Vol.077【ルッキング・バック】
2016年8月15日
篠原「くそっ!
世間は盆休みだっていうのに、俺は親父の墓参りにすら行けねぇじゃねぇか……。」
俺はふと、あの人のことを思い出した。
探偵になったのも、元を辿ればあの人の影響だ。
一時期は“伝説の探偵”なんて呼ばれていたらしい。
金にうるさい性格も、半分くらいは受け継いじまったのかもしれない。
そんな親父の死なんて、今さら思い出したくもない。
だが、一つだけ気になっている事がある。
あの金庫だ。
親父が生前、何よりも大事そうに隠していた金庫。
中に何が入っているのか、未だに分からない。
裏で何をしていたか分からねぇ人だった。
だからこそ気になる。
大金か。
それとも、もっと厄介な何かなのか——。
篠原「しかし、みつきって女も厄介な仕事を持ってきたもんだ!
まさか人1人調べるのに、こんなに大袈裟な案件になるとは思わなかったぜ!」
篠原は思っていた。
愚痴っていても、それは単に捜査がスムーズに進まない苛立ちから発せられた言葉だった。
みつきの事も、そして空央、繭、南……
全ての繋がりや謎を解きたいという、今や探偵としての執念が篠原を動かしていたのだ。
そして篠原はスマートフォンを取り出し、アプリサイトからネバーランドを検索した。
篠原「これがネバーランドか。随分と可愛らしいアバターがたくさんいるな。」
そしてネバーランドをインストール。
インストール完了後、いつものチュートリアルが始まる。
篠原「チュートリアルか……まずアバターを作るんだな?」
篠原「1番初めにする事はアバター設定、男、女、動物……そして、アバターの名前か……何にしようか!?よし!これに決めた!そして次はデコる。」
篠原は自分のアバターに名前をつけ、自分そっくりに作り始めた。
篠原「俺は髭があり、サングラスと……お!上手く出来たじゃねぇか?で、服装は渋めでっと!」
篠原「あ!この服装がいいけど、金が足りない!カジュアルよりも、これがいいけど高ぇなぁ!ゲームして金を稼ぐしかないのか!?めんどくせぇなぁ!」
篠原「まぁいい!しかしサングラスと髭が高すぎて、服装が下着と短パンしか買えねぇ!こんなアバターじゃ不審者に思われるじゃないか!……けど髭とサングラスが俺に似てるから良しとするか!我ながら顔は上手く作れたぜ!服装以外はな。」
篠原「次はなんだ?そうだ、アバター探しだな!南のアバターから検索をかけるとしよう!」
篠原「Kaitoと打ち込み、検索っと!」
篠原「おいおい!1580件って!めちゃくちゃ検索結果が出てきたじゃねぇか!世の中Kaitoって名前をつける奴がこんなにいるのかよ!」
篠原「こりゃ大変だな!みんなそれぞれアバターをデコってるから、どれが南のアバターかわかりゃしない!とりあえず女性アバターは対象から外して、ステータスメッセージとダイアリーを見てそれらしい奴を探せばいい!鍵をかけてるヤツはとりあえずメモっておこう!」
篠原「一人一人見ていく……Kaitoのアバターを見つけたら、プロフィール画面からピン留めしとけば次回はすぐ見つけられるな。」
篠原「ふ〜……調べ始めてもう2時間だぜ!まだ200人しか見れてない……ダイアリーとコメントまで確認しなくてはいけないので正直やってられない!」
篠原「クソッ!仕方ない……お助けウェポンを使うか!居るかな、アイツ。」
篠原はある人物に電話をかけた。
トゥルルル……トゥルルル……
ガチャ!
