩みがあるみたいなんだけど、ちょっと難しい話でわたしじゃ相談相手にはなれないんだよね。」


ここは華穂様の部屋のリビング。

そこで空太とふたり、お菓子を食べながらのお喋りタイムだ。


最初のお宅訪問の時に料理長の料理に感動した空太はその日、帰る前に料理長に頼み込んで仕事が休みの日はここに勉強をしに来ていいと許可をもらったらしい。

それ以来、空太の料理の勉強が終わった後に華穂様のスケジュールがあいていればおしゃべりをしていくようになった。

告白されたと思しき日以降で初めて会った時は、タコのように真っ赤な石像と化していた華穂様だったが、空太が上手く食べ物で懐柔していつもの状態に戻していた。

さすが幼馴染。


「ねー、空太だったらどうやって励ます?」


「俺だったらやっぱ料理だろ。特にお前なんてうまいもんがありゃころっと機嫌良くなるし。」


「ううううぅぅう うるさい!!美味しいんだから仕方ないじゃん!!」


「そうそう。うまいもんは正義。


菓子でも作ってやったら?

お前最近作ってないだろ。腕が錆びるぞ。」


「もともと錆びるほどの腕もないんだけどね。でも、

そうだね。久しぶりに作ってみようかな。」


「くるみのキャラメルクッキーとアーモンドココアクッキーな。」


「空太にあげるなんて一言も言ってないんだけど。」


「アドバイス料。どうせだから山中先生たちにも作ってってやれよ。みんな喜ぶぞ。」


「はいはい。100人食べても大丈夫なくらい作っておくよ。」


こうして華穂様の励まし計画が始まった。





リビングに併設されたキッチンからキャラメルの甘く香ばしい香りが広がる。

大量のキャラメリゼされたくるみがフライパンからクッキングシートの上に移し、グラニュー糖で銀砂の飾り付けをすると華穂様は大きく息をついた。


「さすがにこの量は疲れるなぁ・・・・・」


この作業はすでに5回目。隣にはそれまでに作られたくるみの山が4つ並んでいる。


「華穂様、やはりお手伝いしますが・・・・・・」


100人分とはいかないが、それなりに大量のクッキーを作るべく朝から華穂様はひとりで奮闘中だ。

量が量なので手伝いたいのだが、本人に断られるので見てるしかない。


「大丈夫だよ。粉も振るい終わったし、後は混ぜて成型して焼くだけだから。生地を寝かしてる間に休憩したいからお茶の準備だけお願いしてもいい?」


「かしこまりました。何かありましたらお声がけください。」




出来上がったクッキーを華穂様と一緒に袋詰めしてラッピングしていく。


こんがりと美味しそうな色になったくるみのキャラメルクッキーと色こそ変わらないものの焼く前より少し膨らんで出来上がりを主張するアーモンドココアクッキー。

どちらも子どもでも一口で食べられる可愛らしいサイズだ。


施設に大きな袋でまとめてひとつ。空太、秀介、裕一郎様にそれぞれ小袋にひとつずつ。

優しい華穂様は使用人用にも大きな袋を準備してくださった。


「華穂様、これだけでよろしいのですか?」


「うん?誰か忘れてたっけ??」


隼人とか流とか・・・・・・・・。


「・・・・・・いえ、大丈夫だと思います。」


脳内の隼人が捨てられた子犬のような顔をし、流はプンスカ怒っているが華穂様にあげる気がないなら仕方ない。

プレゼント相手として選んでもらえなかったのは努力不足だ。


「こちらは?」


いつの間にかテーブルの上にクッキーに入れられたはずのくるみのキャラメリゼが詰まった瓶が3つ置かれていた。


「それだけで食べても美味しいから空太も好きだしちょっと多めに作っといたの。

さすがに全員分はないから、空太と秀介さんとお父さんだけ。」


「3人ともきっと喜んでくださいますね。」


「えへへ、そうかな?じゃあ、唯さんも喜んでくれる?」


悪戯っぽく笑った華穂様は後ろからもう1瓶出してきた。


「これは唯さんに。

クッキーはみんなで分けてもらう分だけど、これは唯さん専用だから。

いつもありがとう!」


両手で大切そうに握った瓶をはいっと笑顔で差し出してくれる。

・・・・・・・ちょっと嬉しすぎて目がウルウルしてきた。


「ありがとうございます。華穂様。大切にいただきます。」


なんだか流の前で自分を思い出してから喜怒哀楽が大きくなてしまった気がする。

潤んでしまった目を誤魔化すように声を上げる。


「秀介様の分以外は、今日華穂様ご自身がお届けするんでしたね。」


「うん、山中先生にも空太にも連絡したからすぐ行ってくる。」


手作りクッキーなので防腐剤などは入っていない。

早めに届けて食べてもらわねばならない。


「気をつけていってらっしゃいませ。」


今日は別件の仕事があり、残念ながら華穂様についていくことができない。


「いってきます!」


元気に出かけていく華穂様を見送った。

クッキー作ってるだけで終わったorz

書きあぐねてる間に3日分あったストックもなくなってしまいました( ; ; )

明日の分はちゃんと書けるかなぁ・・・・。

出来れば毎日更新続けたい・・・・。


ブックマークありがとうございます。

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