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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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たぶん最後のおつとめ!

 更衣室でいつもの装備に着替えて、準備はほぼ完了!

 管理所のほうに移動すると、刑務官たちが集まっていた。さっきまで逃げ出したハンターたちと話していたのに、あいつらはどっか行ってしまったみたいだね。


「永倉さん、こっちです。カメラ用のハーネスをつけてください」

「ハーネス? どうやってつけんの?」


 ベルトみたいなものを受け取ったけど、よくわからん。


「上着を脱いでもらえますか、つけてあげます」

「おー、わかったよ」


 胸元にカメラを装着するベルトなんだね。魔法学園の制服ルックは、上着のジャケットがマント風になっている。この上から変なベルトみたいなのはつけられない。

 ぱぱっと上着を脱いだら、刑務官のお姉さんがちゃちゃっとやってくれた。カメラもバシッと装着。


「スイッチを入れてみて。ちゃんと映るか確認します」

「これね。ぽちっとな」


 普通に片手にカメラを持つつもりだったけど、こっちのほうが戦いやすいね。ちょっと邪魔くさいけど。


「映像オーケーです」


 ほかにも手袋と魔石カイロを借りて装着っと。


「永倉さん、通信機もつけてください」


 耳につけるちっちゃい装置を差し出された。


「いらないわ。そんなもんつけてたら、戦いの邪魔になるよ」

「そうですか?」


 音が聞こえなくても私は強いけど、聞こえないより聞こえたほうがちょっとしたことにも気づきやすい。だから花園はみんな通信機を使わない。中途半端な奴らは使ってるみたいだけど、ないほうが絶対いいわ。

 てゆーか、耳をふさいじゃって怖くないのかね? 音が聞こえにくいのは普通にやばいわ。


「どうした、準備はいいか?」

「いつでも行けるよ。さっきのハンターたちは?」

「ひどく消耗していてな、休んでもらっている」

「そっか」


 ダンジョンハンターのくせに情けないわねー。結局モンスターも倒してないのに。ちょっとくらい根性出せよな、まったくもう。


「この信号拳銃も持っていけ。照明弾を打ち上げて、モンスターがカメラに映るようにな」


 そういやそうか。私は加護の力で見えちゃうけど、真っ暗な階層だしね。


「あ、もしできればなんですけど。放棄されたカメラを回収してもらえると助かります。さっきのハンターたちが、落としてしまったので」

「いいよ。持って帰ってくるわ」


 すぐ見つかるだろうし。


「それと、もうひとつ」


 まだなんかあるのかよ。


「第三階層にも行けるという話だったな? 本当にそうなら、転送陣を設置してくれ」


 えー、どうすっかな。差し出されたキットを受け取りつつ、ちょいと悩むね。


「いやー、第三階層はちょっと嫌な気配したしなー」

「危険なのか?」

「たぶん? それにまたムショに入った時用に、第三階層の分は取っておくよ。ちゃちゃっと出所できるようにさ」

「それは……どうだろうな。長期に渡って停滞していた、第二階層の発見と同じ扱いにはならないと思うが」


 ダメか。あ、それにあれか。私が青鬼くんを倒したあとで、刑務官の人たちがささっと転送陣を設置しに行くかもしれないね。

 それにほかのめっちゃ強い人が今度また青鬼くん倒すかもしれないし、取っておいても意味ないか。私くらい強くなくたって、人数を集めれば倒せるだろうし。たいして時間もかからんし、転送陣くらい設置してやるかな。


「仕方ないね。さっきも言ったけど、私の出所は超特急でやってよ?」

「わかっている。できることはするつもりだ」


 これで早く出られないなら、マジでみんなぶっ飛ばしまくろう。

 約束を破ったらもう許さんからね。



 とっとと始める!