美麗「もしもーし!あれ?優ちゃん?珍しいじゃん!」
篠原「美麗、今何してる?」
美麗「今?テレビ見てたぁ!」
篠原「仕事は?」
美麗「今日まで休みだよ。明日からまた施設で仕事だァ!」
篠原「実は……実は……」
美麗「なんだよ?どした?」
篠原「ネバーランドのKaitoのアバターが見つからない……
Kaitoってだけで1580件もあるんだよ!南らしき奴を探そうにも“写真好き”ってだけじゃ絞れない!空央さんも南にはコメントしてないみたいだし、このまま3人のアバターを探すとなると萎えるんだよ……なんかいい手ないか?」
美麗「そんなにあれば探すの大変だね!」
篠原「そうなんだよ!」
美麗「待ってね!空ちゃんと南君と繭ちゃんのアバターの写メあるから、今から送るよ。」
篠原「え?」
篠原「なんだって?」
篠原「は?」
美麗「だから、今から3人のアバターの写メを優ちゃんのLINEに送るね?」
篠原「お前、その写メいつから持ってたんだよ!」
美麗「うん、この前、優ちゃんにパフェ奢ってもらった時から持ってたよ!空ちゃんに見せてもらってたから。」
篠原「な、なんだとコノ野郎!俺の今までの時間は何だったんだよ!」
美麗「だって優ちゃん、何も聞かなかったからさぁ。」
篠原「いや、ネバーランド始める理由がその3人探すためなら普通わかるだろ!」
美麗「えー!せっかく送ろうと思ったのにー、何その言い方ぁ〜!じゃ送るのや〜めた!頑張って探してね!一晩中(笑)ぷぷぷ」
篠原「お、おい!ちょ……ちょい待った!わかった!俺が悪かった!怒鳴って悪かった!許してくれ!今度ステーキ食わしてやるから!」
美麗「え?ホント?やった!じゃ送るー!送信っと。」
美麗「送信したよ〜!」
篠原「あ、ありがとう!美麗!やっぱりお前は優秀な助手だ!」
美麗「へへ〜ん!じゃステーキよろしく!」
ガチャ!
篠原「…………あのヤロー…………」
篠原は美麗から送られてきた3人のネバーランドのアバター画像を確認した。
篠原「これが南と空央と繭のアバター……」
篠原「この画像があれば、アバターだけで特定できる……ダイアリーを片っ端から探す必要はなくなるな。」
篠原「しかし美麗……こんな画像まで持ってるとはな……アイツ、本当に探偵の助手に向いてるかもしれない。」
こうして俺はネバーランドで自身のアバターを作り、南と空央と繭のアバターを特定することができた。
南のアバターは鍵がかけられておらず、ダイアリーもオープン状態。
投稿された写真や文面を確認することができた。
調べる限り――
内容はごく普通の写真日記だ。
まだ空央からのコメントは確認出来ない!空央も慎重になっていると言う事か……
この時点で空央と南はまだこのネバーランドの中では繋がってないと推測する。
一方、空央のアバター「あお♡」。
ダイアリーはフレンド限定で鍵がかけられている。
フレンド数が500人以上っていうのは普通から考えて多いほうだ!
そして……
ステータスメッセージに、妙な違和感があった。
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空と海と陸は互いに見つめ合ってる!
でも陸と海はとても仲良し。
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篠原「……どういう意味だ?」
低く呟き、視線を落とす。
陸……それは、南を指しているのか。
ならば、これは繭に向けられた言葉か。
皮肉か、それとも、別の意図か。
俺は、静かに思考を巡らせる。
空、海、陸。
この三つを当てはめるなら
空は、空央。
海は、繭。
陸は、南。
そして——
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空央と繭と漓久は、互いに見つめ合っている。
けれど——
漓久と繭は、とても仲がいい。
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「……なるほどな」
篠原の口元が、わずかに歪む。
これは応援か。
それとも、
嫉妬から生まれた、遠回しな嘲りか。
もし、ふたりの関係が南をきっかけに崩れたのだとすれば。
この言葉は、
繭に向けられた、あまりにも歪んだ皮肉になる。
そして最後は繭のアバター「SoRa」。
こちらは鍵がかかっておらず、ダイアリーも閲覧可能。
だが、このアバター、何かがおかしい。
霊的なものではない。
もっと別の……“違和感”。
しかも、ネバーランド特有の評価……星の数。
これが異常だ。
南や空央と比べるまでもない。
いや、このネバーランド全体と比較しても桁が違う。
120000……異常な数値。
さらにフレンド数は2000人。
ひとつのダイアリーに対するコメントはどれも5000件以上。
そういったダイアリーが数え切れない!
画面を何度スクロールしても最下層にたどり着けない!
