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ぼっち・ダンジョン  作者: 内藤ゲオルグ


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取り調べのお時間

 更衣室のベンチで横になっていたら、いつの間にか寝てしまって起こされた。

 やっと第二階層について、あれこれ聞かれる時間になったみたいだね。


 見たことない係の人に案内されて、なんか厳重そうな扉のついた部屋に連れて行かれた。どこだよここ。

 独房よりはずっと広いけど、窓もないし殺風景だ。長い机と椅子だけしかない。


「そこに座れ」


 ほいほいっと。

 私の向かい側には真面目くさった顔のおばさんが3人並んで座っている。さらに、その後ろにも5人もいるし、横にも3人だ。

 多くね? 部屋は広いけどちょっと息苦しいわ。


「うへー、なんか取り調べみたいじゃね?」


 逮捕された時のことを思い出す。

 あの話の通じないサツのおっさんどもがよー、次に会ったらぶっ飛ばしたいわ。また逮捕されたくないからやらんけど。


「取り調べではなく聴取だ。質問に正直に答えればいいだけだから、緊張しなくていい」


 そう言いながら、横にいた若いねえちゃんがカメラをセットした。本格的だね。

 準備が整って、みんなシャキッとした雰囲気になった。かしこまった雰囲気に緊張してしまうわ。


「これより、永倉葵スカーレットに対する聴取を開始する」


 続けて誰が聴取をするとか、立会人が誰とかいまの時間とか、ごちゃごちゃしゃべってる。めっちゃ堅苦しい。


「――では永倉さん。あなたは沖島ダンジョンの探索中に、第二階層を発見したと主張しています。これより、その詳細について質問します。すべて正確に答えてください」

「おー、はい」


 真ん中に座っている、ちょっとカッコいい感じのおばさんが、書類をめくりながら私にあれこれ聞くっぽい。

 なんだか背筋が伸びるね。ちゃんと答えよう。


「まず、第二階層への階段を発見したのはいつですか?」

「えっと……今日の午前中っす」


 本当は昨日だけど。話がややこしくなるから、今日見つけたってことでいいよね。


「場所はどこで?」

「ダンジョンに入ってずっと北の、紫水晶が取れるって聞いた山の近くっす。山の近くに超でっかい岩があって、それをぶっ壊したら階段があったっす」


 たくさんいる刑務官たちが、びっくりしたように顔を見合わせている。階段って普通は隠されてないもんね。


 あれ、ちょっと待てよ。私ってこれまで、誰かが通った階層にしか入ったことない。

 もしかしたらこれまでのダンジョンだって、誰かが隠された階段を暴いたから通れるようになった感じとか? そうかもしれんね。


「紫水晶の採掘地点、その近くにあった巨大な岩の下ですか。破壊とはどのように?」

「どうって、ハンマーでドカンと殴ってだね」

「……なぜそのような行動を?」

「いやー、ダンジョン探索の試験で紫水晶を取ってこいって話だったんで、どうせならでっかい紫水晶をゲットしたくて。山をぶっ壊したついでに、近くのでっかい岩もぶっ壊したっす。そうしたら階段があったっす」


