Vol.095【そしてネバーランドへ】
空――
お前と離ればなれになって、
一体どれだけの月日が経ったんだろうな。
思えば、お前がひめぐりの家を、
俺に何も言わず出て行ったあの日からだ。
急に姿を消したお前に、
俺は声を掛けることすら出来なかった。
あの日以来、ずっと俺は、
お前の幻影を追いかけてる。
あんなお前だったから、ずっと守りたかった。
お前の性格は、誰よりよく知ってる。
俺がどんなに取り繕っても、
お前の目には全部見透かされちまう。
……もし今、お前に好きな奴がいるなら、
俺はきっと悔しいんだろうな。
だってお前は、好きになった相手には、
とことん真っ直ぐ突っ走る奴だから。
そんな俺が、今さら「会いたい」だなんて……
笑っちまうよな。
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でももう俺は、簡単に「好きだ」なんて
言える人間じゃなくなっちまった。
俺の手についた血は、
どれだけ水で洗っても、
石鹸で擦っても、
自分の皮膚が裂けるほど洗い続けても――
一生、消えねぇ。
今の俺は、ほんの一瞬でいい。
成長したお前の姿を見て、
そして――
お前が、繭に対して変わっちまった理由を知ることが出来れば……
それだけで、俺は心置きなく罪を償いに
行ける気がする。
……でも、お前は言わねぇんだろうな。
そういう奴だから。
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その理由を――今から聞きに行く。
そして俺の犯した罪を、
どうしても伝えなきゃいけねぇ相手がいる。
SoRa――
ネバーランドへ。
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ケンジは静かにスマートフォンを取り出した。
震える指で、ネバーランドのアプリをタップする。
楽しげなタイトル画面。
だが、その先に待っているのは、
決して優しい世界ではない。
真実を確かめるために。
そして、SoRaのアバターから――
二人だけのトークルームへ。
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【トークルーム(KenJi と SoRa)】
KenJi
2017年4月4日 AM6:25
「SoRa……
この世界で、お前をいつまで“SoRa”って呼べばいいんだ?
聞いてくれ。
来夢を殺っちまった。
俺と空と同じ施設にいた、あの来夢だ。
そして来夢は、沙羅とも付き合ってた。
お前はすぐ空の元から離れちまったから、
知らねぇだろ?
来夢は俺を憎んでた。
どうしようもなく……俺を憎んでた。
今日にでも、事件の真相はニュースになるだろう。
お前はネバーランドの救世主……
……いや、
俺を助けてくれとは言わねぇ。
ただ、教えてくれないか?
どうして空は、お前を攻撃するんだ?
俺には分からねぇ。
一方的に攻撃する空が、どうしても理解できねぇんだ。
昔の空は、どこへ行っちまった?
俺は……
理由さえ知れれば、それでいい。
ただ、俺が愛した女が――
血の繋がった妹であるお前に、
あんな酷い仕打ちをする理由を、
知りたいだけなんだ。
たった一人の妹なのに……
本当は、死ぬほど空に会いたい。
でも、もう俺はこんな身だ。
だからせめて、理由だけでも教えてくれないか?
そして繭……
もう姿を現してもいいだろ?
俺達の前に。
……漓久も、それを願ってるんだよ。」
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SoRa
2017年4月4日 AM7:08
「ケンジ……ドウシテ……」




