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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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壮大で難しそうな今後の話!

 今後の目標の話で、なんでかマドカと銀ちゃんが顔を見合わせた。

 なになに、なんなの。


「あたし、今回のことで思い知ったわ」


 マドカが妙に思い詰めた感じだね。どうしちゃったの。


「思い知ったって、なにを?」

「花園はクランとして弱すぎるのよ」


 え、弱いかな。マジで? そうかな。

 私たちったら、そんじょそこらのハンターよりずっと強いと思うけど。


「そのとおりだ。実際、葵を守れなかったからな」

「いやー、逮捕はされちゃったけどさ、みんながんばってくれたじゃん」


 だからムショから出た後でも、私は悪くないよって感じになってんだよね。商店街でも変な目で見られないし、いまのところ前と変わらんわ。


「それは協力してくれた人たちのお陰よ」

「すべてを切り崩すきっかけとなった証言を得られたこと、動画や写真が見つかったこと、協力者を次々と得られたこと。感謝すべきことばかりだ。だがあえて別の言い方をすれば、事が起こった後での場当たり的な対応とも言える」

「クランとしての防衛策が、まったく準備できていなかったと考えるべきね。いまのままで、また同じような協力が得られるなんて、そんな楽観はダメよ」


 また意味わからん理由での逮捕はちょっと嫌だね。さすがにね。


「でもどうしたらいいんかね? セーラさんたちみたいに、超すごいクランになる? すぐにはムリだよね」


 トップクランには、やっぱ上級クラスのハンターがいるのが普通だし。レベル50までなんて、まだまだ当分時間かかるわ。


「すぐには無理でも、クランの規模を大きくする必要はあるわね。アオイが強引に逮捕されたのは、花園が弱小クランだからという理由は必ずあるわ」

「葵にも隙があったのは事実と思うが、それでももし花園が大手クラン並の立場を得ていたとしたら、政治家や役人も簡単には手が出せなかったはずだ」


 そんなもんかね。まあすごいハンターって、セーラさんとか蒼龍のおっさんみたいに、お偉いさんと仲良かったりするし、簡単にケンカ売れない感じ?


「クランとして、力をつける。それはいい考えよ。うちのバックアップがあるとはいえ、強くなって損はないわ。私たちとしても安心できるから。ただ琴葉、今回の件はうちが花園を巻き込んだ可能性も考えられるわね?」


 え、巻き込んだ?


「はい、セーラ様。事件の背景や状況を見るに、急成長で目立っていた花園への攻撃は、紫雲館に対する攻撃の意味を含んでいたと考えるべきです」

「うちが後ろ盾として機能するように、はっきりとした態度を取っていたものね」


 そんな話だったね。あんまり意識してなかったけど、逮捕される前からお世話になっているわ。


「しかし、裏工作を仕掛けられた結果として、紫雲館の影響力が著しく低下していましたので……未然に防ぐことはできませんでした」

「事後の協力が精一杯になってしまったことは、紫雲館としても情けない限りね。ごめんなさい」

「いやいや。セーラさんや琴葉さんが悪いわけじゃなくね? 結局いろいろお世話になってるし。うん、わかったよ! お世話になりっぱなしじゃ、カッコ悪いもんね。うちもがんばって強くなるしかねーわ。でもレベルを上げる以外に、なんかできるかな? ムズくね?」


 そういやいっぱい稼いだお金を使って、雪乃さんがあちこちに関係を作ってくれていたこともある。今回の私のダメージがあんまりなかったのは、たぶんそのお陰もあったんだよね。


「あ、もっと仲間を増やすとか?」


 なんかあれだ。思い出したけど、私がムショにいた時に面会でマドカもそんなことを言っていた気がする。マドカを見たら、うなずいてくれた。


「それも含めてってことね。でも簡単じゃないのよね……」

「ああ、そうだな。特に葵のスキルは秘密厳守だ。それにまどかのスキルにも適用条件がある。仲間については以前から検討しているが、あまり進んでいないのが実情だ」


 私の『ウルトラハードモード』は、ややこしいことになりたくないから絶対秘密! セーラさんたちとか、一部の人にはバレちゃってるけど、これ以上は知られたくないね。

 あとマドカのスキルリンクも、条件に当てはまる人にしか効果がないし、人数の上限もあったっけ。なかなか厳しいよね。


「そういうことなら、うちからもアドバイスできそうね」

「はい。花園がクラン単体として強くなることは大変結構ですが、やはり個別のクランでできることには限りがあります。組織間の関係構築や強化も可能な限り進めたほうがよろしいかと思います。そういった方面でも、すでに動いているとは思いますが」

「紫雲館も昔から同じような悩みは抱えているのよ」


 こんな日本トップクラスのクランでも?

