Vol.007【嗜癖】
俺はケンジと、行きつけのファミレスで落ち合った。
ケンジ「まずはメシだな。」
漓久「俺、腹減ってないな。」
ケンジ「なんだよ!?会社でなんかあった?」
漓久「早くネバーランドしたいだけさ!!」
ケンジ「ネバーランド?って
お前がいつも言ってるアレだよな?」
漓久「そう、コミュゲーいい加減覚えろ!」
ケンジ「オマエさ、そんなんばっかやってるとリア友出来ねーぞ。」
漓久「うるせぇ!!オマエに言われたくない!」
ケンジ「そんなハマるもんなの?」
漓久「オマエには、わからん!
ネバーランドの世界に居ると安心するんだよ。
俺の写真に注目してくれるし、
相手が見えないから気を使わないし、なんだって言える。」
ケンジ「虚しくないの?」
漓久「この世界にいるよりずっといい。」
ケンジ「そういうもんか。」
漓久「おおっ、ケンジ見て!!
ネバーランドのアイコン!!
飯時が終わったからたくさん来てくれてるし!!
アイコンの通知の数字表示が上がってるじゃん?」
ケンジ「何それ!!」
漓久「どれだけコメントが来たとか
★をくれたとかが分かるのよ。
みんな帰宅してログインしたかぁ!
まさにネバーランドのゴールデンタイムだな!」
ケンジ「オマエ、その話になるとウキウキするよな?さっきと全然違うわ。」
漓久「まーいいじゃん!なんか腹減ってきた。」
ケンジ「オマエってやつは!」
ケンジは呆れながら笑った!
漓久「俺、エビフライAセット!ケンジ牛丼ね!!」
ケンジ「何勝手に決めてんだよ!!
ってか沙羅とみつきもやってんの?
ネバーランドっていうゲーム。」
漓久「あー、沙羅はあんまりゲーム興味ねぇみたい。」
ケンジ「へぇ、そうなんだ。」
漓久「みつきは未だにガラケーだし。
ゲームなんてやらねぇよ。
アイツ、もっぱら漫画とか本ばっか読んでる。王道のインドア派だ!」
ケンジ「お前も同じだよ!
しかしよく知ってるな、お前。」
漓久「アイツら見れば分かるだろ!」
ケンジ「俺にはわからんが。」
こんな俺……
ケンジからは、いい加減呆れ果てられている。
現実の世界では、ケンジとしか行動しない。
会社仲間に飲みに誘われても、
ケンジ以外の知り合いから誘われても、
絶対に行かない。
それだけ仮想世界にハマっている。
ネバーランドにハマっている。
時間が空けばログインしている。
ココだけが、俺の安らげる場所。
ケンジ「てか、漓久?お前の会社に入社する新入社員?可愛いんだってな!」
漓久「誰からそんなこと聞いたんだよ!!」
ケンジ「お前の会社にいる俺の昔からの知り合い。池谷さんからだよ!
面接来てすぐ採用だったって。」
漓久「池谷さんもよく喋るよなぁ。」
ケンジ「気にならないの?」
漓久「何が?」
ケンジ「新入社員!めっちゃくちゃ可愛いって!!評判だよ。」
漓久「そうなの?」
ケンジ「オマ、なんか情報聞いてないの?
めちゃくちゃ知りたいんだけど、俺!」
漓久「ケンジ、お前さぁ!
俺がそんなん知るわけないだろ!
ましてや1mmも興味ないさ。」
ケンジ「お前に微かな情報を聞いた俺が悪かったんだよな!」
漓久「そういうことだ。」
ケンジ「オマエ見た目は悪くねぇのに。
なんでそんなに人間関係嫌いになっちまったのかね〜。
あの時の……いや……そんな事はもういいか。」
漓久「……」
漓久「ケンジがいうあの時の記憶がねぇからわからないよ。
どうでもいい事だ。」
ケンジ「だな!飯食おうぜ!」
漓久「おう!」




