Vol.085【ペイルライダー 】
2017年3月31日 AM12:35
ケンジ「沙羅は、来夢を知らねぇってよ……。」
漓久「そうなのか?
……けど、なんか隠してる感じはあったな。」
ケンジ「あぁ。
来夢は昔から人の裏を探るのが妙に上手ぇ。
多分、俺の近辺をかなり探ってる。
前にも話しただろ?
昔、俺がいた養護施設の配達員だった池谷さん……
お前の会社にいるよな?」
漓久「あぁ、人事部の池谷さんだろ?口が軽いって噂の。」
ケンジ「その池谷さんから電話が来た。
“来夢に頼まれて、お前の携番を教えちまった”ってよ。」
漓久「……なるほどな。」
ケンジ「どうやら来夢、俺のこと相当探ってたみてぇだ。」
漓久「その流れで、ケンジと沙羅が仲いいことも掴んだって訳か。」
ケンジ「かもしれねぇ。」
ケンジは小さく舌打ちした。
ケンジ「……あるいは、来夢のハッタリかもしれねぇけどな。
沙羅は本当に、来夢なんか知らないのかもしれねぇ……。」
______________________
Vol.034【サスペクト】より
4月4日 PM6:12
漓久「はい!もしもし?なんだよ!」
沙羅「漓久!助けて!ずっと誰かにつけられてる……今、私の数十メートル後ろに男の人が!」
漓久「え?なんだって?おい?今どこに居るんだよ!」
沙羅「し、渋谷ヒカリエ前!」
漓久「建物の中に入って、なるべく人の多いところに居ろ!すぐ行く!」
沙羅「うん……」
漓久「ケンジにも連絡したか!?」
沙羅「うん!したよ!でもまた出なくて……」
漓久「俺からも連絡しとくからもう少し待ってろ!いいな!」
沙羅「わかった、漓久!」
______________________
漓久にはケンジに連絡したって言ったけど……
どうしよう……
来夢かもしれない……
この前ケンジに、“来夢を知ってるか”って聞かれた時、私は知らないふりをした。
ケンジは来夢を見つけたら、きっと何するかわからない……
でも——
やっぱり、ケンジにも連絡しなきゃ……!!
トゥルルル……トゥルルル……
ガチャ!
ケンジ「もしもし、沙羅か?」
沙羅「ごめんケンジ!!来夢が……!!」
ケンジ「……え?来夢?」
沙羅「この前、ケンジに“来夢を知ってるか”って聞かれた時、私、嘘ついたの……!!
ごめん……!!」
ケンジ「今はそんなことどうでもいい!!
来夢がどうした!?お前今どこだ!!」
沙羅「ヒカリエにいる……
来夢が後つけて来てる気がして……!!」
ケンジ「やっぱり知ってたんだな……来夢のこと。
詳しい話は後だ!!とにかくその場離れるな!!
俺が行くまで、人混みに紛れ込んでろ!!いいな!?」
沙羅「わかった……!!」
______________________
沙羅「漓久……ケンジ……早く来て……お願い……。」
ヒカリエの人混みに紛れようとした——その時。
トゥルルル……トゥルルル……
ガチャ!
沙羅「はい……もし……もし……」
来夢「そのまま動くんじゃねぇ。」
沙羅「……!!」
来夢「お前の姿、こっちから全部見えてるぜ?」
沙羅「来夢……!!
来夢、あなたは私に近づいちゃいけないの!!
わかってるでしょ!?」
来夢「はぁ〜?なんだよそれ。
ストーカー扱いってか?」
沙羅「警察から禁止命令寸前までいってるのよ!?
次やったら本当に!」
来夢「うるせぇ!!」
来夢の怒声が、電話越しに響いた。
来夢「そんな紙切れ来て、逮捕されようが関係ねぇ!!
俺はな……お前とケンジに復讐するって決めたんだよ!!」
沙羅「やっぱり……ケンジに連絡しなきゃよかった……!!」
来夢「あぁ?今なんて言った?
……誰か呼んだのか?」
沙羅「呼んだわ!!すぐ友達が来るから!!」
来夢「友達ぉ?ケンジのことかよ。」
来夢は笑った。
来夢「そりゃ最高だ。一石二鳥じゃねぇか。
お前ら二人、まとめて血祭りに上げてやるよ。」
沙羅「違う!!ケンジじゃない!!」
来夢「……あ?」
沙羅「ケンジの“一番の親友”よ!!必ずアンタをぶっ飛ばす!!」
来夢「なんだそりゃ……!!
