Vol.083【忍び寄る危機】
2時間後
来夢「あぁ〜!!気分がいいぜ!!
久々にこんなに酔っちまった!!
楽しいなぁ!!漓久さんよぉ〜!!アハハハ!!」
ケンジ「来夢!お前、飲み過ぎだ!!」
来夢「堅いこと言うなよ、お前さぁ〜!!
そんな事言うと、漓久さんだってシラケちまうぜ?
なぁ、漓久さん!!」
漓久「俺は別に大丈夫ッスよ。」
来夢「だろぉ〜!?さすが話がわかるねぇ!!」
ケンジ「お前は昔から調子に乗ると止まらねぇんだよ……」
来夢「はぁ?なんだよそれ!
久々に会ったってのに、昔話のひとつも付き合えねぇのかよ!」
3人がそんな話をしていると、店の奥からバーメイドが近づいてきた。
バーメイド「お客さん、あんまり揉めないでね〜。
うち、昔からの常連さんも多いから。」
来夢「はぁ?なんだよ、その言い方。
俺達はこの店が“歌舞伎町には珍しいアットホームな店”だって聞いたから来てやったんだぜ?」
バーメイド「あら、そうだったの?
それはありがたいねぇ。」
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『BAR LOOP』
2代目オーナー 宮田可憐(42)
歌舞伎町第三番街に位置する老舗バー。
1955年創業――
目まぐるしく変化する眠らない街の中で、
長年、地元住民に愛され続けてきた。
壁一面に飾られた無数の写真が、
この店の歴史を物語っている。
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ケンジ「す、すいません!!
コイツ、昔から口悪くて……」
来夢「なんだよ、お前!
またヒーロー気取りかよ!」
可憐「まぁまぁ。
仲良く飲んでくれたら私はそれで十分だから。」
来夢「チッ……なんかシラケちまうぜ、まったくよ!」
可憐「そう言わずにさ。
初めて来たお客さんには、写真を撮るサービスがあるのよ。」
漓久「写真?」
可憐「そう、写真!ほら、この壁見てみな。」
漓久「……気づかなかった。壁一面、全部写真だ。」
可憐「全部ね、初めて来てくれたお客さん達。」
漓久「すげぇな……」
可憐「こういう街だからこそ、人との繋がりは大事にしたいの。」
漓久「……いいですね。
写真って、そういう“記憶”を残せるから。」
可憐「あら、あなた写真好きなの?」
漓久「ええ、まぁ。」
来夢「おっ!!漓久さん、写真好きなのかよ!」
漓久「趣味程度ですけどね。」
来夢「だったらよぉ!!
撮ってもらおうぜ!!
俺とアンタの“友達記念”によ!!」
ケンジ「来夢、お前……」
来夢「なんだよ!いいじゃねぇか!!」
漓久「俺は構わねぇよ。」
ケンジ「俺は要らないからな。」
来夢「そりゃ残念だ!!
お前とはガキの頃から付き合い長ぇのに、
一枚も写真ねぇからなぁ!」
ケンジ「お前と写真なんて虫酸が走るぜ。」
来夢「ははっ!!相変わらず冷てぇなぁ〜!!」
可憐「じゃ、来夢君と漓久君ね?撮るわよ〜。」
来夢「おう!!頼むぜ!!」
来夢は強引に漓久の肩を抱いた。
片手には酒のグラス。
その顔は酔っているはずなのに、
どこか異様なほど笑っていた。
可憐「はい、いくわよ〜。」
カシャッ!!
可憐「もう一枚!」
カシャッ!!
可憐「はい、撮れたわ。」
来夢「おぉ〜!!いいじゃねぇか!!」
可憐「サービスでプリントもしとくね。」
来夢「さっすが!!気が利く店だぜ!!」
可憐「はい、どうぞ。」
来夢「おぉ……」
来夢は写真を見つめ、ニヤリと笑った。
来夢「なぁ、漓久さん。」
漓久「ん?」
来夢「これ、持ってってくれよ。」
漓久「俺が?」
来夢「俺とアンタの“絆の証”だ。」
ケンジ「……来夢」
来夢「なんだよ?友達同士だろぉ?」
漓久「あ、あぁ……ありがたく貰っとくよ。」
来夢「へへっ……大事にしてくれよ?」
その笑顔に、ケンジだけは妙な違和感を覚えていた。
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さらに1時間後――
来夢「あぁ〜……飲んだ飲んだ……zzz……」
ケンジ「来夢!!お前もう限界だろ!!」
来夢「はぁ?……まだまだ……zzz……」
漓久「完全に潰れてるな……」
ケンジ「来夢、俺達そろそろ帰るぞ。」
来夢「んぁ……?もう帰るのかよ……zzz……」
ケンジ「お前の詫びも聞いた。もう十分だ。」
来夢「まだ……ちゃんと詫びてねぇぞ……zzz……」
ケンジ「何言って――」
来夢「帰るなら……
ここの金払って帰れや……zzz……
それで……チャラだ……」
ケンジ「ふざけんな!!それが詫びかよ!!」
漓久「ケンジ!!落ち着け!!」
ケンジ「コイツ……!」
漓久「酔っ払い相手に騒ぐな。帰るぞ。」
ケンジ「……チッ。」
可憐「この人、大丈夫?」
ケンジ「ええ。代金は払っておきます。」
可憐「寝てるけど、どうする?」
ケンジ「起きたら適当に追い出してください。
最悪、警察でも。」
可憐「物騒な友達ねぇ。」
ケンジ「……すみません。」
可憐「まぁ、うちはこういう店だから。任せときな。」
ケンジ「助かります。」
漓久「行こうぜ、ケンジ。」
ケンジ「あぁ……」
2人が店を出ようとした、その時だった。
来夢「んぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ケンジ「!?」
漓久「……!」
来夢「待てよぉぉぉ!!ケンジぃぃぃ!!」
ケンジ「お前、起きて!!」
来夢はカウンターに突っ伏したまま、顔だけをゆっくり上げる。
その目は、さっきまでの酔っ払いの目ではなかった。
来夢「なぁ……ケンジよぉ……」
ケンジ「……なんだよ。」
来夢はニヤリと笑う。
来夢「三奈月沙羅に……
よろしく言っといてくれや。」
ケンジ「……ッ!!」
来夢「ひゃはははははははッ!!!!」
ケンジ「な、なんで……
お前が沙羅の名前を知ってる……!?」
漓久「……来夢。お前、いったい何者なんだ……?」




