第3話 おネエ魔王VS令嬢
「魔王の目の前へ直行便!」の指パッチンとともに、ソフィアが飛ばされた場所……
そこは魔王城の玉座の間……ではなく、まさかの【魔王の着替え部屋】だった。
「……あら?」
目の前にいたのは、威圧感あふれる漆黒の魔王……ではなく、まさかの【フリル付き勝負下着】で固まっているおネエ魔王だった。
瞬間移動のタイミングが最悪すぎたのである。
「いやんっ!?ちょっとアンタ誰よ急に!! 見ないでぇぇぇッ!!」
両手で下着を隠しながら、乙女のような悲鳴を上げた、まさかの男魔王おネエである。
「いや、あの、事故なんです!私はただ頭のボタンを……」
「うるさいわねぇ!乙女の着替えを覗くなんて万死に値するわよ! ちょっと待ちなさい、今すぐ着替えるから!!」
魔王は超スピードで暗黒の鎧を身に纏うと、顔を真っ赤にして叫んだ。
「恥ずかしさで死にそうだから、アンタを灰にして記憶ごと消し去ってやるわ―――ッ!!」
魔王の手から放たれる、城ごと吹き飛ばすレベルの超巨大な暗黒魔導波!
「きゃああああっ!?」
パニックになったソフィアは、逃げる間もなく自分の頭の『お肌すべすべボタン』を無意識にポチッと押してしまう!
ズガガガガガガガッ!!!
爆音とともに直撃した暗黒魔導波。
しかし……「ツルリンッ!!!!」
なんと、ソフィアの極限までツルツル・すべすべになった肌に触れた瞬間、魔王の攻撃が全て「ツルッ」と滑り、すり抜けていった!
「えっ……!? 攻撃が……滑ったの……!?」
呆然とする魔王。
ソフィア自身も自分のツルツルな頬を触りながら首をかしげる。
「えっ……私、全然痛くない……?」
「く、屈辱だわ……! おネエのプライドにかけて、アンタだけは絶対に許さないんだから!見なさい、アタシの真の姿を!!」
狂乱した魔王が、禍々しいオーラを纏いながら叫ぶ。
「真の姿っ! 『第二段階・変身』―――――」
魔王が大きく両腕を広げ、変身の演出で一瞬無防備になった……
その隙を、脳筋令嬢は見逃さない。
「ハッ!!」
「えっ? ちょっと待っ……」
変身が終わる前に、ソフィアは聖剣を構えて全力ダッシュ!
ドレスの裾を翻し、無防備な魔王のへ容赦ない一撃を叩き込む!
ドカァァァン!!
「変身中に攻撃するなんて……反則よぉぉぉ―――っ!?」
おネエ魔王は哀れな悲鳴を上げながら、そのまま倒れたのだった。
「ふぅ……あぶなかったわ」
ソフィアは聖剣をしまって魔王に近づくと、頭頂部の真っ赤なスイッチを見下ろした。
ソフィアの指先が、ボタンを押し込む。
『カチッ』
ゴゴゴゴゴ……!
世界に「音」と「空気の揺らぎ」が戻ってきた!
静寂が破れ、止まっていた時間が再び動き始める。
「やりましたわ! これで世界は元通りね!」
満足気にソフィアは、神様スペシャル直行便の残留神力を勝手に使い、王宮へと舞い戻ったのだった。
「あれ?そういえば私……婚約破棄されてなかった!?」