そんな奴が俺をぶっ飛ばすってか?
お前、マジで何も分かってねぇな……。」
沙羅「逃げるなら今のうちよ……!!」
来夢「逃げねぇよ。」
来夢の声色が変わる。
低く、壊れたような声だった。
来夢「俺はな……お前に捨てられて、二度目なんだよ。」
沙羅「……二度目?」
来夢「人生捨てるのがだよ。」
沙羅「っ……!!
来夢……あなた、まさか——」
来夢「……ケンジのダチって、漓久さんかよ?」
沙羅「な、なんで漓久のことを……!!」
来夢「この前、アイツと飲んだ。
なかなか良い奴だったぜ。俺は嫌いじゃねぇ。
……でもよ。嫌いじゃない奴を殺るのは、
あんま気分良くねぇんだよな。」
沙羅「や、殺るって……来夢……!!」
来夢と話している間も、
キャッチホンのバイブが鳴り続けている。
来夢「おっ。漓久さん、着いたみてぇだな。」
沙羅「……!!」
来夢「電話しながらお前を探してるぜ?
キャッチホン鳴ってんじゃねぇのか?」
沙羅「え……!?漓久が見えてるの!?」
来夢「あぁ。よ〜く見える。
早く追い返さねぇと、アイツ死ぬかもな?」
沙羅「やめて!!来夢!!」
来夢「だったら、お前が選べよ。」
沙羅「……っ!!」
来夢「ケンジを守るか、漓久さんを守るか。」
沙羅「ら、来夢!!あなたの勝手にはさせない!!」
ガチャ!!
沙羅は強引に通話を切り、
震える手で漓久へ電話をかけた。
______________________
Vol.035【ミステリアス・オン・ザ・ショートケーキ】より
渋谷ヒカリエ前 4月4日 PM6:55
俺はあわてて沙羅の待つ場所へ向かった!
辺りを見回したが、その場所にはもう沙羅の姿は見当たらなかった。
すぐさま、沙羅の携帯に電話をかける!
しかし沙羅がその電話をとることはなかった。
しばらく沙羅の姿を探し回るが、結局見つけることができなかった。
そのとき、
俺の携帯に沙羅からの着信が……
漓久「もしもし!?沙羅か?」
沙羅「漓久?」
漓久「お前どこにいるんだよ!!探し回ってるんだぜ!?」
沙羅「漓久ごめん……知り合いに会っちゃって!」
漓久「知り合い?つけてきた男は?」
沙羅「その男が知り合いだったの!私、てっきり変な奴かと……」
漓久「なんだよ、沙羅!!いい加減にしろよ!!心配するじゃねぇか!!まぁ、無事ならいいけど……あんまり俺に迷惑かけんじゃねぇぞ!!」
沙羅「ごめんね……
あ、漓久?……ううん……やっぱりなんでもないや……。」
漓久「ん?なんだお前!!変な奴!じゃあな!気をつけて帰れよ!!」
沙羅「う、うん……。」
沙羅の知り合いかよ……ったく。
まぁいいや!沙羅にも色んな事情があるんだろう!
そうして俺は文句を言いながらも家路に着いた。
______________________
Vol.61【サイコパス】より
ヒカリエ裏通り 4月4日 PM7:05
漓久がその場を去った後、
ゆっくり沙羅に近づいてくる影……
来夢「久しぶりじゃねぇか沙羅!会いたかったぜ!お友達を上手く追い返して貰って助かったわ!」
沙羅「ら、来夢……いつからつけてたのよ!」
来夢「随分な言い方だよな沙羅!感動の再会じゃネェか!!もう少し喜んだらどうだ?あん?」
沙羅「誰が!!高校卒業して別れた筈だよね?もう何回も言ったよね!?なんでつけ回すのよ!!」
来夢「元カレにその言いぐさはねぇって!!俺はストーカーなんかんじゃねぇ!被害届を出すってのもどうかしてるんじゃねぇか?」
沙羅「お願いだからもうつけ回さないで…」
来夢「それは出来ねぇ相談だなぁ、沙羅!!警察に頼っても俺は諦めねぇからな!!ずっとお前を見張っててやるよ!!」
沙羅「やめて……お願いだから……」
そんな緊張感が漂うなか、連絡していたケンジがようやく現れた。
ケンジ「なにやってんだよ!オマエ!!」
来夢「ああっん??」




