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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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お話してあれこれ整理!

 なんやかんやとしばらくして、セーラさんと会うことになった。

 今日はクラン同士のややこしい話とは関係なく、お友だちとして会う。マジで楽しみだよ。


 最近はメタル系モンスター出まくりダンジョンにずっと集中していたけど、ちゃんと休みを入れるのが花園のスタイルだ。

 セーラさんからのお誘いと、私たちのお休みが重なってちょうどよかったわ。

 そんでもって私たちの出会いの地、銀座のカフェで待ち合わせだ。


「おいすー、セーラさん!」


 ちょっと早めに到着したはずなのに、もういるよ。やっぱとびきりの美人は目立つね。まあ服装も派手だけど。明らかに庶民とは違う女優っぽい感じするわ。

 コーヒーカップを前に、スマホをいじってるだけで絵になるね。


「こんにちは、葵。早かったのね」

「セーラさんもね。なに飲んでんの?」

「カプチーノよ」


 なんじゃそれ。コーヒーっぽく見えるけど、しゃれた名前だ。


「ほーん?」

「これはそうね……簡単に言えば、カフェラテに泡立てたミルクが乗っているもの、といった感じかしら」

「おー、そんな感じか。じゃあ、私もそれにするかな」


 ちょうど店員さんが注文を聞きにきてくれたんで、ちゃちゃっと頼んだ。

 注文を待つ間、ホントになんでもない話をした。


「――それでね、サウナで対決したらマドカがのぼせてさ」

「ふふっ、九条さんにもそういうところがあるのね」

「お待たせいたしました。ご注文のカプチーノとミルクレープです」


 ケーキが美味そうだね。見た目からして、もう安物とは雰囲気が違うわ。ミルクレープなんて、どこで食ってもそんな変わらん気がしたけど、こいつはたぶん違うわ。なんとなくの雰囲気がもう違う。

 うんうん、さすがはセーラさんが気に入る店だね。


「うおー、カプチーノってめっちゃ泡泡だね。砂糖は入れたほうがいい?」

「ミルクでマイルドにはなっているけど、葵は入れたほうがいいかもね」

「じゃあ入れるわ」


 角砂糖をドバドバ投入っと。口をつけると、マジで泡が美味いよ。なんだこれ? すごいわ。

 ミルクレープを食べつつ、割とどうでもいい話を続けて、ちょっとまったりしてしまった。

 セーラさんがコーヒーをまた注文したんで、私は今度は紅茶を頼んだ。


「よかったわ。葵もすっかり日常に戻れているのね」


 あ、なんだ。心配してくれたんだね。シャバに戻って困ったことはないかーみたいなことが、話のメインだったのかも。


「全然、大丈夫だよ。変な奴がいたら、今度はこっそりぶっ飛ばそうと思ってたのにさ。なんか前より平和になったわ。ダンジョンにも行きまくってるし、すっかり普通だね」

「そう。日常生活は問題ないみたいね。ダンジョンのことは聞いているわ。精力的に潜っているみたいだけど、攻略はどう?」

「モンスターは強いけど、順調だと思うよ。お休みの日以外は毎日行ってるし、レベルも上がったよ」

「いまいくつになったの?」

「みんなレベル28になったね。あとちょっとしたら、第三十階層に進もうかって話してるところだよ」


 金のメタルのお陰で、めっちゃ上がりにくいはずのレベルも、すごい勢いで上昇中だ。セーラさんもちょっとびっくりしてるね。


「もう最奥まで行くの……あの天使型はかなり強力なモンスターだったわね。気をつけて行くのよ」

「うん。むしろ前に見せてもらったから、大丈夫そうになったら行こうと思ってたんだよ。セーラさんのほうはどう? 話題になりまくりじゃん」


 紫雲館は富山のガラスの森ダンジョンで、ついに第五十二階層に進んでいた。

 たしか、天剣が浦安ダンジョンで第五十三階層まで進んでいて、それが日本記録だったと思う。セーラさんたちはもっと難しいって言われてる上に、ポーションが取れまくるダンジョンでの記録だ。すごさが違うんだよね。