 ダンジョンの領域に入って、今度は階段は使わずに転送陣で第二階層にワープした。


「うわっと」


 めっちゃ寒いし、風に吹かれて倒れそうになってしまった。

 転送陣だと急に移動するから、過酷な環境のダンジョンだとびっくりしてしまうね。


「お、青鬼くんは元の位置に戻ったんだ」


 遠くのほうの、前にも見た位置にいるっぽい。

 お気に入りの場所なのかな。ただの荒野のど真ん中にしか見えないけどね。そこそこ近づけばあっちも動き出すはず。とりあえず移動しよう。


 おっと、そうだ。カメラで見ている人たちがいるからね。明かりを点けてあげよう。


「起動ー、太陽のアームレットー!」


 ぽちっとな。二の腕に装着した装備をオン、その効果で私を中心にちょっとだけ明るくなった。

 ホントはもうちょい広い範囲が明るくなるはずなのに、このダンジョンだとちょっとだけしか明るくならないね。まあカメラ的に真っ暗よりはいい。

 さて、行きますか。


 風を切ってひょいひょいっと移動。このふざけた環境にも割と慣れてしまったわ。

 今度は信号拳銃をぶっ放すわよ。照明弾でなるべく広い範囲を照らしてやらないと、青鬼くんの討伐がわかりにくいからね。仕方ないけど、いちいちめんどくさいわ。


「おりゃー、ドーン! ドーン! ドーン!」


 連発式の銃で撃てる限界まで一気にぶっ放したら、まんまと照らし出された青鬼くん。

 カメラの向こうで見てる人がいるからね、カッコ悪い戦いはできない。華麗に決めてやろう。

 私が走り出したら青鬼くんからも近づいてきた。


「くらえーっ、いきなり『黒縄』じゃい!」


 またもや魔法の焼けた鎖に縛られた青鬼くん。その途端に野太い悲鳴をあげて、めっちゃもがき苦しみ始めた。

 うへー、前もそうだったけど、なんか見てるだけできっつい。魔法の鎖が効きまくってるのか、あまりにも苦しみすぎてるわ。耐久力が高いせいで、なかなか光に変わらないし。


 さっさとトドメを刺してあげようね。


「どりゃー、必殺『ギラギラハンマー』!」


 シュバッと近づいたら、思いっきりハンマーを振りながらスキルを発動。どんな感じになったのかね?

 横からぶっ叩くと同時に、ギラギラ光りまくった魔法のハンマーがいくつも同時に青鬼くんにヒット!


 前の『キラキラハンマー』の時は、それなりの手ごたえはあったけど、青鬼くんは見た目的には無傷だった。ところがだ。

 今回は青い体のあちこちから血を吹き出して、ドクロの顔も半分つぶれてしまった!


 一撃で光には変えられなかったけど、それでも半殺し級の大ダメージだ。と思ったら、魔法の鎖のダメージがトドメになったみたいで、あっという間に光に変わった。


「うおー、マジかよ。ギラギラのハンマーめっちゃ強いわ。すげーパワーアップしちまったよ」


 よくわからんけど。

 え、ホントによくわからんね。なんで私、パワーアップしたの?

 まあいいけど。強くなって損はないしね。


「ほれほれ、カメラ。ちゃんと映ってる?」


 コロンと地面に落ちた魔石を拾って見せてやる。

 前の時もそうだったけど、第二階層にしてはやけにでかいわ。薄い青の色つきだし、売ったら結構な値段になりそう。

 あ、あそこにカメラも落ちてるわ。こいつも回収っと。探す手間が省けてよかった。


「そんでもって、これが第三階層に続く階段!」


 カメラにバッチリ映ってるよね?

 さっさと次に行くぞ。寒いし。


 たったか走って階段を下って、これで転送陣を設置すればもう終わりだ。

 到着してちょろっと周りを見回せば、青鬼くんがそこら中にいるのは前と同じ。消耗が結構きつい『黒縄』じゃなく、進化した『ギラギラハンマー』を使いまくれば、そこそこやれそうかな?


 でもさすがに第三階層の探索はいらないよね。

 よし、転送陣をセット! カメラ映りを意識しながら転送陣を設置したら、そのまま転送された。


「ふいー、やっぱこのダンジョン寒いわ」


 脱出するとほっとするね。


「永倉! よく無事にもどったな」

「見てましたよ。青鬼のモンスターに関しては、一方的であまり参考にはなりませんでしたが……」

「言えている。ほかのハンターの証言のほうがおそらく参考になるのだろうな」


 そんなのどうでもいいよ。


「とにかく、私はやることやったからね。あとは頼むよ!」


 約束破ったら、マジで許さん。


「心配するな。ダンジョン攻略実績による刑期短縮は、明確に定められたルールが適用される。それが無視されるようなことがあれば、全国の刑務所の秩序が危うくなるだけだ。手続きに多少の時間はかかるが、そのくらいは待て」


 仕方ないね。いますぐにでも出たいけど、あとちょっとだけ待とう。

 刑期4年半が、もう終わると思えばたいしたことない。


 がははっ、そうだよ。私ったらもうシャバに戻れるんだよ!


 逮捕されてからなんやかんやあって、3か月半くらいは過ぎちまったからね。

 結構長かったわ。うん、めっちゃ長かったわ。年も越しちゃったし。


 てゆーか、そもそも私ったら全然悪くないからね。

 いろいろ考えると、やっぱムカつくわ。

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― 新着の感想 ―
ぽちっとな。(笑) やっぱ言っちゃうよね~ 次回からは、いよいよシャバでの対決に移る・・・のか!?
更新お疲れ様です。 3ヶ月かぁ…。悪党どもが世論を金と権力で味方につけるには十分過ぎる期間ですね。 絶望のみんなが酷いことになってなきゃ良いんですが…。 それでは今日はこの辺りで失礼致します。
禿ゴリラ達の思惑が裏目に出てパワーアップして戻って来る
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