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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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303/312

新しいことが次々起こる日常!

 たくさんの炎の犬に、みんなそれぞれ攻撃だ。


 ツバキの結界のお陰で、本当はたぶん素早い犬の動きがのろく感じる。でも前の階層よりはパワフルな感じはする。

 炎の犬の激しいタックルを『カチカチアーマー』にぶつけて弾き返してやったと思ったら、それを乗り越えるようにして別の犬が飛びかかってきた。


 やっぱ前の階層よりパワフルだし、にぶくても明らかに動きがいいね。


「おらよっと、『ヒエヒエハンマー』!」


 飛びかかりを避けて顔面にぶち込んでやった。

 いい手応えだったのに、これだけじゃ倒せなかったよ。やっぱ防御力高くなってるね。

 それと炎の犬だから冷え冷え攻撃には弱いかと思ったのに、そんなことはないっぽいのかな。


「でも効いてはいるよね!」


 よろけた犬の顔面を思いっきり蹴っ飛ばして、また襲いかかってきた別の犬をハンマーで殴って吹っ飛ばした。

 うん、殴った後に蹴った犬は倒せた。一撃で倒せなくなっちまったけど、まあちょうどいい階層のモンスターってこんなもんだよね。


「うおっと」


 今度は左右から同時に犬が飛びかかってきちゃったよ。なかなかやるね。


「全然、当たらんけどねー。ほいよっと」


 ちょろっとだけ動いて避けたら、犬同士が正面衝突しそうになったタイミングで、下からハンマーを振り上げる。まとめて2匹のあごをドカンとぶっ叩いて吹っ飛ばしてやった。


「とーうっ」


 ジャンプして吹っ飛ばした犬の背中に着地! 弱点を踏み抜いちゃうよ。

 お、もう1匹のほうは、まゆまゆが引き受けてくれたみたいだね。お任せだよ。それじゃ私は後ろにいるボスをぶっ倒すかな。ボスはどのくらい強いかね?


 ダッシュでボスに向かったら、ボス犬は上に向かって遠吠えみたいなポーズをした。声は出てなかったけど、なんかしたよね?

 まあいいや。


「おりゃー」


 普通にハンマーを叩きつけようとしたら、ささっとバックして後ろに避けられた。

 やるじゃんね。私の普通の攻撃は、そこらのザコモンスターには避けられないくらい超すごいのに。

 でもこれで終わりじゃないんだよね。


 超重いハンマーだって完璧に制御できちゃう『念動力』で、ピタッと止めたら追いかけダッシュだよ!

 おー、ボス犬ったら逃げずに正面からタックルかよ。いいね!


 ところがどっこい。私のほうがずっと強いんだよね。ボス犬はすごい迫力あるけど、それだけなんだよね。


 でっかい牛みたいな炎の犬の突進を、上から振り下ろしたハンマーで地面に叩きつけてやった。

 これだけで倒せないことはわかってるよ。

 すぐにハンマーを戻してちょろっとジャンプ!


「くらえーい、『ヒエヒエハンマー』!」


 今度は弱点の背骨の真ん中、これでどうだ!


「ふいー、やったわ」


 モンスターは光に変わったけど、手下の犬よりもさらに防御力が高いっぽかった。なかなか硬いね。

 階層をひとつ進んだらモンスターの強さも上がるけど、これはわかりやすいかも。次はもっと強くなるんだよね?


