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Vol.075【3人のアバター】

挿絵(By みてみん)


篠原「!!!な、なんだと!?」


空央がずっと想いを寄せていた南漓久という男がツインライトプロダクションで働いている。


彼女がその会社に執着していたのは――そういう理由なのか?


いや……好きという理由だけで同じ会社に入社する行動まで起こすだろうか……。


片思いなら少しでも近づきたい、その気持ちは分かるが……そこまで……。


みつきが捜査依頼してきた空央の背景に、こんなにも執着する南漓久という男がいるなら……コイツも調べる価値があるかもしれない!


とにかく――

依頼主のみつき、

依頼対象の空央、

空央の双子の妹の繭、

そしてその背後にいる南漓久……。


この4人をもう少し調べ、全体像を把握すれば、さらに捜査が進みやすくなる!


しかし……みつき。

いったい何を考えてやがる……。


嫌な事に巻き込まれなきゃいいが……

仕方ない、金のためだ!!


______________________



美麗「何考えてるの?」


篠原「あ、いや……色々とな。」


美麗「でね?繭ちゃんの居場所は、世田谷にいたってことしか分からなかったなー。」


篠原「世田谷なのか……なるほど。」


美麗「どうかした?なんかわかった?」


篠原「あぁ……色々と見えてきた気がする。」


美麗「ほんと!?私、ちゃんとできたかな?」


篠原「あぁ!!初めてにしてはよくやってくれた!今日はいっぱい食っていいぞ!」


美麗「やったね!!」


篠原「ところでお前、養護施設の方は大丈夫なのか?」


美麗「大久保さん?優しい人だよ。施設のことも子供たちのことも、すごく考えてくれてる。」


篠原「まぁそうだろうな。あれだけ頑なに断られれば、変な輩も近づけやしない。」


美麗「うん。だからこの前ちょっと悪いなって思ってさ、繭ちゃんのこと聞いてみたんだよ。」


篠原「本当か?で?」


美麗「“あなたは知らなくていい事なのよ”って。」


篠原「……やっぱり黙秘か。」


美麗「でもね、繭ちゃんの話になると空気が変わるの。なんか変な緊張感っていうか……違和感ある反応するんだよね。」


篠原「やはり何か隠してるな……しかも普通じゃない何かだ。」


美麗「え〜怖いじゃんそれ!」


篠原「いや、心霊とかじゃない。ただの人の事情だ。」


美麗「それもそれで怖いけどね〜。」


篠原「ただ、美麗の話でひとつ気になることがある。」


美麗「なになに?」


篠原「前に言ってたな。

“警察っぽい雰囲気の人たち”、スーツ姿で普通じゃない“偉い人たち”が来ていたって。」


美麗「あー言った!」


篠原「それだ。繭の情報が伏せられている理由……これが関係している可能性が高い。」


美麗「警察絡みってこと?」


篠原「あぁ。しかも個人じゃない、組織だ。上からの圧力だな。」


美麗「じゃあ普通に探しても見つからないってこと?」


篠原「警視庁のトップシークレットレベルならな。」


美麗「繭ちゃんってそんな凄い人物だったの?」


篠原「真実は分からん。だが普通じゃないのは確かだ。」


美麗「でもさ、変じゃない?」


篠原「何がだ?」


美麗「空ちゃんは普通に生活してるじゃん?学校行って、就活して、名前も分かってるのに。」


篠原「……あぁ。」


美麗「なのに繭ちゃんだけ完全に隠されてる。」


篠原「そこだ。なぜ“繭だけ”なのか……それが一番の謎だ。」


美麗「じゃあ絶対見つからないってこと?」


篠原「……そうなるな。クソッ……どうすりゃいい。」


美麗「ふ〜ん……あ、そうだ!大事なこと言うの忘れてた!」


篠原「なんだ!?」


美麗「空ちゃん、ネバーランドっていうアプリやっててさ!

その漓久くんのアバター、Kaitoっていうのを昨日、繭ちゃんに教えてもらったって喜んでた!」


篠原「Kaito?繭が空央さんに!?お前それが一番大事な情報じゃねぇか!!」


美麗「なんで?」


篠原「普段ほとんど連絡を取り合っていない二人が、こんな状況の中で繭はどうやってその情報を空央さんに渡したんだ……?」


美麗「ネバーランドで、じゃないの?」


篠原「ネバーランド……」



篠原の頭の中で、

ばらばらだった断片が、ゆっくりと繋がっていく。

空央と繭は、確実にネバーランドで繋がっている。

そして繭は、南のアバターの正体に触れている。

それを、空央に流している。


点と点が結ばれ、

一本の線になる。


そうか!


篠原は、わずかに口元を歪めた。


ネバーランド。

そこはただの仮想空間じゃない。

情報が眠り、思惑が交差する場所。

そして、俺にとっては、すべてを暴くための“宝庫”だ。


篠原「なぁ、美麗。空央さんは本当に繭の居場所は知らないんだな?」


美麗「うん。そう言ってたよ。どこの里子になったかも分からないって。」


篠原「だが連絡は取っていた……?」


美麗「うん。中2のときに渋谷で会って、そのときに漓久さんの写真に出会って、2人とも好きになったんだよ。」


篠原「写真がきっかけか……。」


美麗「それからどんどん関係が悪くなって。でもネバーランドの中では繋がってたみたい。」



_______________________


空央と繭は、同時に南漓久に惹かれた。

そこから二人の関係は歪み始めた。

よくある話だ。だが今回は――双子だ。

まず調べるべきは南が撮った写真。

それがいつ、どこで二人に届いたのか。

そしてネバーランド……

ここが最大の鍵になる。

俺自身がその世界に入り、アバターを作り、情報を得るしかない。

問題は……空央と繭のアバター名だ。

南はKaito。

だが空央と繭は不明……。


_______________________


篠原「美麗。空央さんと繭のアバター名、聞けないか?」


美麗「実はそれ、もう聞いてあるよ!」


篠原「なに!?」


美麗「空ちゃんは「あお♡」、

繭ちゃんは……「SoRa」だってさ!」


篠原「お前……最高だな。」


美麗「でしょ〜?」




さて、

今までの情報をまとめて、推理してみるか。


篠原の中で、点だった情報が、

少しずつ線になり始めていた。

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