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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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目標に進む準備!

 うじゃうじゃいたモンスターを、江戸の町ごとぶっ壊す勢いでなぎ倒した。

 私専用のダンジョンじゃなかったら、こんな風には絶対暴れられないよね。やっぱ私のスキルってめっちゃ便利だわ。


「どりゃー、とーうっ!」


 ハンマーでドンと粉砕したら、キックでも倒しちゃうよ。

 つよつよスキルを連打して一気にいっぱい倒したあとは、普通に戦ってもやれちゃうことを完全に証明だ!


 第二十五階層なんて、私たちにとってはもうザコモンスターなんだよ。どんだけいたって、余裕で勝てちゃうわ。

 沖ちゃんやマドカたちもそうだし、まゆまゆやツバキだって普通にやれてるね。


 前にやった時と比べて、あまりにも楽勝すぎる。レベルが10も上がるのってやっぱすごいんだね。


 でも普通に考えて、私たちったらメタル系モンスター出まくりダンジョンで、第三十階層を攻略済みなんだよね。あの金の天使を倒しまくったんだよ。

 メタル系は普通のやつに比べてめっちゃ強いし、そりゃあ神楽坂ダンジョンはサクサク先に進めちゃうわ。


 あれ、なんか楽勝なのは当然じゃんって思ったら、ちょっとつまんなくなってきたかも。


「この辺りはあらかた片付いたわね」

「やっちまったねー」


 どれだけ倒したのかもう数えられない。

 魔石がゴロゴロ落ちてるし、ちょっととんでもないわ。


「ねえねえ、マドカ。この魔石って、1個いくらで売れるんだっけ?」


 そこそこの稼ぎになった気がする。


「高品質魔石だから1個あたりは……たしか、76,500円よ」

「これ1個で?」

「そうね」


 透き通った綺麗な石だけど、こんなもんが1個で……マジかよ。

 やっぱ私たちってすげーっていうか、ダンジョンてすごいわ。もうかりすぎだろ。


「葵、まどか、休憩ですか?」

「沖ちゃん。ここら辺のは全部倒しちゃったからさ。そんなことより、これ1個の値段知ってる? 7万いくらとかだって。すごくね?」

「前にもこの階層では散々戦ってますからね。覚えてますよ」


 そんなことを話していたら、まゆまゆとツバキも合流した。


「――ウルトラハードだと、確定で高品質になるからな。この階層の魔石なら、それだけで価値は普通の5倍だ。色付きならさらに倍だぜ? しかもこの数を一気にだ、これがレベルが上がるってことなんだろうな」

「うちら、すごいお金持ち」


 それにしたって、すごくね?

 クランランキングとか、余裕で駆け上がれるんじゃね?


「この短時間で、この稼ぎはなかなかのものよね」


 がははっ、やっぱそうだよ。私たちったら、マジすげーよ!


「ランキングの順位を上げるだけなら、この階層で稼ぐのが効率的かもしれませんね」

「かもな。だがよ、下層の魔石はもっと高く売れるぜ?」

「そやけどこないな楽にはモンスター倒せへん」


 楽だけど、ここでずっとはさすがにあきるわ。てゆーか、すでにちょっとあきてるわ。

 これをずっとは、とてもやってられんね。


「経験値の面でもこの階層だと、雀の涙なのよね」

「レベルの数値と階層数は、経験値効率に直結してます。5レベルも下の階層では、レベルアップの見込みは薄くなりますね」

「そうだよ。経験値は全然増えないよ。いくらお金とランキングのためでも、上級クラスにだってなりたいからさ。そこは無視できねーわ」


 世の中、お金だけじゃないんだよ!