 マドカと銀ちゃんも、ちょっとびっくりしているね。


「同じような悩みってホントに? セーラさんたち、仲間で困ってんの?」

「ええ。うちは一流なんて言われているし、歴史のあるクランだから。まあ滅多に欠員は出ないのだけど、新しいメンバーを加えるとなれば、信用できる人でなければダメね。だけど、それが複数人となるとなかなか人数を集めるのは難しいわ」


 だよね。うちなんて全然、人数増えてないし。


「私たち紫雲館の場合は、政治的な背景も考えなければいけません。身元の調査は慎重になりますし、偏った思想の人間もトラブルの種になるので対象外になります」


 ぐへー、またややこしい話?


「調査を完璧にすることも難しいわ。そこで、途中の段階をいくつか設けるのよ」

「段階、ですか。具体的にはどのように?」


 銀ちゃんが食いついたね。そのやり方は私も気になるわ。


「まず、サブクランが役に立つわね。これは本体のクランとは別に、比較的オープンなクランとして作るの」


 サブクラン?


「本体は秘密を共有できる、信頼に足るメンバーだけ。サブクランは、そこまで深くは関わらないけど協力関係にあるメンバー。本体に加える候補を集めたクランね。費用と管理の負担は相応に増えるけど、そこはクランを大きくしようと思うなら避けては通れないわ」


 おお、なんかすげー。


「次に、同盟ネットワークです。複数の中小クランと同盟を結んで、互助関係を築きます。名目だけではなく合同会議や合同作戦なども行って、リーダーシップを発揮します。花園が完全に主導権を握ることができれば、実質的に傘下に加えたような状況にすることも可能です。言ってしまえば、取り込んでサブクランに近い状態を作るということですね」


 マジかよ。すごすぎるだろ。策士じゃん。


「一緒に活動をしていく、あるいは近くでそれを見守ることによって、信用に足る人間というのは自ずと絞られていくわ。そうやって厳選した中から、さらに実力や相性も考えて、本体のクランに取り込むの。そして段階的に秘密を共有していく」


 なるほどね。いきなり全部は教えないと、そういうことだよね。


「花園の秘密を知る仲間は、そのようにして段階的に作るのがよいと思います」

「すげー、さすがトップクランだよ」

「そこまでの広い視野で考えられなかったわね」

「参考になりました。花園の内部で、真剣に検討してみます」


 急にいける気がしてきたわ。これなら仲間がドバドバ増えるんじゃね?


「あとは政治的な後ろ盾がほしいところだけど、これは急には難しいわ。当面はうちをあてにしてちょうだい。これまで以上に力を入れているところだから」

「そちらの源雪乃さんとは連絡を取り合っていますので、花園が独自にある程度の関係構築を仕上げていることは承知しています。源さんの手腕と伝手、それと九条さんの背景もあると思いますが、安心を買うにはまだ足りません」

「実際のところ、どれだけ万全を期したところでやられる時にはやられるものだけどね。少し前のうちみたいに。それでも安全性が上がると思えば、やっておいて損はないわよ」


 うん、その辺のことは私はマジで意味わからんから、雪乃さんたちにお任せしたい。マジで。


「それに加えて、法的な後ろ盾も確保すべきです」


 琴葉さんが続けるけど、まだあるのかよ。


「顧問弁護士や会計士など、専門家チームを持つことで法的なトラブルに対応できます。これは可能であれば外部に委託するのでなく、クラン専属の組織を作りたいですね」


 その辺も私はもうまったく全然意味わからんけど、雪乃さんたちが知り合いの人たちに協力してもらっているとか、なんとか、聞いたことがあるような気がしなくもない。


「いずれにしても、急には無理よ。少しずつ進めていったらいいのではないかしら」

「そうだよね。ちょっとずつさ、進めていこうよ」

「やることは山積みだけど、道筋が見えた気はするわね」

「非常に有意義な話が聞けたな。やればやっただけ力になると思えば、やり甲斐はある」


 みんなにお任せだわ。がんばってほしいね。

 サブクランとか同盟とか、法律の専門家とか、私にはなにをどうしたらいいのか、まったくわからん!

 てゆーか、なんかいろいろめんどくせーわ。


 とりあえず私にできることは、やっぱレベル上げとお金稼ぎかな?

 それをやってれば、いい感じになるよね。たぶん。

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