Vol.092【命をかけた復讐】
2017年4月5日 早朝
トゥルルル……トゥルルル……
ガチャ!
ケンジ「もしもし、沙羅!?」
沙羅「どうしたんだよー!こんな朝早くに!」
ケンジ「聞いてくれ!
……沙羅にしか言えねぇ!」
沙羅「えー!?朝から告白?」
ケンジ「頼む、真面目に聞いてくれ!!」
沙羅「……うん。」
ケンジ「来夢を……殺っちまった……」
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――その瞬間。
電話越しに、沙羅の空気が凍りつく。
沙羅「…………!!!えっ……?」
ケンジ「そんなつもりじゃなかった!!
アイツがいきなり襲いかかってきたんだ!!」
沙羅「ちょ、ちょっと待ってよ!!
状況をちゃんと説明して!!」
ケンジ「あぁ……。
昨日の夜、沙羅と別れてから来夢から電話が掛かってきた。
やっぱり俺と沙羅を許せねぇって……。
それで呼び出されたんだ。」
沙羅「呼び出されたって……どこに?」
ケンジ「神奈川の秦野市。
来夢が派遣されてた白木建設の資材置き場だ。」
沙羅「そ、そんな所まで……!?」
ケンジ「あぁ。“200万持って来い”
“さもなきゃ沙羅に危害を加える”ってな……。
俺は話し合うつもりで行った。
当然、200万なんて急に用意できる訳がねぇ。
だから金は持って行かなかった。」
沙羅「そんな……」
ケンジ「また騙されたんだよ。来夢に。」
沙羅「どういうこと!?」
ケンジ「アイツの目的は最初から金なんかじゃねぇ。
俺を、生涯苦しめることだった。」
沙羅「…………」
ケンジ「俺がアイツの全てを奪ったからだと。
少なくとも来夢は、そう思い込んでた。
“沙羅も”
“欲しいものは全部お前の傍にあった”って……そう言ってた。」
沙羅「ケンジ……
今は来夢の気持ちを考えてる場合じゃないよ!
これからどうするかでしょ!?」
ケンジ「わかってる!!
……実は、もっと厄介なことを来夢が仕組んでた。」
沙羅「何を……?」
ケンジ「その前に、昨日の状況を全部説明させてくれ……。」
沙羅「……うん。」
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ケンジ「俺は来夢に呼び出されて、白木建設の資材置き場へ行った。
そこで来夢は、俺への恨みや、沙羅への執着を散々ぶちまけたあと――
突然、ナイフを取り出して襲いかかってきた。」
沙羅「…………」
ケンジ「俺は必死に止めた。
来夢の手を掴んで、ナイフを奪おうとした。
……その瞬間だった。」
沙羅「……うん。」
ケンジ「来夢は逆に俺の腕を掴んで――
自分の胸へ、ナイフを突き刺した。」
沙羅「っ……!!」
ケンジ「アイツは、自分から刺されたんだよ……。俺を利用して。」
沙羅「な、なんで……なんでそんなこと……」
ケンジ「死に際に言ってた。
“お前をハメた”
“生涯、罪の意識から逃げられなくしてやる”ってな……。」
沙羅「来夢……そこまで……」
電話の向こうで、沙羅が泣き崩れていく気配が伝わってくる。
ケンジ「…………」
沙羅「で、でも!!
状況的には正当防衛なんだよね!?
なら無罪になる可能性だってあったんじゃ……」
ケンジ「……実は俺、死体を隠した。」
沙羅「な、なんでだよ!!」
沙羅の声が一気に荒れる。
沙羅「そんなことしたら余計に面倒になるじゃんかよ!!
その場で警察呼べば、まだ正当防衛として扱われたかもしれないのに!!」
ケンジ「わかってる!!そんなこと百も承知だ!!」
沙羅「じゃあなんで!!」
ケンジ「……隠さざるを得なかったんだ。」
沙羅「どういう意味!?」
ケンジ「来夢を刺した凶器と……
来夢の携帯が今、俺の手元にある。」
沙羅「も、持って帰ってきたの!?」
ケンジ「あぁ……。」
沙羅「厄介な事って、それを持ってること……?」
ケンジ「……違う。来夢が死ぬ直前に言ったんだ。
“この凶器は沙羅の物だ”って。」
沙羅「…………え?」
ケンジ「本当にそうなのか……それを確認したい。」
沙羅「わ、私の物……?」
ケンジ「あぁ。」
沙羅「う、うん……。」