「あたしも経験値のことは無視できないわ。下層の攻略を続けながらでも、魔石はそれなりに取れるはずよ。ここで足踏みしたくはないわね」

「私もです。先の階層に進みましょう」


 よっしゃよっしゃ。みんなだって早く上級クラスになりたいよね。

 私はさっさと山賊を卒業して、早く超絶カッコいいクラスになりたいんだよ。同志マドカやみんなだって、一緒の気持ちだよね。


 針の山の上にいた銀ちゃんとリカちゃんも呼んで、もう肩慣らしは十分だよねって話をして、リカちゃんには散らばりまくった魔石をスキルで回収してもらう。

 もうリカちゃんがいなかったら、落っこちた魔石を回収するだけでやばかったわ。

 こんなもん、とてもじゃないけど拾い集められない。何百個どころじゃないだろ。ホントにありがたやー。



 ボロボロになった江戸の町を余裕で歩いて、いよいよ新たな階層に進む。

 神楽坂ダンジョンではお初の第二十六階層。


 うん、やっぱこれだよ。ダンジョンハンターなら、どんどん新しい階層に進まないとだ。このわくわく感が大事だね。


 ところがどっこい。高まったわくわく感が、急速にしぼんでしまったわ。

 わくわくできたのは、階段を下りる前と降りる途中までだったわ。


「なんじゃこれ、つまんねー! しょぼくなってんじゃん」


 せっかく進んだ新階層なのに、代わり映えなし。モンスターの数はちょろっとだけ。しかもそんなに強そうじゃない。


「……細部は違うが、全体的には前の階層と変わっていない。これは事前にわかっていたことだがな。あの様子では戦闘難易度は、大幅に下がったように思える」

「あれだけ数がいた第二十五階層と比べりゃな」

「モンスター単体で考えた時に、少し強くなった程度かしら?」

「それでも劇的に強くはなっていないと思います。箸休めのような階層ではないですか?」


 つまんねー。なんもいいことないわ。


「次、進んだらええ」

「よっしゃ、この階層はパスで。さっさと抜けよう!」

「そうするか。道すがら、かち合ったモンスターを倒す程度でいいだろう。階段は南西方面だ、少し遠いが行くぞ」


 ほいほい、出発っと。



 超絶つまらん第二十六階層をスルー気味に突破して、また新たな階層にイン!


 でも第二十五階層のインパクトが強すぎたのか、地獄風の江戸っぽい町は同じだし、モンスターの数がそこそこ程度じゃ特になんとも思わない。

 モンスターの見た目も骸骨くんのバリエーションがちょい変わったくらいで、面白そうな感じも特になし!

 レベル的には余裕あるかなと思ってはいたけど、ちょっと余裕すぎだしやっぱつまらんね。


 そうして第二十七階層と第二十八階層もスルーして、第二十九階層にやってきてしまった。

 するとやっと少し変わった感じになった。地獄風は変わらずだけど、江戸の町から草原になった感じ?


「もう第三十階層の手前だよ? 稼ぎスポットはなかなかないねー」

「あの草原、草じゃなくて針みたいよ。ここは転んだだけでも危険ね」


 マジかよ。めっちゃ怖いわ。


「思い切った避け方ができねえのは不利かもな。だがそこまで追い込まれるようなモンスターには見えねえ」

「スケルトン型のモンスターは少しずつ強力になっていますが、それでも単体を相手に苦戦することはないと思います。私たちは三鷹ダンジョンのモンスターに慣れていますし」

「皆さん、そろそろいい時間ですよ。早めに次の階層に進んで、転送陣から外に出ませんか?」

「うお、もうそんな時間か。ここもつまんなそうだし、次に進んで帰ろうかね」


 お次は第三十階層で、ダンジョン中層の最後だ。そんでもって、その次の階層からが本番なんだよ。

 ホントは転送陣のあるキリのいい階層が稼ぎスポットだと便利なんだけど。


「そうね。今日の成果としては十分すぎるわ」



 ちゃちゃっと進んで、今日の労働を終えた。

 そんでもってクランハウスに帰って、晩メシとお風呂!

 ダンジョンハンターらしい、とっても充実した1日だったわ。


 こんな感じでサクッとクランランキングを駆け上がれるかな?

 なんだっけな、ランキングが上の方になるともらえるアクセス特権だったかな。それがほしい。


 いまのところダンジョンがあんまり面白くないし、どんなもんかねー。

 この調子が続くなら、またダンジョンを変えてみるかな。

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