その内容も、ほとんどが感謝の言葉。
篠原「……これは、どういうことだ……」
俺は電話で今まで調べてわかったことと、この事実をみつきに報告した。
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みつき「もしもし、篠原さん?」
篠原「報告が遅れていて申し訳ありません。」
みつき「いえ、大丈夫です。その後何かわかりましたか?」
篠原「まず、今までこちらで調べた内容を、一度整理してお話ししておきます。」
みつき「はい、お願いします。」
篠原「依頼内容は、“桜沢空央という人物を徹底的に調べること”でした。
ですので、私は空央さんの過去、人間関係、生活環境、あらゆる面から調査を進めました。
その中でまず浮上したのが、以前お話した双子の妹、繭さんの存在です。
ただ、現時点では、繭さん本人についてはまだ深く調べ切れていません。」
みつき「そういう話でしたよね?」
篠原「はい。ですが、空央さんを調べていくうちに、繭さんとは別に、もうひとり重要な人物が浮かび上がってきました。」
みつき「……誰なんですか?」
篠原「南漓久。そういう人物です。」
みつき「……南……漓久……」
篠原「……?どうしました。お知り合いですか?」
みつき「い、いえ……!知りません。初めて聞く名前です。」
篠原「…………そうですか。
実はこの南漓久さん、ツインライトプロダクションの社員なんですよ!」
みつき「そ、そうなんですか?」
篠原「そうです!空央さんは、この南さんにかなり強く依存しているように見えます。ツインライトプロダクションに早々面接に来ていたのはそういう理由があるからかもしれません。
そして、繭さんとの関係に亀裂が入った原因にも、この南さんが関係している可能性が高い。」
みつき「……どうして、そう思うんですか?」
篠原「以前、お話ししましたよね。
空央さんが幼い頃、繭さんと共に児童養護施設へ来たこと。
そして後に、繭さんだけがいなくなり、空央さんは“妹に裏切られた”と思い続けていた……と。」
みつき「はい、それは聞きました。」
篠原「その件に加えて、もう一つ。
学生時代、空央さんと繭さんは、ある展示会で南さんの写真を目にしている。
そして、ふたりは南さんの写真を通じて同じ日に、同じ人物に心を奪われた。
ですが結果的に、空央さんはその想いを諦めざるを得ない状況になった。
つまり——
空央さんの中では、
“妹に置いていかれた過去”と、
“同じ相手を好きになった苦しみ”。
その二つが重なって、
繭さんへの感情を歪ませていった可能性がある、ということです。」
みつき「……空央さんが、繭さんを恨む理由の中に、その南さんがいると。」
篠原「はい。
少なくとも、原因のひとつではあるでしょう。」
みつき「……よく分かりました。ありがとうございます。」
篠原「あと、実は空央さんを調べるにあたってどうしてもネバーランドを登録せざるを得なくなりました。」
みつき「あの空央さんが趣味だと言っていたネバーランドですか?」
篠原「はい!そこで私は空央さんとフレンドになろうと思いまして。」
みつき「なるほど、しらみ潰しにしらべる為にも、架空世界からも情報を得ると言う事なんですね?」
篠原「はい!仰る通りです。また同時に空央さんを調べるには南漓久さんと繭さんともフレンドになる必要性が出てきました。」
みつき「2人はネバーランドで空央さんと繋がっていたと?」
篠原「ええ、現時点ではそう考えています。
ただ、南さんと空央さんは、ネバーランド内ではまだ直接繋がっていない可能性が高い。
というのも、空央さんが南さんのアバターの存在を知ったのは、ごく最近だという情報があるからです。
もし以前から接触していたのであれば、もっと早い段階で認識していても不自然ではありません。
それと、これはあくまで推測になりますが、ネバーランドに登録したきっかけ自体、空央さんと繭さん、どちらかが相手を誘ったか、あるいは互いに相談した上で、ほぼ同時期に始めた可能性が高いと見ています。
そして、その後になって、繭さんが空央さんへ南さんのアバターを教えた。
……現在出ている情報を繋ぎ合わせると、
流れとしては、それがもっとも自然です。」
みつき「それで、篠原さんはネバーランドの中でその3人と繋がり、密かに事実確認をするという事なんですね?」
篠原「はい、そうです。繋がるとはフレンドになるということです。フレンドになるメリットは鍵をかけられたアバターのダイアリーが無条件で見れる、そしてそのフレンドと2人だけの部屋で秘密の会話が出来る!というものです。」
