Vol.066【私立探偵 篠原優】
2016年2月
母「みつき?あなたもそんな古い携帯使ってないで、新しいの買ったら?」
みつき「いいの、お母さん。私はこれで十分!」
母「あなたがいいなら構わないんだけどね。」
みつき「うっ……」
母「みつき!?大丈夫!?」
みつき「う、うん……ちょっと立ちくらみがしただけ。心配ないよ。」
母「一度、精密検査を受けたら?」
みつき「うん、そうするよ。時間ができたら行ってみるね。だから心配しないで。」
母「ほんとよ!お願いだから行ってね!」
みつき「わかってるって。」
それから半年後
2016年8月8日
みつきは、ある場所へ電話をかける。
トゥルルル……トゥルルル……
篠原「はい、篠原探偵事務所です。」
みつき「もしもし?あの……」
篠原「依頼ですか?」
みつき「はい……」
篠原「では、いくつか質問させていただいてもよろしいですか?」
みつき「はい。」
篠原「まず、お名前をお願いします。」
みつき「綾瀬みつきです。」
篠原「依頼内容は、猫探しや苦情など、どのようなものになりますか?」
みつき「ある人を……探して、調べてほしいんです。」
篠原「人探し、そして個人情報の調査、ということですね?」
みつき「そうです。」
篠原「その人物の写真などはお持ちですか?」
みつき「あります。」
篠原「第三者が依頼に関わることはありませんか?」
みつき「はい。私個人の依頼です。」
篠原「わかりました。一度、事務所にお越しいただけますか?その際に写真もお持ちください。コピーでも構いません。」
みつき「はい、お伺いします。」
篠原「お待ちしております。」
2016年8月9日 AM10:45 篠原探偵事務所
みつき「こんにちは。先ほど連絡した綾瀬と申します。」
篠原「綾瀬みつきさんですね?お待ちしておりました。こちらへどうぞ!」
みつき「はい。」
篠原「コーヒーと紅茶、どちらがよろしいですか?」
みつき「では、紅茶をいただきます。」
篠原「わかりました。どうぞ!」
みつき「ありがとうございます。」
篠原「では、さっそくですが。」
みつき「あの……」
篠原「はい。なにか?」
みつき「依頼料は、おいくら……なんですか?」
篠原「そのお話も、これからしようと思っていました。捜査内容や情報の有無によって異なります。」
みつき「高い……ですか?」
篠原「ストレートに言いましょうか?」
みつき「お願いします。」
篠原「基本、調べる対象が一般人なら、依頼料としてまず10万。あなたが求める情報を渡して納得していただければ、プラス20万です。あなたが納得する情報を得られなかった場合は、全額お返ししますよ。」
みつき「さ、30万……ですか?」
篠原「あなたが納得すれば、ですがね。……ただし」
みつき「ただし?」
篠原「依頼内容を聞いて、私自身も受けるかどうか判断します。私が提供する答えには、100%の自信がありますから。
納得できていても“納得できない”と答えるのは無しです。わかりますよね?
これはビジネスですから。」
みつき「要するに、納得した答えをもらっても納得できないと嘘をついてはいけない、ということですよね?それはもちろんです。」
篠原「それさえわかっていただければ、依頼を受けましょう。で?誰を調べればいいんですか?」
みつき「桜沢空央という人物を調べて下さい。」
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俺は、新宿歌舞伎町で探偵家業を営む篠原優。
32歳の独身男だ。
正直、俺は……
金に汚い。
仕事はやるが、報酬も遠慮なく頂く。
高額な報酬をな。
今日は面白い客が来た。
綾瀬みつき。
若いのに人探しとは、まったく怖い世の中だぜ。
なんだか弱々しい女で、金をむしり取るのは正直忍びないが、これも商売だ。
桜沢空央……
さてさて、みつきからゆっくり話を聞くとするか。