 私だって、もうびっくりしたよね。


「こちらの地図上で正確な位置を示せますか?」


 テーブルに地図が広げられた。

 ほうほう。ここが出入口の階段で、こっちが北の方向だよね。で、ここが紫水晶が取れる山っと。地図が読める女子の私はすぐにわかるよ。


「うーん、この辺かな。まあ行ってみればわかるっす。岩の残骸がめっちゃあるし、階段だって見ればわかるし」


 指で示してやった。これでわかるよね。


「では次に、第二階層について質問です。どのような環境でしたか?」

「環境? 第一階層よりも寒くて、風が強かったかな。あとはほぼ同じっす!」

「ほぼ、とは? 具体的に何が違うのですか?」

「モンスターがいたっす。1体だけめっちゃ強いのがいてね、あれはやばいわ」


 刑務官たち、すごい興味あるっぽい。ちょっと身を乗り出してる人までいるわ。

 あ、そうだよ。あの時は『ウルトラハードモード』だったから、めっちゃ強かったんだよね。たぶん。

 まあいいか。ノーマルでもたぶん強いだろうし、似たようなのが出るよね。


「強いモンスターが単体で? 討伐したのですか?」

「もちろん、ぶっ倒したよ!」

「どのようなモンスターでしたか? なるべく具体的に教えてください」


 具体的にかー、そうだね。


「黒いモヤモヤをまとった、でっかい鬼っす。体が青かったから、青鬼くんだね。ただ、顔とか頭だけ骸骨だったわ」

「頭部のみが骸骨の青鬼……大きさは? ほかに特徴はありますか?」

「大きさはすごい背が高いマッチョマンくらい? 超マッチョでがっちり体型の。あとでっかい剣を持ってたね。そんなもんかな」


 ほかにはなかったよね。たぶん。


「その青鬼はどのような能力や攻撃方法を持っていましたか?」

「うーん、基本はでっかい剣を振り回す感じで、あとはすごい硬かったかな。超硬いのが厄介だったわ。それと地面に剣を突き刺したと思ったら、めっちゃ寒くなったね。あれはやばいよ」


 急にとんでもなく寒くなって、びっくりしたもんね。


「……ほかには?」

「特にないかな。がんばってぶっ倒して、そうしたら階段が出てきたって感じっす。第三階層の」

「その第三階層には行ってみましたか?」

「行ったけど、また同じ感じだったからね。つまんなそうだったんで、すぐに引き返したっす。だからよくわかんねーっす」


 細かいことは自分たちで見ればいいんだよ。私の『ウルトラハードモード』で見たモンスターの話をしてもあんま意味ないわ。


「わかりました。次に、転送陣はどこに設置しましたか?」

「えっと、第二階層に行って、階段のすぐ近くっす」

「第三階層には設置していないのですね?」

「設置キットは1個しかなかったし」


 そう答えると、刑務官たちがごにょごにょと小声で話したり、メモを取ったりしていた。なにを話してんだろうね。

 ちょっと水飲みたいわ。そろそろ終わらんかね?


「永倉さん。また尋ねることがあるかもしれませんが、その時には協力してください。本日は以上で聴取を終わります」

「ほいほいっと」


 やっと終わったか。若いねえちゃんがカメラのチェックをし始めた。ちゃんと撮れてるよね? 失敗してまたやり直しとかないよね?


「ちなみに永倉さん。先ほどの証言が事実なら、これは歴史的な発見です。理解していますか?」


 いっぱいいた刑務官たちの半分くらいが席を立つ中、正面のおばさんが話を続けるっぽい。雑談タイムかな。


「何回探索しても見つけられなかったんだっけ? 真っ暗なダンジョンだし、でっかい岩の下に階段があるなんて思わないよね」

「ダンジョンは不思議な場所です。特定の条件を満たさなければ、通路が閉ざされたまま開かないという例もあるくらいです」

「おー、そんなのあるんだね」


 面白いわ。未知のダンジョンがもっとあればね、ハンター生活がもっと楽しくなりそう。


「この沖島ダンジョンでは綿密な調査を繰り返したはずですが、灯台下暗しだったという可能性はあるでしょう。しかし、あなただからこそ発見できたのかもしれません」


 私は岩をぶっ壊しただけなんだけど。

 前に探してた奴らがテキトーだったんじゃね?


「あ、そんなことより! 私ったら第二階層を発見したんだからさ、これで出所できるよね? シャバに戻れるんだよね? てゆーか、元々冤罪なんだよ! ふざけやがってよー」

「まずは永倉さんの証言を検証する必要があります。出所についてはそれからです」


 なんかそんなこと言ってたね。いいから早くやっておくれよ。


「検証なんてすぐ終わるよね? 転送陣使えばすぐわかるのに」

「転送先に危険がないか、その調査が先です。証言に基づいて、第一階層から第二階層への階段を確認し、さらに第二階層で設置済みの転送陣を確認する。これが手順です」


 めんどくさいね。


「そっか。じゃあ、しばらく待つわ」

「準備が整い次第、また協力してもらいますので、そのつもりでいてください」

「協力って?」

「検証の際にはダンジョンの中の様子をカメラで撮影します。永倉さんには、その映像を一緒に見てもらいます」

「ほーん、わかったよ」


 証言をちゃんとしたか、とかそういう確認も込みなのかな。別にいいけど。

 これで話が終わったみたいで、独房に戻された。


 さてと、今日はなにして過ごすかな。

 またポーション代払うのは嫌だし、ケンカはやめときたいね。

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― 新着の感想 ―
ウルトラハードじゃない時の二階層の敵違くて難癖つけられそう
更新お疲れ様です。 またなんかいちゃもん付けてくるか?と思ったら、普通の聴取でしたね…。問題はやはり以前の感想に書いた通り、見つかった階段は汎用の出入口か葵ちゃん用の出入口か…ですな。 それでは今…
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