みつき「それはかなり効果的な戦略ですね!」
篠原「そうなんですが、今回みつきさんに連絡したのはほかでもないんです。」
みつき「どうしたんですか?」
篠原「はい、今後報告が遅れてしまうことになりそうなんです。」
みつき「しばらく情報が得られないと?」
篠原「そうです?このネバーランドはフレンドになる為にちょっと厄介なルールがあるんです。」
みつき「厄介なルールと申しますと?」
篠原「まず前提として、フレンドになるには条件があります。
1日に1回しか送れない★を、合計30個集める必要があるんです。
ただし、これは一方通行では成立しません。
お互いが、それぞれ30個ずつ送り合う必要があります。
つまり、こちらが毎日欠かさず★を送っていたとしても、相手がそれを送らなければ、関係は成立しない。フレンドにはなれない、という仕組みです。
ですから、順調に進めば、およそ1ヶ月。
途中でどちらかが途切れれば、2ヶ月、あるいはそれ以上。
極端な話、相手次第では、
いつまで経っても成立しない可能性もある、ということです。」
みつき「そんなに?」
篠原「これは賭けです!いや、賭けと言うより
運!です。」
篠原「とにかく、私に少し時間をください!」
みつき「わかりました。また何かわかったら報告お願いします。」
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2ヶ月後
俺は毎日毎日3人に★を送り続けた!
まず空央のアバター「あお♡」
このアバターに関しては★を送れば★を返してくるというスタイルだったのでスムーズにフレンドになることができた。
フレンド数500人以上というのは言わば、お飾りフレンドと言ったところか。
綺麗な女性なので人気が高いのも理由のひとつか。
そして、繭のアバター「SoRa」。
このアバターに関しても、★を送ればきちんと★が返ってくる。
やり取りは成立していて、フレンドになるまでの流れはかなりスムーズだった。
空央と比べてもフレンド数は圧倒的に多い。
だが、その中身が違う。
ただ数を増やしただけの関係ではなく、
ダイアリーを見る限り、
「SoRa」に強く惹かれている——
信者に近い存在ばかりに見える。
実際、俺も試しに、嘘の悩みをコメント欄に書き込んでみた。
返ってきた言葉は、驚くほど的確で、
不思議と心に染みてくるものだった。
一瞬でも、確かに救われたと感じてしまった。
……この繭という人間には、
人の心に入り込む、何かがある。
だからこそ、大久保が繭の居場所を封印したこと、そしてあの組織がその力を恐れているのかもしれない!ということに繋がるのではないか。
そして残るのは、南のアバター「Kaito」。
だが、このアバターだけは、明らかに異質だった。
★を毎日送っても、一度も返ってくることはない。
最初は偶然かとも思ったが、すぐに違うと分かった。
フレンド数は0。
★のやり取りも一切ない。
おそらく、南の性格そのままなのだろう。
人付き合いを避け、ネバーランドの中でも、他者と距離を置いている。
ただし、完全に閉じているわけではない。
ダイアリーには反応がある。
馴染みのアバターからのコメントには、最低限のやり取りを返している。
……つまり、交流を拒絶しているわけじゃない。
自分のペースで、関係を選別しているタイプだ。
それに、気になる点がもう一つある。
Kaitoの周囲には、明らかに好意を寄せている女性アバターが複数いる。
だが、どれだけ踏み込まれても、南はそれを軽く受け流す。そこに、恋愛感情へ傾く気配は、まるで感じられない。
現時点では、この南という存在に、無理に踏み込む必要はない。
フレンドになるのは時が来たら、と言うべきか。
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3か月後
篠原「もしもし、みつきさん?」
みつき「篠原さん?その後なにかわかりました?」
篠原「随分と時間がかかってしまいました、この情報を受け取ると依頼料が倍に膨れ上がりますがよろしいですか?」
みつき「ば、倍ですか!?」
篠原「60万!でも受け取らないなら当然お代は要りませんよ!」
みつき「どんな情報なんですか?ネバーランドでの事なんですか?」
篠原「もちろん、ネバーランドの事もあります。」
みつき「いったい何が……」