「片付いたわね。アオイ、大きめの犬はどうだった?」


 ちょっとだけ時間かかった気がするけど、無事に全部倒せたね。


「さすがは群れのボスだよ、ほかのより強めだったわ。あ、そういや最初にさ、なんか遠吠えみたいなポーズしたんだけど、あれなんだったんだろ」

「アタシも見たが、あれは群れの仲間を集合させるもんじゃねえか? 遠吠えのポーズの直後によ、犬っころが葵のほうに向かおうとしてやがった」

「だから急に動きが変わったのですか。もちろん、向かわせることなく倒しましたが」


 おー、なるほど。みんなが阻止してくれたんだね。


「私としては別の群れまで集まらないかが気になった。どうやら自身の群れにしか効果がないようだったが」

「葵の『ウルトラハードモード』はともかく、通常のダンジョンでこういったモンスターの情報はねえのか?」

「群れのボス、あるいはリーダーが存在するケースはある。ただ、ウルトラハードとの具体的な差異がいまのところはわからんな」

「ところでこの階層の場合って、群れのボスは後回しにしたほうがいいんですかねえ?」


 ほうほう。どっちを先に倒したほうがいいとか、そういうのはありそうだね。


「群れの配下を連携させる能力があるのよね。その群れを先に潰すか、先にボスを狙うか……一長一短ありそうね」

「さっきの戦闘を振り返ると、先に群れを潰したほうがよさそうに思えます」

「素直にやるならそうだろうな。だが、これは『ウルトラハードモード』の環境だ。ボスの能力が群れを操っているだけとは思えん。おそらくだが、あのボスは群れを統率しながら、何かバフのような効果を与えている可能性はないか?」

「それはありそうね。モンスターの能力を確認することは、この先のためにもやっておいたほうがいいと思う」


 犬っころ、ザコモンスターの割にはちょっと強めだったしね。でもこれがダンジョン下層のモンスターなんだよって言われれば、それはそうかもって思うっちゃうわ。


「ここ、前の階層よりはモンスターの数多いし、稼げるスポットなのとちゃう?」

「たしかに、モンスターの数と戦いやすさの面で考えれば、いまのところは最も効率がよさそうだ」

「まあな。次の階層に進むには気が早いしよ、しばらくここをメインに考えてもいいな」


 第三十三階層には転送陣がないから、行きも帰りも第三十階層を経由しないといけない。


「いいんじゃない? あたしは賛成よ。アオイは?」

「そうだね。ちょっと移動がめんどくさいけど、とりあえずの稼ぎスポットにはなるかな?」

「レベル30の我々としては、この階層でも十分以上だ。6月のランキングリセットが入ったタイミングで、もし先に進んでもいいと思えたらまた考えよう」


 そうそう。そのランキングで上に行きたいから、がんばろうって話なんだよ。

 あとは練馬ダンジョンにもちょこちょこ入りつつ、悪魔のモンスターにもなれていければいいね。


「では今日は時間まで、この階層で頑張りましょう! 次は私も群れのボスと戦ってみたいです」

「じゃあその次はあたしね」

「おいおい、たまにはアタシにも美味しいところをいかせろよ」

「うちもたまにはやりたい」

「いくらでも機会はある。順番にやればいいだろうが、私もどの程度の『収束充填』で倒せるか試してみたいな」


 みんなやる気だね! めっちゃなれたら、バラバラに戦ってみるのもよさそう。

 なんだかんだ、この犬っころの階層は楽しめるかもしれんね。



 今日もいっぱいダンジョンで戦って、いっぱい稼ぎまくった。

 戦利品の魔石がちょっと大きいし、ダンジョンの下層ってやっぱすごいわ。いくらになるんだろうね?


 ダンジョンから出ての移動中。これからみんなでメシを食って、まったり自由時間かと思いきや、雪乃さんから集合がかかった。

 雑談で済むことならメシの時に話してくれるから、こういうあらたまった感じだとマジメな話かな?

 クランハウスに戻ったら、いつものようにロビーに集合だ。


「雪乃さん、またややこしい話?」


 最近はあれこれめんどくせー話が多くて嫌になっちゃうよ。


「いえ、サブクランに進展があったのでその話です。難しい話にはならないと思いますよ」

「そっかー、よかった」

「人数が集まったんですよね。クランの設立要件としては最低5人ですが、どうなりました?」


 マドカが雪乃さんにあれこれ聞いてくれている。


「まずは9名からスタートです。とは言いましても副代表には詩乃を据えますし、鷹宮さんとその紹介によって加入予定の轟さんは教育係です。なので実質6名ですね」


 ほーん? 雪乃さんの部下一号の詩乃さんがサブクランマスターなんだ。


「順調ですね。今日はその経過報告ですか?」

「それもありますが、大事なことがありまして。サブクランの名称です。皆さんで考えていただき、最後はやはり葵さんに決めてもらうのがよいと思っています」

「おー、名前! そいつは大事だね!」

「え、最後はアオイにですか?」

「大丈夫かよ。アタシら『絶望の花園オルタナティブ』だぜ?」

「ほんまは『絶佳の花園オルタナティブ』になるはずやった」


 そんなこともあったね。なつかいしわ。

 よっしゃよっしゃ、私がいいクラン名をつけてあげようね。なんてったって、私たちのサブクランだからね。

 やっぱ超絶カッコいいのがいいわ。もう絶対!

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