 もう朝から晩まで毎日毎日、ニュースで取り上げられていたっぽい。

 セーラさんはただでさえ目立ちまくりの美人なのに、超有名だからあれこれ大変そう。今日も周りの奴らにチラチラ見られてるしね。


「やっと少し落ち着いたところよ。ダンジョン攻略もペースを落とすつもり」

「そうなんだ。じゃあ三鷹ダンジョンも、私たちばっか使うのはなしになる?」

「しばらく予定はないから大丈夫よ。空けてほしい時は事前に言うから、遠慮しないでいいから」


 それならよかった。


「あ、そうだ。クランランキングってあるじゃん? 私たちもがんばって順位を上げようとしてんだよね。次の夏からだけどさ」

「そうなの? でも花園はスポンサーを付けない方針なのよね?」

「ダンジョンでがんばって、それだけで順位を上げる感じだね。なんかランキングの特典がいいらしいじゃん。セーラさん、なんかいい特典ってあった?」

「クランランキングの特典といえば、主には金銭面かしらね。順位が上がるほど補助の枠が大きくなるのよ」


 やっぱお金か。クランの活動としては助かるみたいだけど、もっと面白いもんがほしいわ。


「補助の話は聞いたけどさ、アクセス特権ってあるじゃん? あれはどうなん? なんか面白いダンジョンとか知ってる?」

「好奇心の強い葵らしいわね。稼ぐ、という意味での恩恵は、それらのダンジョンはどこも薄い印象ね。総じて言えば危険だったり、研究者が使いやすそうなダンジョンっていうだけでね。ただ一般公開されていないだけあって、珍しいダンジョンは多いわよ」

「そういうのが知りたいんだよ。普通は入れないやつ!」


 せっかくダンジョンハンターやってるんだからね。権利をゲットできるなら、そういうのに行かないともったいないわ。


「あまり行きたいと思うようなダンジョンは少ないわよ? 例えば、有毒ガスが充満しているダンジョンとか、高温高圧ガスが吹き荒れる環境だとか、極低温や高温のダンジョンまであるわ。総じてまともな探索が困難な場所が多いわね。ただ、そうしたダンジョンはほぼ探索ができていなから、未知の発見に遭遇できる可能性が高いわね。その意味で魅力はあるけど、探索自体が困難なのよ」

「え、そんなやばそうなダンジョンあるの?」


 毒ガスが充満とか、そんなのムリだろ。ムショのダンジョンよりムズくね?


「一般公開されないことには、それなりの理由があるのよ」


 メタル系モンスター出まくりダンジョンとか、九条のお家の星のほこらだっけ? あそこみたいないい感じのダンジョンが使えるのかと思ったのに。


「なんだよー、あんま面白そうじゃないね」

「葵の好みかどうかわからないけど、強いモンスターばかりが出るダンジョンなんてものもあるわよ。あと、本当に有用な一部のダンジョンは、高レベルのアクセス特権が必要になるから、いまの花園には少し難しいかもしれないわね」


 なんと?


「そんなのもあるんだ? やっぱあるよね?」

「ふふっ、ごめんなさいね。詳しいことは口外できないの。だからこそのアクセス特権なのよ」

「うおおー、なんかカッコいいわ。私たちもその高レベルのアクセス特権をゲットしたいよ。そしたらまた教えてね」


 そのあとも結構長々と、お互いのクランの目標とか、先々でちょっと協力したいことなんかも話し込んだ。

 セーラさんたちはトップクランだけあって、やっぱりすごいわ。私とは見ているものが違う気がするね。


 とにかく、私たちはまず目の前の目標をクリアしないとだ。


 レベルを上げながらお金を稼いで、クランランキングを上げる。とりあえずの目標は500位くらい。できれば100位くらい!

 仲間集めをがんばって、レベルも30以上にする!


 そうしたら、練馬ダンジョンにも入ってみたい。蒼龍のおっさんが激ムズだなんて言っていたダンジョンはずっと気になってる。


 あとはあれだ、私ったら運転免許がほしいわ。

 まゆまゆみたいな王者の車を私もほしいよ。そんでもってガンガン乗り回したいね。

 うん、やりたいことがいっぱいあるわ。

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