表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/110

Vol.094【一片の欠片から…】

挿絵(By みてみん)


2017年4月4日 AM7:25


立道「ガイシャのポケットから破片?

……何の破片だ?」


鑑識課「はい。

サバイバルナイフのグリップの一部と思われます。」


立道「サバイバルナイフ……?」


鑑識課「犯人が使用した凶器の可能性があります。」


立道「いや、一概にはそうとは言えんな。」


鑑識課「と、申しますと?」


立道「犯人が、わざわざ証拠になり得るものを残すか?

……これは単なる衝動的殺人じゃない。

計画性を感じる。」


鑑識課「確かに……。」


立道「壊れた凶器を使い、その破片を被害者のポケットに残す。

普通なら有り得ん。

むしろ――

“この人物が犯人です”と言わんばかりだ。」


鑑識課「誰かを陥れようとしている、と?」


立道「あぁ。

少なくとも俺にはそう見える。」


鑑識課「ちなみに破片の一部にメーカー刻印がありました。

このサバイバルナイフですが、1950年代に製造されたmade in USAのGARBER社製ですね。

特に記念モデルはマニアの間でも有名です。」


立道「……GARBER社製。

しかも1957年モデルか。

随分と“都合のいい証拠”だな。」


鑑識課「“1957年 50thモデル”と思われます。」


立道「わかりやすすぎるな……。

逆に解せん。」


鑑識課「簡単すぎる、という意味ですか?」


立道「あぁ。

犯人が本当に証拠を隠したいなら、こんな特徴的な物は使わん。

しかも破片まで残してる。

……不自然すぎる。」


______________________


その時、一人の捜査員が慌てた様子で部屋へ入ってくる。



捜査員「立道さん!!」


立道「どうした。」


捜査員「三奈月沙羅の父親から有力な情報が入りました!

その破片、二年ほど前に紛失したサバイバルナイフの物である可能性が高いそうです!」


立道「……三奈月沙羅の父親の物?」


捜査員「はい!

登山用として所有していたらしく、以前から行方不明になっていたと。」


立道「盗まれた可能性は?」


捜査員「本人も否定はしていません。」


立道「……なるほどな。」



立道は腕を組み、静かに考え込む。



立道「父親が嘘をついているようには見えん。

だが――

娘の交際関係に腹を立て、激情に走った可能性もゼロじゃない。」


捜査員「三奈月沙羅の交友関係、洗いますか?」


立道「あぁ、徹底的にな。」


立道「だが……

仮に父親が犯人だったとしても、こんな馬鹿げた証拠の残し方はしないだろう。」



立道は机の上に置かれた破片を見つめる。



立道「誰かが意図的に“導こう”としている。

……そんな臭いがするな。」



3時間後


捜査員「立道さん!

三奈月沙羅の交友関係ですが、特に関係が深い人物が三人浮かび上がりました!」


立道「言ってみろ。」


捜査員「一人目は南漓久。

ツインライトプロダクション勤務の人物です。


二人目は斉藤健二。

渋谷在住、自動車工場勤務の整備士。


そして三人目――

綾瀬みつき。

フリーアルバイターで、三奈月沙羅とはかなり親しい関係だったようです。」


立道「……続けろ。」


捜査員「さらに、今回殺害された青柳来夢ですが、

二人目に挙げた斉藤健二と、幼少期に同じ児童養護施設で暮らしていたことが判明しました。」


立道「ほぅ……。」



立道の目つきが鋭く変わる。



立道「施設名は?」


捜査員「東京・杉並区にある

『ひめぐりの家』です。」


立道「なるほどな……。」



立道は静かに煙草へ火をつけた。



立道「ガイシャと斉藤健二。

その二人が、施設でどういう関係だったのかを調べろ。

“仲が良かった”で済む話じゃない気がする。」


捜査員「了解です!」


立道「今後は、

ガイシャ、

斉藤健二、

三奈月沙羅。


この三人の因果関係を徹底的に洗う。」


捜査員「南漓久と綾瀬みつきの方はどうしますか?」


立道「現時点では、その二人が事件に直接関与している可能性は低いと見る。」


捜査員「では優先順位は――」


立道「あぁ。

まずは青柳来夢、斉藤健二、三奈月沙羅の三角関係だ。

金か。

女か。

それとも――

施設時代の因縁か。

何らかのトラブルがあったと考えるのが自然だろう。」


捜査員「了解しました!すぐ当たります!」


立道「あぁ、頼む。」



捜査員が部屋を出ていく。


静かになった捜査本部で、立道は机の上の破片を見つめた。



立道「……わからんな。

仮に斉藤健二か三奈月沙羅のどちらかが犯人だったとして……

凶器の破片を残す意味がない。」



立道はゆっくりと目を細める。



立道「やはり……

あのガイシャ自身が、何かを仕組んでいたのか……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