篠原「なぁ、みつきさん!……アンタ何をしようとしている。」
みつき「………篠原さんは、私の事も調べているんですか?」
篠原「もちろん、アンタのことも調べた。
アンタが依頼してきた桜沢空央——
あいつを追えば追うほど、周囲の環境が異質すぎる。
だから自然と、アンタと空央の関係を調べる必要が出てきた。
……で、調べたよ。
綾瀬みつき。
アンタの素性は、拍子抜けするほど“普通”だった。
両親と暮らし、特別な経歴もない。
フリーでアルバイトをして、体も強くない。
貧血性の血液の持病がある、って話も出てきた。
——正直に言う。
ここまで調べても、繋がらない。
アンタと空央が、どうして関わっているのか。
どうして、あいつを調べているのか。
今の俺には、まったく見えてこない。」
みつき「篠原さん……」
篠原「でもアンタ、ひとつミスをおかしてるぜ?この事実は、あんただって知りたいはずだ!」
みつき「え!?」
篠原「いつか……教えてやるさ」
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4ヶ月後
篠原「みつきさんよ、最近アンタの仲間がやたら嗅ぎ回ってるが大丈夫なのか?」
みつき「だ、大丈夫です!まだ知られてないですから!」
篠原「ならいいんだけど厄介事になることだけはゴメンだからな!!」
みつき「はい、わかってます。」
篠原「ところでアンタ…体の具合は?」
_______________________
Vol.032【ミステリー▶︎M&S◀シークレット】より
2017年4月3日 PM7:50
東都総合医療センター 6階 循環器病棟 603号室
みつきの部屋
みつき……みつき……起きろ……
だ……だれ??
俺だよ……
……し……篠原……さん……?
みつき「篠原……さん……なの?」
篠原「眠ってるところを起こして、すまないな。
お前のお友達、帰ったみたいだから。」
みつき「ココへ来たらダメだって!!!」
篠原「わかってる!!面会時間ギリギリだな!」
みつき「よく面会OKしてくれたね!」
篠原「そんな手続きしないよ!黙ってきた!」
みつき「相変わらずだね。」
篠原「まぁな!それよりお前大丈夫かよ!電話して聞いた時はビックリしたぜ!」
みつき「うん、今はもう大丈夫だよ!心配してくれるんだ(笑)ありがとう。」
篠原「金の為さ!」
みつき「だろうね。で、何の用なの?」
篠原「とっておきの情報がある。」
みつき「とっておきの?」
篠原「あぁ!お前にとっちゃかなりの価値があるぜ?なんならこのまま帰ろうか?」
みつき「待って!!わかった!!教えて!!」
篠原「その前にこの前貸したノートパソコンを返せ!あれがないと俺が今ハマってるパズルゲームがなかなかできない!」
みつき「あ、これ?もう少ししたら退院できそうだからその時まで貸してくれない?報酬を少し上乗せするから。」
篠原「マジかよ!それなら話は別だ!メインのノートは事務所にあるから大丈夫だ!!けどこれ、お前何に使ってるんだ?ってか、PCくらい持ってないのかよ!」
みつき「あまり使わないから持ってないんだ。それに私、ガラケーでしょ?テレビで毎日欠かさず見てるお料理番組の情報を知りたかったんだ。唯一の楽しみの一つだから絶対見逃せないの。」
篠原「スマホ買えよ!」
みつき「スマホは嫌い!それに今の私には必要ないから」
篠原「やれやれ、そういうところは頑固なお嬢様だな!」
みつき「それより価値ある情報って何?」
篠原「おっと!そうだな!コイツは少し高くつくぜ!!」
みつき「それが真実なら……幾らでも払う」
篠原「そうこなくっちゃな!!」
みつき「早く教えて?」
篠原「実はな……桜沢空央っていう女……」
みつきの顔が一気に硬直する!
みつき「そ……そんな……嘘だ……」
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Vol.033【ライアーゲーム☠︎スタート】より
2017年4月3日 PM7:53
東都総合医療センター 6階 循環器病棟 603号室
みつきの部屋
篠原「実はな……桜沢空央っていう女……」
その時、みつきは篠原から
驚くべき事実を聞かされた。
みつき「そ……そんな……嘘だ……」
篠原「確かな情報だ!」
みつき「……桜沢空央……あなたは私の……??」
いつか私は代々木公園に漓久君を呼び出し、聞きたかったことがあったんだ!
でも今はもうそんなことはどうでもいい!
やっぱりそうだったんだ……空央ちゃん……




