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Vol.095【そしてネバーランドへ】

挿絵(By みてみん)


空――


お前と離ればなれになって、

一体どれだけの月日が経ったんだろうな。


思えば、お前がひめぐりの家を、

俺に何も言わず出て行ったあの日からだ。


急に姿を消したお前に、

俺は声を掛けることすら出来なかった。


あの日以来、ずっと俺は、

お前の幻影を追いかけてる。


あんなお前だったから、ずっと守りたかった。


お前の性格は、誰よりよく知ってる。


俺がどんなに取り繕っても、

お前の目には全部見透かされちまう。


……もし今、お前に好きな奴がいるなら、

俺はきっと悔しいんだろうな。


だってお前は、好きになった相手には、

とことん真っ直ぐ突っ走る奴だから。


そんな俺が、今さら「会いたい」だなんて……


笑っちまうよな。


______________________



でももう俺は、簡単に「好きだ」なんて

言える人間じゃなくなっちまった。


俺の手についた血は、

どれだけ水で洗っても、

石鹸で擦っても、

自分の皮膚が裂けるほど洗い続けても――


一生、消えねぇ。


今の俺は、ほんの一瞬でいい。


成長したお前の姿を見て、

そして――


お前が、繭に対して変わっちまった理由を知ることが出来れば……


それだけで、俺は心置きなく罪を償いに

行ける気がする。


……でも、お前は言わねぇんだろうな。


そういう奴だから。


______________________



その理由を――今から聞きに行く。


そして俺の犯した罪を、

どうしても伝えなきゃいけねぇ相手がいる。


SoRa――


ネバーランドへ。


______________________


ケンジは静かにスマートフォンを取り出した。


震える指で、ネバーランドのアプリをタップする。


楽しげなタイトル画面。


だが、その先に待っているのは、

決して優しい世界ではない。


真実を確かめるために。


そして、SoRaのアバターから――


二人だけのトークルームへ。


______________________



【トークルーム(KenJi と SoRa)】


KenJi

2017年4月4日 AM6:25


「SoRa……

この世界で、お前をいつまで“SoRa”って呼べばいいんだ?


聞いてくれ。


来夢を殺っちまった。


俺と空と同じ施設にいた、あの来夢だ。


そして来夢は、沙羅とも付き合ってた。


お前はすぐ空の元から離れちまったから、

知らねぇだろ?


来夢は俺を憎んでた。


どうしようもなく……俺を憎んでた。


今日にでも、事件の真相はニュースになるだろう。


お前はネバーランドの救世主……


……いや、

俺を助けてくれとは言わねぇ。


ただ、教えてくれないか?


どうして空は、お前を攻撃するんだ?


俺には分からねぇ。


一方的に攻撃する空が、どうしても理解できねぇんだ。


昔の空は、どこへ行っちまった?


俺は……

理由さえ知れれば、それでいい。


ただ、俺が愛した女が――


血の繋がった妹であるお前に、

あんな酷い仕打ちをする理由を、

知りたいだけなんだ。


たった一人の妹なのに……


本当は、死ぬほど空に会いたい。


でも、もう俺はこんな身だ。


だからせめて、理由だけでも教えてくれないか?


そして繭……


もう姿を現してもいいだろ?


俺達の前に。


……漓久も、それを願ってるんだよ。」


______________________




SoRa

2017年4月4日 AM7:08


「ケンジ……ドウシテ……」

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